書籍 『出版禁止 ろろるの村滞在記 (新潮文庫) 』長江俊和 | 福玉本舗〜ノンジロウのブログ〜

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 【畿地方のある奥深い山間部に、村はあった。心に深い傷を負い、積年の恨みを抱えた人々が最後に辿りつく「すくいの村」。だが、そこには呪いで人を殺すという根強い噂が……。2008年、近隣の廃村で陰惨な死体遺棄事件が発生。現場は暗い森に囲まれた酒内湖畔。遺体は切断され、樹木に釘で打ち付けられていた……。発禁となったルポライターの手記、エグすぎる真相。二度読み必至の衝撃作!『出版禁止 いやしの村滞在記』を改題。(Amazon商品紹介より)】

 本書「出版禁止 ろろるの村滞在記」は、2021年発売の「出版禁止 いやしの村滞在記」の改題版となります。
 
 まず注意したいのは今作には解説はありません。最初に解説を読む派の人は後ろのページをめくった時にうっかりネタバレ部分を目にする可能性があるんで気をつけてください。

 奥深い山奥に心に傷を負った人々が自給自足で暮らす集団がいるんですが、ネットではこの集団が呪術で人を殺してるという噂があり……って設定はおもしろいし、呪術に関する考察などもあって引き込まれて読みました。
 ただ、今作は構成が非常に凝っていて、そこの部分にある仕掛けがしてあるんですね。
 終盤につれて「???」って感じになっていって、最後に仕掛けが明かされるんですが、即座に「ああ、あるほど」とはならなくてもう1回読み直してようやく納得ってなります。

 小説でも映画でもこの手のものが結構あるんですが、個人的にはちょっと食傷気味です。以前は「一粒で二度おいしい」って感じだったんですが、今は普通に読んで普通に楽しめる作品の方がいいですね。
 結局いい作品って何回でも読めますからね。

 まあ、おもしろいのはおもしろいんで、凝った仕掛けのある小説が好きな人にはおすすめです。