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○find of happiness○

日々を楽しむ。
小さなシアワセ。

そんな感じのオリジナル小説を
のんびり描いています。。。

ことり。

目の前に運ばれてきたデザートプレートには、フォンダンショコラとバニラアイスがのっていて。



「・・・だったらちゃんと、向き合う時なんじゃないのかな。意外と顔を見たら普通に会話できちゃったりするかもよ?大切にしまいすぎて、見えなくなっているだけかもしれない」


とろり。
ふたつに割ったショコラから、とろけたチョコがこぼれて広がる。
ささくれ立った私の心をとかすように。



「それとも、本当は・・・まだ大好きでしょうがなかったりするのかな?」

「・・・・・・判らないんです。でも・・・」


ふっと、視線をさまよわせると、店員さんの背中越しに彼女を見つめるやわらかな瞳があって。

包まれるようなそのあたたかさ。ぬくもり。

私はそれを、知っている。


あれは、相手を大切に想う瞳の色。


「どうしよう、先輩。私・・・まだレンのこと・・・好きみたいです・・・」



**********



「もう一杯だけ、コーヒー飲んでいってもいい?」


二人組のお客様を見送った後で、表に出ている看板を手に戻ってくると、遠慮がちにコウヘイくんが聞いてくる。

壁の時計を見るともうすぐ二十一時で、やっぱり営業時間は大幅に延びてしまったけど。

いいよって答えると、また嬉しそうに笑って。

トレイとトングを手にする。


「明日の朝食、買ってこう」


「もうほとんど残ってないよね」


「大丈夫。明日は仕事で来れないしさ」


そう言って、いくつかトレイにのせる。

私はコウヘイくんのコーヒーを淹れにカウンターに戻って。

二人分のコーヒーを落としはじめる。


「掃除とか、手伝おうか?」


「お客様にそんなことさせられないよ」


戻ってきたコウヘイくんに、クスリと笑って切り返す。

一瞬、空気が変わってふっと顔を上げると、つまらなそうな顔のコウヘイくんがいて。

持ってきたトレイには、残っていたハートのパンが五つとバケットがのっていて。


「あれ、ハートパン全部?」


「・・・食べるの、食べ盛り男子だから」


ふてくされたようにまた顔を反らされる。

どう反応していいのか判らなくて、温めていた牛乳がお鍋の中でシュワシュワと沸騰しはじめるから。

スイッチを切って、沈黙を守ってしまう。


「・・・これ、カナさんのハートだから全部買っていく。明日来れないし、オレただの客だし・・・って訳わかんねぇ」


そのまま顔を隠してカウンターに突っ伏してしまう。


とくん。

意味もなく、心臓の音が跳ね上がる。

自分に言い聞かせるように理由づけして。

意味がない訳なんて、ないのに。


ぎこちないまま、コーヒーをカップに注いで。

自分用に入れたカフェオレもマグに注いで。


コウヘイくんの反応が怖くて、沈黙のままカウンターに回り、コーヒーを出してトレイのパンを用意した袋に詰めはじめる。

クセのない髪はサラサラしていて気持ちよさそうで。

シャツの首筋から覗く襟足もきれいで、うつむいたままのコウヘイくんにドキドキしながら。


あぁ。

買ってくれたパンを入れる紙袋、持ってこなくちゃ。

そう思い立って離れようとした私の手を、腕だけ伸ばして捕まえて。

チラリと、視線だけ私に向けるように顔をずらして。


「年下は、ダメ?」



甘えるようなまなざしに、言葉を奪われる。

答えられずにいる私に、身体を起こして。

つかんでいた手首をキュッと引き寄せて。

真正面から、私の瞳を覗き込んで。



「ほんとは最初から、好きだったんだ」



~~~続く。~~~