それから何日かして、街をぶらぶら歩いてみた。
いよいよ師走に入って、街はなんとなく年末らしい雰囲気になってきた。
店の飾り付けも、クリスマスの感じが出てきた。
イルミネーションもあちこちで目に入る。
町の中心部の広場に行ってみた。
師走の週末の夕方らしく、たくさんの人が集まっている。
公園の木々にもイルミネーションが灯され、綺麗だ。
やはり確実に季節は巡っており、近頃は本当に冬らしく寒くなってきた。
公園の中には、イルミネーションに飾られた子供向けの豆汽車ぽっぽが、走り回っている。
かわいくデコレーションされ、客車も3両ほどついている。
イルミネーションに飾られ客車の中に載っている子供たちも嬉しそうだ。
汽車ぽっぽと言っても、汽車の格好に飾りつけられているだけで、
本当はバッテリー式の電気自動車トロッコだけれど。
レールが敷いてあるわけでもないが、汽車のシュッシュッポッポという音や、
ボォ~という汽笛を鳴らしながら、走る。
舗装された公園内、イルミネーションで飾られた立木や花壇の間を、
人がゆっくりゆっくり歩くようなスピードで、ぐるっと回って戻ってくる。
ただそれだけのことだ。
こんな素朴な、ずっと昔からあったような乗り物なのに、今でも結構みんなに好かれている。
順番を待つ親子達が、10組ほどは並んでいる。
子供達も嬉しそうだが、それに劣らず楽しそうなのが親たちだ。
もっとも、子供達と言っても3、4歳以下くらいの幼児ばかりだけれど。
ほのぼのと懐かしい景色だ。
この素朴さが、かえって人気の秘密なのかも知れない。
スマホいじりに飽きて疲れたヤングパパやママが、フッと先祖返りでもしたように、
気持ちを休めるのに、とても向いているのかも知れない・・・。
ボォ~という汽笛も、かえって大人の方が郷愁を誘われているような・・・。
もっとも、汽笛の響きに郷愁を感じるのはむしろご隠居世代の我々の方なのかも知れない。
ヤングパパ、ママの世代は、汽車というものを非日常的な観光対象とか、映画の中とかでは知っていても、実用の場面では知らないかも知れない。
ご隠居世代の我々は、若いころには乗った記憶が、何とかある。
トンネルに入ったら、みんな急いで、いっせいに窓を閉めたりして。
さもないと、車内がもうもうたる煙で、むせかえることに・・・。
でも、汽車の実用体験のない若い人たちにとっても、汽笛の音はやはり懐かしい郷愁を誘うもののように思われる。
汽笛の音は、実際の思い出や記憶、経験を介して郷愁を誘うのではなく、あの音自体が持っている何か物悲しいような懐かしいような響きによって、直接生理的に郷愁の心理に働き掛けてくるのだろうか・・・?
どちらかだけとは言えないが、多分、後者の要素が強いのだろう・・・。




