(※このブログは自分が観た映画を記録する為に綴っています。観てから数年経っていて記憶が曖昧なものもあります。映画の内容や登場人物の心情など、全て個人的な解釈となりますのでご了承ください。 )

 

 

 

 

 

 

今回記録する映画は『火花』。

お笑いコンビピースの又吉さんが書いた小説の実写化映画。小説も芥川賞受賞するなど当時話題になりました。小説は読んでいないので映画との比較はできませんが、映画は非常に面白かったです。

 

 

 

主人公・徳永を演じるのは菅田将暉さん。もう一人の主人公・神谷を演じるのは桐谷健太さん。又吉さん原作とだけあって随所に実際のお笑い芸人が出演しています。徳永の相方を演じるのは二丁拳銃の川谷さんですし、お笑い好きな人は観ているとこんなところにもあの芸人が、とそんな楽しみ方もできますね。

 

 

 

物語は売れない芸人の徳永が相方と葛藤しながら芸人人生を歩んでいくことがメインストーリーとなります。地方営業で出会った神谷と意気投合する徳永は、神谷との付き合いの中で、芸人とは何なのか、自身の目指す芸人像を今一度考えなおします。舞台の上でも、私生活でも”芸人”の神谷に感化され、徳永の芸人感が少しずつ変化していきます。

 

 

 

ネタを披露するシーンもあり、実際に漫才する菅田将暉さんと川谷さんは本当のコンビにも見えました。ツッコミの川谷さんがプロのお笑い芸人という事もあり、テンポ感もよく。見てて恥ずかしくなるような出来ではないです。流石俳優さんは何でも演じれますね。面白い漫才師を演じるのは想像以上に難しいと思いましたが、観てて違和感は感じませんでした。

 

 

 

徳永から、芸人として尊敬されている神谷ですが、その人柄には少し癖があります。好きな人は好きですが苦手な人もきっと多いでしょう。彼も芸人として決して売れているわけではなく、相方と試行錯誤しながら売れるべく努力しています。彼の場合はそれが努力と思うことはなく、好きなことをしてそれが受け入れられればいいというスタンスにも見えました。

 

 

 

また、神谷は人間的にはだらしないところもあります。借金をしたり女性に養ってもらったり、女性に好意を抱かれていることはわかっていつつも、自分の現状からか、今一つはっきりしない関係を続けています。そんな彼にも、転機が訪れます。転機が訪れ、生活環境が変わった神谷に対し、徳永は尊敬とは真逆の視線を送ることに。しかし神谷は気にしません。それこそが自分だと。そんな神谷を見て徳永は今一度芸人とは何なのかを考えます。

 

 

 

もちろん徳永にも転機が訪れます。いつまでも売れない芸人をしてるわけにもいかず、どうにか結果を出したいと息巻いている時に相方とのずれが生じます。今まで以上に熱が入る徳永とそうではない相方。2人の行く末も注目です。

 

 

 

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テレビに出てる有名な芸人ばかり見ていると、徳永たちのような売れない芸人の事はよくわかりません。知る機会がないからです。でも全国には彼らのような人はそれこそゴマンといて、決して珍しい話ではないのでしょう。この物語は主人公がバカ売れしてスターダムに上り詰める、そんなサクセスストーリーではありません。最初から最後まで、彼らは芸人で終わります。この物語は何も芸人だけの話では収まらないかもしれません。違う業界でも彼らのように苦悩して楽しんで結果が出たり出なかったり、そんな話は腐るほどあるでしょう。

 

 

 

本当に実在する売れない芸人のドキュメントを見ている様な、そんな気持ちにさせてくれる映画です。今日もどこかの劇場で笑いを取る芸人がいる裏で、一つのコンビが解散している。お笑いブームのピークから落ち着いた現代ではそんなことは日常茶飯事でしょう。芸人という職業に就く人に尊敬を覚えずにはいられなくなります。そして、この映画を観ることで、自分も頑張ろうと思える、そんな作品でした。

 

 

 

ネタシーンや、神谷の奇行など賛否出ることもありますが、個人的には総じて良い映画を観たと言えました。原作が現役の芸人だからこそ、ここまでリアルに世界観を創りこめたのかなと思います。芸人の物語だからと言ってドッカンドッカン笑えるシーンがあるかというとそんなことはなく、あくまで芸人という職に就いた人間の物語として観ると良いと思います。

 

 

 

映画『火花』。

鑑賞した後はお笑い劇場に足を運びたくなるような、そんな映画でした。

 

 

 

 

 

 

 

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