2024年の7冊目。
「裸足で逃げる
沖縄の夜の街の少女たち」
( 太田出版 264ページ )
上間陽子 著
今月始めに読んだ
著者の「海をあげる」が
とても心に響き
他の本を読んでみたくなりました。
それは
「かわいそう」でも
「たくましい」でもない。
この本に登場する女性たちは
それぞれの人生のなかの
わずかな
どうしようもない選択肢のなかから
必死で最善を選んでいる。
それは私たち他人にとっては
不利な道を自分で選んでいるようにしか
見えないかもしれない。
上間陽子は診断しない。
ただ話を聞く。
今度は
私たちが上間陽子の話を聞く番だ。
この街の、この国の夜は
こんなに暗い。
――岸政彦(社会学者)
沖縄の女性たちが暴力を受け
そこから逃げて
自分の居場所を
つくりあげていくまでの記録。
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「海をあげる」が
沖縄の基地問題を取り巻く
様々な問題をフォーカスしていたので
本書はその中でも
少女たちに注目した
内容かと思い読み始めました。
事実を淡々と表した文章の中で
これが
沖縄の紛れもない日常なのだ
ということを
知るきっかけになりました。
琉球大学の教員であり
社会学者・教育学者として
夜の街で働く10代の彼女たちに
寄り添いながら
インタビューを続けています。
暴力と貧困
無関心と届かない教育
DVや妊娠とこれからの人生。
理不尽で不条理な環境の中で
何とかして自分を頼りに
生き抜こうとする彼女たちが
いま何を想っているのか。
「今回の調査では
必要があると思ったときには
直接の支援や
介入を行うことにした」とあり
著者の研究という前にある
信念を感じました。
少女たちはもちろんですが
その親もその祖父母も
日々を暮らし
生きるのにいっぱいで
自分以外のことに関心をもつことが
困難なような印象を持ちました。
同世代の娘を持つ親として
社会はどう関わっていくべきか
自問自答する一冊でした。
重いテーマの内容でしたが
読んで良かったと心から思いました。