【15冊目】女のいない男たち/村上春樹(著) | こじらせ理系女の読書感想文

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現在は埼玉のど田舎で車の部品の設計

「女のいない男たち」は現時点で一番新しい村上春樹の短編集です(2016年10月10日初版)。タイトルは以下の6タイトル。本書は、死別だったり、浮気だったりといろいろな形で女性に去られてしまった男性が主人公の小説。

 

・ドライブ・マイ・カー

・イエスタデイ

・独立器官

・シェエラザード

・木野

・女のいない男たち

 

一番印象に残っているのは「独立機関」でしょうか。端から見ればあまりも順風満帆な人生を送る開業医・渡会医師のお話。渡会医師は見た目、社会的地位、お金、すべてハイレベルなのですが、自ら望んで結婚はしていません。しかし複数の既婚の女性と不倫関係にあるため女性にも苦労しない人生を送っています(ここら辺が少し普通じゃないというか、捻くれているというか・・・)。ですがある日、本当に好きな女性が出来るのですが、振られてしまい、その辛さから餓死してしまう。これ、52歳のおじさんの話なんですよね。若者の失恋ストーリーとかではないからね。渡会医師が無意識のうちに求めていた本当に大事なことはなんだったのか。渡会医師の人生は幸せなものだったと言えるのか。嘘と真実。いろいろ考えさせられる部分がありました。

 

最後に本著で私が好きな一節引用しときます。

育ちが良く、高い専門教育を受け、生まれてから金銭的な苦労をほとんどしたことのない人間の多くがそうであるように、渡会医師は基本的には自分のことしか考えていなかった。(引用)

 

 

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