【天才女子高生（ミミズ人間）が謎を解き明かす！著者史上最強！衝撃のスラッシャー小説×本格ミステリ!! 自殺した妹・リチウム（ミミズ人間）の仇を討つために、刑事になったヒコボシ。事件を追いながら、リチウムを自殺に追い込んだ連中の尻尾を摑み、破滅させてやろうとたくらむ。事件の謎を解くのは、天才的な推理力を持つ女子高生探偵・マホマホ。しかし、彼女はヒコボシに監禁されていて……。文庫化に際し大幅改稿、著者渾身の本格ミステリ大作！（ 「BOOKデータベース」より）】
2018年に刊行された作品です。
例によって白井智之特有のエロ、グロ、下品、残酷描写満載の一作です。
まず各章のタイトルを紹介しますと『ミミズ人間はタンクで共食い』『アブラ人間は樹海で生け捕り』『トカゲ人間は旅館で首無し』『水腫れの猿は皆殺し』とこれだけで今作の雰囲気がわかってもらえると思います。
ミミズ人間とかトカゲ人間というのは今作内の架空の奇病の患者を指す表現で、特にミミズ人間はその容姿から世間からすごく差別されてるという鬼畜設定になってます。
登場人物も少女を拉致監禁してしてる刑事、連続強姦魔のミミズ人間、肛門にコバルト製の玉を入れることで幸福になれるという教義のベロリリンガという新興宗教団体の人々、ベトベト病の男などほぼ全員狂人か変態です。
ただ、こんな変態設定に関わらずミステリー部分は特殊な設定をうまく利用し、論理的にしっかり組み立てられていてすごくまともです。首のない死体、雪の密室殺人などの王道の状況も用意されてます。
しかも各章で起こる殺人事件それぞれに複数の論理的推理が用意されている「多重解決」になっていて、さらに最終章の『後始末』で4つの事件に対するさらなる真相も用意されているという超お得な作品です。
しかし、世界観をもう少しノーマルにしたら多くのミステリーファンに支持されると思うんですが、作者がこういう鬼畜な世界観が好きなんでしょうね。一部の熱いファンは獲得するけど一般受けは厳しいでしょうね。特に女性からの支持は難しいと思います。
個人的には嫌いではないんですが、あまりにこ濃すぎるんで、しばらく白井さんの作品はいいかなって感じです。