2024年の11冊目。


「彼女は頭が悪いから」
(‎ 文藝春秋  557ページ ) 

姫野カオルコ 著

 

 

10冊目はこちらです

 

 

2019年に上野千鶴子さんの

東大入学祝辞や

様々な媒体で取り上げられた話題作。

 

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横浜市青葉区で

三人きょうだいの

長女として育ち

県立高校を経て

中堅の女子大学に入った美咲と

渋谷区広尾の

国家公務員宿舎で育ち

東大に入ったつばさ。

 

偶然に出会って恋に落ちた

境遇の違う二人だったが

別の女の子へと気持ちが

移ってしまったつばさは

大学の友人らが立ち上げた

サークル「星座研究会」

(いわゆるヤリサー)の

飲み会に美咲を呼ぶ。

 

そして酒を飲ませ

仲間と一緒に辱めるのだ…。

 

美咲が部屋から逃げ

110番通報したことで

事件が明るみに出る。 

 

頭脳優秀でプライドが高い

彼らにあったのは

『東大ではない人間を

馬鹿にしたい欲』だけ。

 

さらに

事件のニュースを知った

人たちがSNSで

美咲を「東大生狙いの勘違い女」

扱いするのだ。
 

読み手の無意識下にある

ブランド意識

優越感や劣等感

学歴による序列や

格差の実態をあぶり出し

自分は加害者と

何が違うのだと問いかけ

気づきを促す社会派小説の傑作。

 

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上記のamazonの書評にも

あったように

わたしが本書を知ったのも

まさに2019年に

東大学部入学式で祝辞を述べた

上野千鶴子さんの動画によって

知ったものです。

 

祝辞の内容↓東大HPより

平成31年度東京大学学部入学式 祝辞 | 東京大学 (u-tokyo.ac.jp)

 

その時の精神状態によって

途中で読むのを

止めてしまっていたのですが

この度読了しました。

 

結論から言うと

とにかく後味の悪い

嫌な感じが残る本でした。

 

でもきっと

これが著者の狙いだと思います。

 

ある事件をもとにした

フィクションなのですが

本書の冒頭に

その事件についての

俗世的な興味を満たすような

ものではないことを

注意勧告しています。

 

著者が渾身の想いを込めて

書き上げ

読者に考えることを

バトンタッチさせるような

内容でした。

 

わたしは

自身のおかれた環境によって

母親という目線で

自然と文章を読んでいました。

 

潜在的に存在する

歪んだヒエラルキーに対する

価値観が世代を超えて

脈々と受け継がれている怖さも

感じました。

 

中高生の娘たちと共有するのには

かなり刺激的な描写があるのですが

日常の会話の中で

噛み砕いて

問いかけてみようと思いました。

 

 

 

 

 
 

 

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