書籍 『六人目の少女(ハヤカワ・ミステリ文庫)』ドナート・カッリージ | 福玉本舗〜ノンジロウのブログ〜

福玉本舗〜ノンジロウのブログ〜

映画や本、テレビ、音楽のことやイラスト、似顔絵等をきままに書いてます。





 【森で見つかった六本の左腕。それは連続少女誘拐事件の被害者たちのものだった。しかし、判明している被害者は五名。六本目の腕は誰のものなのか? 失踪人捜索を専門とするミーラ・ヴァスケス捜査官は、著名な犯罪学者ガヴィラとともに特別捜査班に加わる。だが、懸命の捜査にもかかわらず少女たちの無残な遺体が次々と発見される――(Amazon商品紹介より)】

 2009年の作品です。

 ドナート・カッリージはイタリアの作家で、デビュー長篇である本書は世界23カ国で刊行され、バンカレッラ賞、フランス国鉄ミステリ大賞、ベルギー推理小説賞など多数の賞に輝き、大型新人として注目を集めたようです。

 五人の少女が誘拐されて、その少女たちの左腕とみられる腕が森の中で見つかります。しかも腕は六本。もう一人誘拐されている少女がいることがわかります。
 その後の調べで六人目の少女がまだ生きている可能性があることが判明し、一刻も早く行方を突き止め救出しなければと緊迫感が一気に増していきます。

 冒頭から一気に引き込まれる展開でした。ひとつひとつのシーンの描写が丁寧で文章もうまくて、楽しみながらじっくり読める小説でした。

 ただ、次々とショッキングな出来事が起こり、話も二転三転し飽きさせない展開でおもしろかったんですが、いかんせん盛り込みすぎなんですね。
 今起こってるの連続少女誘拐殺害事件に加えて、同じ捜査班が扱った過去の事件も描かれ、さらに主人公のミーラをはじめ捜査陣がみな何かを背負っており、捜査が進む中でそれが微妙に絡み合ってくる構成なんですが、凝りすぎていてややっこしかったですね。

 一応登場人物一覧があるんですが、そこに記されてない重要な人物が後半どんどん出てきて、最後の方は「誰が誰やったけ?」状態でした。

 あと後半に主人公の知り合いの霊媒師の女性が出てきて捜査に協力するんですが、これによってちょっとリアリティに水を差したように感じました。

 中盤まで抜群におもしろいだけにもう少しシンプルな話にしてればずっとよかったのになーって思ってしまいました。ちょっともったいないなって思いましたね。