クリスマスイブ、時間は既に8時をすぎている。テレビの設置に来た電機屋が、上手く映らないテレビにいらついている。クリスマスのプレゼントを買えなくなるとボヤく。若いメイドはまだ店は開いているとすげない。電機屋氏はこんな時期だと普通なら1週間待たされるのに、無理を通せるこの部屋の主は、誰なんだと、メイドにたずねる。メイドは、自慢げに、大手スーパーの経営者だと告げる。そこへ真っ赤なドレスを着たマダムが入ってくる。
マダムはバッグを部屋から持ってくるように、いいつける。マダムが労いの言葉をかけると、電機屋氏もマダムに、さりげなくゴマをする。マダムは気を良くし、店が繁盛していることを自慢げに話す。マダムは電機屋氏にチップを弾み、子供はいるの?とたずねる。いないと応えた電機屋氏に、今夜作れとけしかける。電機屋氏は嬉し気にクリスマスの祝辞を述べて帰っていく。
マダムはメイドに今夜の食卓の支度について指示をだす。浮き立つ気分を押さえかねたように若いメイドに「恋愛経験」について尋ねる。
メイドは、初心な様子で、恋愛なんてと消極的だ。マダムは恋愛こそが人生だと言い放つ。
マダムは生真面目そうなメイドが気に入った様子で、家事全般をみな私が仕込んでやろうという。
メイドは、裕福なマダムがなぜそんなことまでできるのかと聞き返すと、マダムは自分の来し方を語り出す。
マダムは、実はメイド上がりで、スーパー経営者の次男の妻になった。次男に見初められといえば、聞こえが良いが、おくてで、風采の上がらない次男が手近なメイドに、手をつけたというのが本当のところである。
メイドとして、厳しく仕込まれた恨みは、介護が必要になった際に晴らしたらしい。
金に不自由しなかったが、夫に満たされぬ愛は、愛人に満たしてもらっていたと、告白する。
メイドはマダムに、旦那様はなぜなくなったかと問うと、交通事故だという。
なぜ再婚しないのかと、メイドに問われ、マダムは恋人は自由ではなかったし、自由になっても、外聞が、わるいので、1年間カナダにいっていて、やっと今日再会できるのだと、喜びをかくさない。
ドアベルが鳴り、マダムの待ち人がやってくる。
マダムは情熱的に恋人を迎え入れるが、男は酷く疲れた様子である。マダムは、この1年どれだけ待ったかを切々と訴え、スーパーに新しく開設する冷凍食品売り場の責任者に迎えることにしたと告げる。
男が大喜びすると思っていたマダムだったが、意に反するように、男はそれはできないという。
なぜなら、マダムと彼は、マダムの夫を交通事故を装い殺していたのだ。
マダムはすっかりその過去にふたをして、恋人との甘い生活を夢見ているのだが、男の方は自分たちが犯した罪は消えることがなく、マダムの貪欲なまでに人生を謳歌しようとする情熱にたじろいでいる。
男は、自分たちの犯した罪を忘れることができない。自分たちは、殺したマダムの夫の死骸を心に持ちながら生きなけれはならないという。窓にまだカーテンがかかっていないことに気づいた男は、どんなカーテンにするのだ?ときく。渋いピンクのカーテンよ、とマダムは無邪気に答える。男は、管理人はどんな人間か?ときくと、悪い人間じゃない、ちっぷもやった(だから、自分の味方にならるだろう)わ。と答える。男は旦那は?とさらに聞く。制服姿の警官がずっといたから、多分それが夫だろうと答える。
男は驚き、家も仕事も1人で決めてしまうマダムに不満を露わにする。男は罪の意識に苛まれ、2人で殺したマダムの夫の影におびえていると言う。
その時、ドアが急に開き、マダムは驚きのあまり叫び声を上げる。
入って来たのは、メイドだった。マダムの店に頼んだ薪が届かないと困ったように、告げる。
マダムは、怒り、あとで電話をすると言って、メイドをさがらせる。
マダムは気を取り直し、食事をどうするかと男にたずねる。かつて2人か出会った時の昔話をし、一目で恋に落ち、マダムからあからさまに閨へ誘ったこと、彼がそれに応えた、情熱的に愛しあったことを話、つまりはこれからまたその時のように情事を重ねたいと誘いかける。
かつてあなたは私のためならなんでもしますって言ってくれた。愛し合い幸せだった。だが、夫に知られるところになり、2人はやむなく夫を手にかけたが、裁判で無罪を勝ち取り、1年間のカナダ生活でほとぼりはさめたのだから、これからはこの部屋でまた幸せになるのよ、言うマダムに、男は、それは出来ない、カナダで二人きりで暮らそうと、いう。マダムはすっかり鼻白み、先のことは明日は話そうとシャンパンや、フォアグラをすすめるが、疲れて眠そうな男は、上の空だ。
そこにメイドが、薪が届いた事を告にくる。
マダムは配達員を通すように言い付ける。叱責する気まんまんだ。
入って来たのは、ハンサムな若い男。マダムの態度は一変する。見かけない顔だが、いつから働いているのかときき、遅れた理由を聞いてやり、食事の席へと誘う。若い男は、マダムのためなら何でもしますと、素直な笑顔をマダムに、向ける。クリスマスを祝う乾杯に、若い男は言う。
メリークリスマス、マダム。そして、いわわせたマダムの恋人に向かい、メリークリスマス、旦那様とグラスを上げる。
マダムはにこやかに笑、グラスを上げいった。
メリークリスマス、エミール!
エミールはマダムが謀殺した夫の名前。
この瞬間マダムが、かつての恋人を捨てわ若い男を新たな愛人にする事を決意したのだ。