歯を食いしばる癖があるらしい。
らしい、というのはどうも寝ている間にしていることなので、まったくの無意識だからだ。
寝ている間は、結構な頻度と強さで食いしばっているらしく、朝起きたら顎が筋肉痛…なんてこともしばしば。
ひどいときは顎関節症になり、数日間口を大きく開くことができなかった。
なにを寝ている間まで、そんなに力を入れているんだと自分でも思う。
かといって、睡眠の質が悪いかと聞かれると、そんなこともない気がする。
自分の感覚でしかないけれど、普段は割とよく眠れていると思う。
顎関節症になったときも、「どんだけ…。」と半ばあきれたし、治ったら笑い話にしていた。
けれど、先日とんでもないことが起きた。
歯が欠けた。
自分の歯で自分の歯を傷つけたのだ。
これも無意識下のうちに遂行されていたため、正確にいつコトが起こったのかがまったく分からない。
ふと気が付いたときには、前歯の舌触りが悪かった。
ザリザリと角がある。
気になって、舌で触ったり上の歯でカリカリしてみたりすると、何やら小さくて硬いものが舌先にくっついた。
あ~、やってしまった??え~でもまさか。
にわかに信じられない。
すぐにGoogle先生に聞いてみる。本当に世の中が便利になってよかった。
先生曰く、歯はよっぽどのことがない限り欠けたり折れたりはしないそうだ。
じゃあこれは、なんなんだろう。
歯じゃないかもしれない?え、歯石が勝手に取れただけだったりする??いやいや、歯石は歯の根っこ側についてることが多いから、先端部分のこれはきっと違う。
歯だ。歯が欠けたんだ。
事実と向き合う覚悟ができると、今度は恐怖が襲ってくる。このままで大丈夫なのだろうか?
餅は餅屋。すぐに歯医者に行くことにした。
どきどきしながら見てもらう。
結果はすぐに分かった。
歯医者さん「あ~欠けてますね。」
そうですよね。
そう、わたしの歯はまぎれもなく欠けていた。
答え合わせができてよかった。
あとは治療してもらうだけ。
とはいえ、痛みなどはなかったため、周りを少しけずってこの件は終了。
しかし、そうかー。
歯を食いしばりすぎると、歯が欠けるのか。
新たな知見を得たけれど、とんでもない顎力だと自分でもびっくりした。
寝るときはちゃんとマウスピースをつけよう。
まだ少しザリザリ感の残る前歯を舌先でなでながら、誓いを立てつつ、念のため一か月後の予約を取って歯医者を後にしたのだった。