書籍 『西の魔女が死んだ』 梨木香歩 | 福玉本舗〜ノンジロウのブログ〜

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【中学に進んでまもなく、どうしても学校へ足が向かなくなった少女まいは、季節が初夏へと移り変るひと月あまりを、西の魔女のもとで過した。西の魔女ことママのママ、つまり大好きなおばあちゃんから、まいは魔女の手ほどきを受けるのだが、魔女修行の肝心かなめは、何でも自分で決める、ということだった。喜びも希望も、もちろん幸せも…。その後のまいの物語「渡りの一日」併録。(「BOOK」データベースより)】

100万部を超える大ベストセラーで日本児童文学者協会新人賞、新美南吉児童文学賞、第44回小学館文学賞受賞を受賞してる本作は梨木さんの代表作といってさしつかえないと思います。
児童文学ということで今まで読まなかったんですが、決して子供向きって感じの軽い内容ではなく、梨木さんらしく優しく美しい文章で十分大人でも楽しめて感動出来る作品でした。

野いちごのジャム、ママのナイトウェアをリメイクしたエプロンとスモック、たらいと石鹸をつかっての洗濯、ミントとセージの葉をつかったお茶などおばあちゃんの手作りの品々がこの作品にほんわかとしたテイストを添えてくれてます。

死んだらわたしという存在は、どうなるのだろうという死生観に対する普遍的な疑問に対する答えがこの物語の中でおばあちゃんの言葉で語られるんですが、その解釈が非常によくて死というものに対するイメージが少し変わりましたね。

少し前にエッセイを読んだ時、生きていくうえで大事なことが決して説教臭くなく自然と心にしみわたってきたんですが、この小説もそういう人生に大切なことを教えてくれました。心地の良い余韻が残る一作でした。

あと併録されてる『渡りの一日』がさらっと読める短編ながらとてもよくできてていいんですね。まいの転校先でできた友達のショウコとの一日を描いてるんですが結構コメディ色もあって楽しい一編でした。