映画 『ハッチング―孵化―』 | 福玉本舗〜ノンジロウのブログ〜

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 【北欧フィンランドのとある街。12歳の少女ティンヤ(シーリ・ソラリンナ)は、幸せな家族の姿を発信することに必死な母親(ソフィア・ヘイッキラ)を喜ばすため、自分の感情を抑え込み、母が望む体操大会の優勝を目標とする毎日を過ごしていた。そんな中、彼女は森で見つけた奇妙な卵を家族に内緒で温める。やがて卵はふ化し、卵から出てきた「それ」は、誰もがうらやむ完璧な家族の実像を暴き出していく。(「シネマトゥデイ」より)】

 WOWOWで鑑賞。
 2022年公開の作品です。

 この作品で印象的なのが主人公の12歳の少女ティンヤの母親です。SNSで「素敵な毎日」と題して日々「どうです、私の家族。素敵でしょう!」って感じの動画を(臆面もなく)アップしてる痛ーいおばさんで、体操選手の娘に自分の果たせなかった夢を託して、コーチを差し置いて猛特訓。
 さらには愛人を自宅に入れ娘にキスしてるとこを見られても平気で「私恋してるの」という始末。挙句には週末には娘を連れて愛人の家に泊まりがけで遊びにいくという狂気の沙汰。

 こんな母親のせいで娘のティンヤは日々抑うつされ、それがとんでもないモンスターを生み出すことになります。
 森の中で見つけた不思議な卵を自室で密かに育てるんですが、両手で抱えられないほど大きくなった卵から生まれたのは巨大な鳥のヒナ。全身がねっとりと濡れていて羽もまばらにしか生えてないグロテスクな姿なんですがティンヤはこれにアッリ(水鳥)と名付け溺愛します。

 このアッリはティンヤと心も体もシンクロしていて彼女自身も気づかない心の奥底に潜む欲望を叶えていきます。夜鳴くうるさい隣の犬を殺し、体操のライバルである友人を襲い2度と体操のできない体にします。

 この作品のおもしろいとこは化け物のアッリが段々とティンヤの姿に変わっていくところです。見た目には髪の毛が生えてきて、くちばしが取れ、体つきはほぼ人間の段階あたりがかなり気持ち悪かったですね。

 母親の支配から自立する娘の姿をホラーテイストで描いてる作品だと思います。ホラーにしては各映画サイトの評価も比較的高くて(星3.6くらい)結構見応えのある作品でした。