【仮面の当主と孤独な美少女が住まう異形の館、水車館。一年前の嵐の夜を悪夢に変えた不可解な惨劇が、今年も繰り返されるのか?密室から消失した男の謎、そして幻想画家・藤沼一成の遺作「幻影群像」を巡る恐るべき秘密とは…!?本格ミステリの復権を高らかに謳った「館」シリーズ第二弾、全面改訂の決定版。(「BOOK」データベースより)】
先日感想をアップした『十角館の殺人』に続く“館シリーズ”の第2作目です。
前作は孤島での連続殺人事件だったんですが、今作は嵐によって孤立した人里離れた館が舞台です。土砂崩れによって唯一の道路がふさがれて警察が介入できない状況のなかで殺人が起こります。
謎の転落死、密室状況から消えた男、バラバラ殺人と読んでて興味を惹かれる展開が次々と用意されてて飽きさせないですね。
1年前の話と現在の話が交互に描かれていて、現在の部分では水車館を訪れた探偵役の島田潔が1年前の事件の解明に挑みます。
新装改訂版あとがきで綾辻さんは「この種のミステリを読み慣れた読者諸氏の目には、やさしすぎる問題として映るかもしれない」と書かれてます。Amazonのレビューでも犯人はわかったというレビューをちょこちょこ見受けられました。個人的にはこんな真相見抜けるわけないっていうよりはよく考えたらある程度は真相にたどりつける作品のほうが推理小説としては楽しいと思うんですが、そういう意味では今作はなかなかいい塩梅かもしれません。
ちなみに僕は序盤でちょっと思い違いをしててミステリでは定番の可能性に思い至らず全然わかりませんでした。まあ、いつもとにかく先を知りたいんであまり熟考ぜずにどんどん読み進めていくんですけどね。
島田潔は『十角館の殺人』ではそれほど探偵としては活躍してなかったんですが、今作ではがっつり探偵してます。
あと密室からの消失のトリックは個人的にはとても理にかなってて上手いなと思います。
ミステリとしてはおもしろいんですが小説としては軽いかなって印象です。サクサクと読める作品なんでミステリ初心者の方にもおススメです。