さいたまスーパーアリーナで開催された2023年フィギュアスケート世界選手権。
全日程をすべて終え、ペアでは日本初金メダル、男女シングルともに金メダル、さらに男女ともに連覇は日本勢としては初の快挙!
と、結果だけを見れば、記録尽くめの大会となった訳ですが、
どうもいま一つ盛り上がりに欠ける感がぬぐえません(汗)
ちなみに、同じさいたまスーパーアリーナで開催かれた2019年大会、
日本勢のメダルは男子シングル羽生結弦選手の銀メダル1つですが、未だにあの熱戦は忘れられません。
男子は言うまでもなく、羽生選手と米・ネイサンチェン選手との一騎打ち。
女子は露・アリーナ・ザギトアと同国ライバルのエフゲニア・メドベージェアの対決に
4回転サルコーを決め見事2位に割って入ったカザフスタンの選手と本当に見どころ満載で、
べたな言い方ですが、スポーツならではの筋書きのないドラマが生まれた大会でした。
ところが、今年の大会と来たら・・・・・
特に、女子。。。
選手をディスっている訳では決してありません。
フィギュアスケートが大好きでかれこれ25年ぐらいずっと応援し続けているので
心の底から行く末を心配しているのです。
大会の華、女子シングルのどこを見ても圧倒的な主役がいないのです。
さらには、見どころが一切見つかりません。
放送作家を生業にしてきた筆者としては、
これからフィギュアスケートの放送枠を
獲得すべく企画書を書こうとする段階だとしたら、正直、今の女子フィギュアの大会内容で
目を引く企画書を書く自信がありません。
今回の世界選手権のテレビCMを見れば分かる通り、過去の浅田真央選手や羽生結弦選手の映像を使い「あの戦いの舞台が再び帰ってきた!」と、現役の選手は殆ど出さず大会の予告CMを放送していました。
これには批判もあったかと思いますが
こうならざるを得ない状況(不人気)なんだと
察してしまいます。
これまでの日本女子のスケートの歴史をみると・・・・
日本フィギュア界の草分け的存在・伊藤みどりさんはトリプルアクセルを武器に
欧米の選手が主流のフィギュアスケートに戦いを挑んできました。
浅田真央さんと韓国・キムヨナさんの真っ向勝負は、本当にみるものを虜にしました。
平昌五輪以降は、可憐なロシア女子が次々と4回転やトリプルアクセルといった高難度ジャンプを決め
手に汗握るドキドキ感を味合わせてくれました。
で、今の女子フィギュア界。。。
フリープログラムでトリプルアクセルに挑戦したのはたった2人のみ。
(ちなみに伊藤みどりさんがトリプルアクセルを飛んでいたのは、1980年代)
スポーツ中継において大切な、上記にあるような分かりやすい対決構造が見あたらないのです。それに加え、主役も存在していません。
例えば、今回の男子なら演技構成点+高難度ジャンプのベテランの宇野昌磨選手を相手に
最高難度4回転アクセルなどで点数を稼ぐ新生イリア・マニリン選手の対決。
やはり、見てみたいと思わせる分かりやすさや伝わりやすさがあります。
会場のお客さんの数を見ても、一目瞭然。最上階席まで比較的埋まっていました。
一方、今の女子トップ選手の戦いにはこの分かりやすさ、伝わりやすさが圧倒的に欠けている気がします。
「高難度ジャンプは飛ばないけど、滑らかなスケーティングで加点を積み上げる」
と言われても、その差は素人には全く伝わりません。
スポーツって進化しなくていいんですか?
みどころのないスポーツ見て、おもしろいと感じると思いますか?
あと何年かすれば、ロシア勢は戻ってきて、日本女子は高難度ジャンプに挑戦する
ジュニア勢がシニアに上がってきます。
でも、それまでの期間で離れていってしまうフィギュアファンも多いと危機感も感じています。
アマチュアスポーツとはいえ、ゴールデンタイムに放送する
大人気スポーツのフィギュアスケート。
また、あのヒリヒリするような試合展開になるようにこれから方向性を絶対に見失わないで欲しいと切に願います。
トップ選手やコーチは、女子フィギュアスケート全体の発展や行く末を考えることも責務だと
強く感じた大会でした。