農業全書 019 中耕除草 「芸り耔う」(クサカリツチカウ、クサギリクサオオウ) | noninomのブログ

noninomのブログ

村をつくりたい
DIY、農と食、田舎暮らし、金融、世界情勢、歴史と自分の過去の経験など書いていきます。
農や一次産業に関する学び、栽培記録やデータ、勉強会などの活動も載せて行きます。

農業全書 019

 

間違い等あればコメントで教えてください🙇

タマゴタケ

自然農法家youtuber高内実さんの影響で始めたこの農業全書の勉強ですが、
「芸り耔う」ついに出てきましたニコニコ
刈った草を一箇所にまとめ、うっすらと米糠をまき積み重ねる。
雨が降ったら切り返し(混ぜる)を繰り返して、
タマゴタケができ、その後落ち着いたら畑に撒いて使うそうです。

 

ーーーーー

 

「農業全書巻の一

農事總(総)論 

 鋤芸(ジョウン、中うちしくさぎる)  第五

(中耕除草のこと※)

 

P65

 
 
すでに種子を蒔き苗をうへて後、農人のつとめは田畠の草をさりて其根を絶つべし。
莠(ラウユウ、糧、穀物の食料の事、莠は猫じゃらしなどの草)とて苗によく似たる草あり。
此草は苗に先立ちてしげりさかへ、暫時(ザンジ、少しの間)もさらざれば程なくはびこりて土地の氣をうばひ竊む(ヌスム)ゆへ、苗を妨ぐる事かぎりなし。 
由断なく収去るべし。
喩へば草は主人のごとし。
もとより其所に有来るものなり。
苗は客人のごとく、わきよりの入人(イリウド)なれば、大かたの力を用ひては悉く(コトゴトク)のぞきさりがたし。
其上よき物は生立ちがたく、悪き物の榮へやすきは世上よのつねの事なれば、草のさかへて五穀等を害するは甚だ速かなる物なり。
此ゆへに上の農人は草のいまだ目に見えざるに中うちし、芸り(クサギリ)、中の農人は見えて後芸る也。
みえて後も芸らざるを下の農人とす。
是土地の咎人なり。
又畠物は苗生じて馬耳のごとくなる時中うちするともいふなり。
苗一二寸土を生出でたる時、畦中の高下、土むら有るをばかきならし、芸りぬきたる草を田なれば苗の根の下に踏みこみ、畠ならば畦の高き所にげ(ヒラゲ、ヒロゲ)をき、かれて後うへ物の根のきはによせ置きて土をおほひ、又其上よりも糞をかくれば、枯れたる草腐りつぶれて土よく肥ゆるものなり。
是を耔(クサオホウ)と云ふなり。
古より耘耔(ウンジ)はくさぎり、草おほふとて、苗の根に枯れたる草かやをおほひおく事なり。
又五穀其外に中うちすること小鋤をよしとするとて、鍬熊手の類にて細かにかぢり懇にうつこ
となり。
大鋤に宜しからず。 
尤物により時にはよる事なれども、強くあらく中うちする事はよからぬ事なり。
只草の根を懇にうちさりて苗の根にあらくあたるべからず。
小鋤は草をさるのみならず、地熟して穀多く糠うすく米へる事なし。
委く(クワシク)中うちすること十遍なれば、八米を得るとて粃(シイラ、イシナ、くず米)なく實(実)多き事也。
又曰く、春の中うちは地を起し夏は草を削り殺しからすと心得べし。
是一つのならひなり。
又春は取分け濕気(湿気)のある時中うちすべからず。
夏といへども六月以後七月は濕に觸るゝもくるしからず。 
春しめりたるに中うちすれば地かたまりて苗病(イタ)むものなり。 
夏はなゑしげて日を見ることなし。
其故にしめるといへどもかたまる事なく、さのみ妨とならず。
又夏は熱氣つよくして底までかはきたるに、中うち深くすれば苗病む事あり。
又曰く、黍栗(キビアワ)の類は苗のいまだの高き所とひとしからざる時、はや中うち一遍し、又五七日して報鋤とてやがてうつ事なり。
其後又一遍以上三遍にして人手間なきものはやむべし。
餘力ある者は秀でて後も一遍かるくうちたるがよし。
但胡麻と大豆は二遍にしてやむべし。
 
○意訳○
 
種子を蒔き苗を植えた後、農人のすべき事は田畑の草を抜き根を絶つ事。
穀物の苗と雑草ではよく似たものがある。
これらの草は早く成長して繁茂し土壌の栄養を取られてしまい作物の苗の成長を妨げてしまうので、
迅速に取り去る必要がある。
草はその土地の主人のようなもの。
元々その場所で生息しているものだ。
作物は客人のように後からやってきた人。
作物は丁寧に扱う必要がある。
その上、良い物は育ちづらく悪い物の栄えやすいのは世の常、草が栄えて五穀等を害するのはとても早い。
故に「上」の農人は草の見えない時から中うちし(中耕し)、芸り(クサギリ、除草し)、「中」の農人は草が見えてから芸る。
見えてもまだ芸らない者を「下」の農人とする。
このような事では咎めらる事になるだろう。
また畑の苗は馬の耳のように成長した時中うち(中耕)するとも言う。
苗が一二寸(3〜6cm)に成長した時、圃場の高低やむらが有ればならし、抜いた草を田んぼなら苗の根の下に踏みこむ。
畑ならば畦の高き所に広げておき、枯れた後に作物の根の近くに置いて土で覆い、その上に肥料をかければ枯れた草腐りつぶれて土がよく肥える。
これを「耔(クサオホウ)」と言う。
古より耘耔(ウンジ)はくさぎり草おおうと言って、苗の周りに枯れた草や藁を広げておくことだ
また五穀その他に中うちするには小さい鋤(スキ)が良く鍬熊手の類で細かくほぐすよう丁寧に耕す。
大きな鋤は良くない。 
もっとも物や時による事だが、強く粗く中うち(中耕)するのは良くない事だ
ただ草の根を絶つために苗の根まで痛めては良くない。
小さい鋤は草を抜くだけでなく、土を耕し熟成させて、穀物を多く実らせ米を良質にする役割がある
丁寧に「十回中耕すれば、米8俵を得る」と言われ、くず米少なく実り多くなる。
(当時は平均2.4〜3俵程度と言われる※)
また春の中うちは土を起こす事、夏は草を抜き枯らす事と心得るべし。
これが一つの基本である
または特に霜などで湿気のある時は中うちすべきでない
夏でも六月以後七月は湿気が多いが問題ない。 
春の湿気のある時に中うちすれば土が固くなり苗が痛む。
 夏は草が繁り日差しを遮る。
こういった事から夏は湿気があっても固くなる事はなく中耕の妨げとならない。
夏は熱氣強く土の底まで乾くので、深く耕せば苗も痛む事がある。
また黍や栗などの作物が苗のまだ高い位置に成長が達していないとき、早めに中うちを一度行い、その後5~7日経ってから報鋤(ホウジョ、土を掻き混ぜる作業)を行う。
その後は一回〜三回中うちを極力やるべきである。
余力がある人は、さらに一回を軽く中うちすると良い。
ただし、胡麻と大豆については二回で十分である。
 
○感想など○
 
最初にも書きましたが
高内さんも秘術中の秘術として紹介していた
「芸り耔う」クサカリツチカウ
が出てきました。
農業全書の中では(クサギリクサオオウ)と
言っていますがわかりやすくしたのでしょうねにっこり
 
米糠を使い枯れて熟成した草を
作物の周りに覆うようにおくことで、
強すぎる日差しを遮ったり
逆に保温、保水して
土と作物を守り微生物の繁茂にも寄与する。
そしてそのまま栄養分となっていく。
これを江戸初期の頃から理解していた事は
驚きですねニコニコ
 
また草は主人で作物は客人として後から来た
という話も
野菜などはそもそも美味しく大きく沢山取れるように
品種改良などを繰り返してきていて
人間の手が入らないとほぼ育たない事も
言われ、自然農と言っても何もしないで良いという事ではないと。
 

農業全書の中では

何度も中うち、中耕する事が勧めてあります。
 
自然農では耕さない事が基本ですが、
現代の10〜500馬力あるトラクターで強力に耕すのと
人力や牛馬で耕すのは全く次元の違うものと説明されていました。
 
丁寧に中うちすといへども、、、
ですねにっこり

そういえば昔、田舎暮らしを初めた時に家の中の古い畳を畑まで出して積み上げて置いていたら、
(近所の人には草刈りの時に邪魔になるから辞めた方がいいと言われながら😅)
1年で半分の高さにまで潰れてキノコが生え、
更に1年でほぼ土となっていたのを思い出しましたにっこり
 
長くなりましたが最後までありがとうございますお願い
 

うちの畑でも「芸り耔う」を実践中です。(中央)

左奥は籾殻

 

 

 

続き 020⬇️

 

農業全書 記事一覧⬇️