京都撮影所
「キョーコ、大丈夫よ。」
奏江は辺りを見渡し、キョーコに合図
する。
「ごめんねー、モー子さん。今日は
社さん、敦賀さんのとこいってる
んで。」
「本当に写真週刊誌、あんたを見張っ
てるの？ていうかなんで不破尚とキス
したのよっ。」
「えと…不覚を取りまして…へへ。」
「へへじゃないわよっ！敦賀さん可哀想
じゃない。」
「へ？」
「あんたのこと好きなんでしょ。」
首を傾げるキョーコに奏江はいらっと
した。
「あのヘタレ、さっさと告白すれば
いいのに…ま、それはさておき『DARK
MOON』のスタッフに口止めしておけ
ば？不破尚は現場にきていたし、付き
合ってると勘違いしてた人もいたよ
ね？」
「うん、ありがとう。モー子さん！
じゃあ、また明日。」
去っていくキョーコを見つめながら
奏江は溜め息をついた。
(…敦賀さん、いつもキョーコにべったり
なのに噂されないなんてご愁傷さま。)
「敦賀くんはいつも一緒なのに噂され
ないね。」
「古賀さん！」
「京子ちゃんも意外とやるなあ。不破
尚ってカリスマロック歌手でしょ？」
「これには訳がありまして…二人は付き
合っていませんので。」
一応否定しておく奏江。
「ま、いいさ。琴南さん、京子ちゃんも
帰ったし、俺達もね？」
さりげなく肩を抱く古賀。
「古賀さん、こんなこと困りま「奏江、
帰るぞ！」
「飛鷹くん！」
そこに立っていたのは人気子役上杉
飛鷹だった。
あっけにとられる古賀をよそに飛鷹
は奏江の手を引きその場を離れた。
「ありがとう、飛鷹くん。助けてくれ
て。」
「あいつは芸能界一の女タラシだ！
気を付けなきゃダメだろ！！」
「うん、そうだね。気を付けるね。と
いうか飛鷹くん、どうしてここに？
キャスティングされてないよね？」
「//////……だっ。」
「え？」
「修学旅行で撮影所見学だ！」
真っ赤な顔で話す飛鷹。
「ああ、そうなんだ。」
「飛鷹くん！」
同級生と思われる女子中学生が
飛鷹の所にきた。
色白で結構、綺麗な子だ。
「いなくなったから心配しちゃっ
た。早く帰りましょう。」
「うっせ～な。すぐ行くって。じゃあ
な、奏江。」
飛鷹は奏江に手を振って去って
行った。
「ねえねえ、今の琴南奏江？やっぱ
り美人！風格あるよね。」
「大したことねえよ/////」
女子中学生は飛鷹に話しかけながら
去っていった。
見送っていた奏江は胸の痛みを感じ
た。
(…なんだろ？体調不良かな。)
End
2017.12.10加筆修正
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