忘れられないクリスマス。 | NONNONものがたり

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この不思議な館の中で起こる日々の出来事を紹介します

当店のカレンダー、年内にお世話になったお客様のみにお渡ししております。以前に大変お世話になったお客様であってもリクエストでもない限り、多くは現在すでに犬を飼っていない方も多いため、また昔の思い出で寂しい思いをしてほしくないためにもお渡ししておりません。
ただ数軒だけ、(顧客No.50以内に集中していますが)今も自宅のポストにカレンダーを届けています。
ツリーと

1991年12月24日 自宅で営業を始めて最初の12月、年末には少しですが予約をいただいていましたが、この日以前10日間ほど仕事はゼロでした、最年少0歳の子供3人と犬猫たちを抱え、その時の気持ちは恐怖そのものでした、23日に夫婦でクリスマスイブの話をしました、まだ幼い子供たち、憶えていないだろうと思い、申し訳なく思いましたがクリスマスはしないと決めました。
24日、朝一番にH様(No.10)より、今日シャンプーできないかと電話がありました、もちろん断る理由などありません、シーズーのゴン、マルチーズの子犬メリーの美容をさせていただきました、夕方約束の時間に送迎し、当時8000円ほどの収入がありました、貴重な現金収入、悩みましたが帰り道、旧寺井駅前へ、地元のケーキ屋でショートケーキふたつを買いました、たくさんのケーキの箱が積まれ大忙しのお店、年輩の店員、なにかを感じてくれたのか最初袋に入れていたケーキを小さな箱に入れ替えてくれました。

一部の人はご存知かもしれませんが、昔駅前に小さなおもちゃ屋がありました、そこで3つのおもちゃ ロードローラーのミニカー お医者さんごっこのピンクの小さなケースに入ったナースセット ちびには鈴のおもちゃを買いました、2000円でしっかりお釣りが返ってきたきたことを憶えています。(一つは本物になりました)
ささやかなクリスマスイブ、ショートケーキに3本のろうそくを立て、なんと1月生まれの娘の3歳の誕生日までいっしょにしました、その時、赤いアンパンマンのベストを着て、そのケーキといっしょに立つ娘の写真があるはずです。
子供たちは、そんなクリスマスがあったことは知りません。私にとって本当にみじめなクリスマス、そんな悔しいおもいがあったからがんばれたのかもしれません、そして2年後、銀行をなんとか口説き落として現在の場所にお店を出すことができました。
最近になって思う事があります、あの忘れられないクリスマス、もしかするとあの年一度だけ本物のサンタクロースが、私が手に取るはずのプレゼントをおもちゃ屋に置いて見守っていてくれたのではないかと。

あの日、H様の電話がなければ、あの日のクリスマス、現在のお店はなかったのかもしれません、メリーも天国に旅立ちH様とは、もう10年近くお付き合いはありませんがH様への感謝を忘れないため、このお店がある限りカレンダーを届け続けるつもりです。
(カレンダーにブログの事を書いたお知らせの紙は入れませんでした)
お店の写真

奄美大島出身で明るい奥様、よく子供たちに黒糖のおやつをもらいました、やさしいご夫婦のお顔は一生忘れません、本当にありがとうございました。




年内、忙しい時期に入るためブログのアップは最後になります。
新年は、7日より平常営業いたします。