2024年の10冊目。


「アーモンド」
(‎ 祥伝社 267ページ ) 

ソン・ウォンピョン 著

矢島暁子 訳

 

 

9冊目はこちらでした↓

 

「ばあちゃん

どうしてみんな僕のこと変だって言うの」
「人っていうのは

自分と違う人間が許せないもんなんだよ」
扁桃体(アーモンド)が人より小さく

怒りや恐怖を感じることができない

 

十六歳の高校生、ユンジェ。


そんな彼は十五歳の誕生日に

目の前で祖母と母が

通り魔に襲われたときも

ただ無表情で

その光景を見つめているだけだった。
 

母は感情がわからない息子に

「喜」「怒」「哀」「楽」

「愛」「悪」「欲」を

丸暗記させることで

なんとか“普通の子"に

見えるようにと訓練してきた。


だが母は事件によって植物状態になり

ユンジェはひとりぼっちになってしまう。
そんなとき現れたのが

もう一人の“怪物"ゴニだった。
 

激しい感情を持つ

その少年との出会いは

ユンジェの人生を大きく変えていく。


「わが子が期待とは全く違う姿に

成長したとしても

変わることなく愛情を注げるか」
―― 出産時に芽生えた

著者自身の問いをもとに誕生した

喪失と再生、そして成長の物語。

 

________________

 

 

話題になっていた頃

随分と前に購入していて

何となく後回しになっていた本。

(↑こういうのが多いと改めて痛感)

 

1970年代に生まれ

社会学と哲学を学んだ著者が

自身の出産、子育てを機に

書かれたという本書。

 

短期間で急成長した

韓国社会では

幼い頃から競争という

社会的背景があります。

 

厳しい受験戦争

一寸の隙を見せられない就職戦線

止まらない少子化と

高い失業率。

 

SNSの普及により

情報を共有することは多くとも

肌で呼吸で表情で

心を共有、共感することが

失われてきているのは

日本においても

同じ背景があるように思いました。

 

「人間を救えるのは結局

愛なのではないか。

そんな話を話を書いてみたかった」と

著者は語っています。

 

「愛」とはなにか?

それが人に家族に友人に自分に

どのように影響するのか

改めて考えさせられる一冊でした。