大阪にはゴムを製造する堂川ゴムという会社があります。日本のゴムホースブランドの中でもっとも優れた会社で,同社の創立者である道川さんには特別なエピソードがあります。青年時代,戸川さんはゴム製品を販売する小さな店で働きました。朝早くから夜遅くまで仕事に没頭していた堅実な青年だったので,彼は社長だけでなく,取引先でも信頼する職員でした。たとえ給料は少なかったが将来のために少しずつ貯蓄もしていました。

ところがある日,道川さんが勤務していた店が急に倒産しました。 社長がお酒が好きで経営を疎かにしたのが原因でした。 すると債権者が押し寄せ,店の品物から社長の家財道具まで全て差し押さえて行きました。 その様子を見守った従業員たちは一人ずつ店を去っていきました。 しかし戸川さんは,離れていく仲間を見向きもしないまま店に残りました。 他の店と会社が高い賃金を前面に出して誠実で評判のいい彼を連れて行こうとしましたが,すべて断りました。 "私は月給の金額で私の行く道を決めません。 これまでお世話になった社長を捨てることはできません"。

彼は,甚だしくは社長の家財道具が競売に出ると,自分が集めたお金をすべて下ろしてその品物を買い入れて社長に返しました。 道川さんは社長を助けた後,独立することになりましたが,当時,彼の人柄を見て事業を手助けしようとした人たちのおかげで会社は瞬時に発展しました。 会社が成功すると彼は前の社長を工場長として迎えました。 その上,社長が亡くなってからは遺族まで面倒を見ました。

"なぜ,そこまでいらっしゃいましたか?"と周囲から聞かれると,遠川さんは"社長は私の恩人です。 社長が仕事を教えてくれなかったら,私は今の道に入ることはできなかったでしょう"と答えた。 ここまで恩人を大切にしたので,道川さんの会社は信用を得て,大きな成功を収めることができました。

彼の行動を不思議に思う人たちに,道川さんは自分を雇用し,技術を教えてくれた社長のおかげで,今日の自信が持てるようになったと言ったりします。 他の社員と違って彼は利益によって動く雇用人ではなく,社長が自分に与えた恩恵を心から受け取ってそれに応えられる人でした。 経営学者のピーター·ドラッカーは"経営者が持つべき資質とは,天才的な才能ではなく気性だ"と述べました。ここで性格とは,人徳を意味するもので,恩を忘れていない道川氏の人徳が彼を成功させた企業家として生まれ変わらせたのです。

自分から受けた恩を忘れずに一生それを返そうと努力した道川さんの事例は,大純真理を遂行する道人にも良い手本になります。 "恩慧をこき落とすな"という道人たちが生活倫理で実践すべき訓会の一つです。 "大順真理会要覧"に"恩慧とは,他人が私に施す恩恵であり,捨てられたことは忘れて裏切ることである。恩を受けると必ず返さなければならない。"と明示されています。 人は誰でも天地と国家,社会,親,師匠,職業から与えられる多くの恩恵を受けています。 つまり,"私"という存在を考えると,人間は無限な時間と空間の中で,恩の中に生きていることに気がつくのです。 すべての人は出生から銀の(恩誼)のこもった社会を離れては一日も生きられない存在です。 このような恩に感謝し,それを返すために努力するのが,人の道理として大義になり,大道になるのです。

甑山聖師はこのような暮らしの源を悟り,生の源泉を見極めて当然そのような恩を察して感謝し,報恩の精神を一時も忘れてはならないと強調しました。 しかし,今日はその恩の根を忘却し,世の中に忠と孝がなくなり,天下開兵となった時代を生きています。 したがって,すべての道人は自分の存在の根源である上帝から祖先と親,国及び社会が私に与えた恩恵に感謝し,これに報いることができる報恩相生の倫理観を正しく定立していかなければなりません。 道人が報恩相生の倫理を生活の中で実践すれば,上述のエピソードの都川さんのように人望を得て,社会ではもちろん道でも成功できます。 特に,鎮滅するに至った天地を救うため,天下を代順した崇山聖師の徳化を心の中に深く残さず,報恩相生の実践者となり,捕徳天下に先頭に立っていきます。