書籍 『迷路館の殺人<新装改訂版> (講談社文庫) 』 綾辻行人 | 福玉本舗〜ノンジロウのブログ〜

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【奇妙奇天烈な地下の館、迷路館。招かれた四人の作家たちは莫大な“賞金”をかけて、この館を舞台にした推理小説の競作を始めるが、それは恐るべき連続殺人劇の開幕でもあった。周到な企みと徹底的な遊び心でミステリファンを驚喜させたシリーズ第三作、待望の新装改訂版。初期「新本格」を象徴する傑作。(「BOOK」データベースより)】

 「館シリーズ」3作目で1988年に講談社ノベルスで刊行された作品です。今回僕が読んだのは2009年に刊行された新装改訂版です。

 毎回風変わりな館が舞台になるんですが、今作は地下に造られた迷路を模した建物が舞台です。推理作家、評論家、編集者など8人の人間がミステリー界の巨匠・宮垣葉太郎の還暦の祝賀パーティーに招かれるんですが、その日の朝、肝心の宮垣葉太郎は自殺をします。宮垣が死ぬ前に残したテープのメッセージに従い4人の推理作家が5日間のうちに推理小説を執筆することになります。それぞれの作品は一緒に招かれた評論家、編集者たちによって審査され最も優れた作品を書いた作家には宮垣の莫大な遺産の半分を相続する権利が与えられます・・・。

 閉ざされた迷路館で作家たちが自分の書いた設定の通りに次々と殺されて行くという非常に推理小説っぽいストーリーです。
 今作はプロローグに続いて事件のあった迷路館に実際にいた人間が書いた『迷路館の殺人』という小説の形で惨劇の模様が描かれます。

 終盤犯人が明らかになった時点で、まあそうでしょうねって感じでそれほど驚きもなく、いくつかの謎もそこそこわかったし、比較的難易度低めで初心者向けかなーって思いました。ところがさすがは綾辻行人、エピローグで一気にひっくり返されましたね。

 ただ舞台になる迷路館がいかにもこの話のために設定された建物って感じで違和感あったのと(普通に生活するのにこんな家造らないし)、デビュー3作目で文章に深みがないのが個人的にはやや不満でした。