イット・ネバー・エンタード・マイ・マインド (マイルス・デビス) | 今日の一曲

今日の一曲

これまでに出会った心に残る曲を一日一曲選びます。貴方の思い出などありましたら教えてください。

It Never Entered My Mind (マイルス・デビス)
’40年 作曲:リチャード・ロジャース  作詞:ロレンツ・ハート
きれいな旋律ですが、決して目立つ曲とは思えません、それでいて一度覚えると決して忘れない、いつまでも耳の中に残る、こういう曲を名曲というんでしょうね。
演奏する人も歌う人もこの歌を気合を込めて演るという風ではなく、なんとなく静かに入って、なんとなくフェイド・アウトしていくというようなスタイルが多いように思います。
「Workin' With the Miles Davis Quintet」のマイルス・デビスもそういう感じです。さすがにここは「ブロック・コードでやれよ!」とは言わないようで、きれいなガーランドのイントロにかぶせてロマンチックにテーマを紡いで行きます。
マイルスはこの曲が好きらしく何度か吹き込んでいるようです。僕も二つのヴァージョンを持ってますが、マラソン・セッションの「クッキン」「リラクシン」に次いでプレステイジから出された「ワーキン」の中のものにします。’54年ブルー・ノートから出た「Miles Davis, Vol. 2 」でもホレス・シルバー(p)、パーシー・ヒース(b)、アート・ブレイキー(ds)という強力なリズム・セクションをバックに演ってます。どちらも間違いなくマイルスだと分かるのですが、「ワーキン」での演奏と聴き比べると、同じ演奏者とは思えないほど音の張り、表現力に冴えが無いように思います。
美しいバラードで、「Chet」でのチェット・ベイカーはマイルスのものよりゆっくりしたテンポで静かに語りかけるように吹いていてこれもなかなか聴かせます。
ジュリー・ロンドンやアニタ・オディの歌も哀調を帯びていてシットリとした味わいがありますね。