こう言った状況下でも日本側は三菱重工業のF-2の製造ラインが2011年に閉鎖するのを受け、製造部署維持のために技術研究本部が指揮する「先進技術実証機」(ATD―X、愛称「心神」)の試作製作を3月28日に開始した。世界では米国のF-22、F-35、ロシアのPAKFA、中国の殲20(J20)など第5世代のステルス戦闘機が開発されているが、「心神」はこれらに続くものとされている。三菱重工業で同プロジェクトを指揮する浜田充プログラム・オフィス長は、「イメージは、相手から見つからない忍者のような航空機。高機動性に優れ、(攻撃を受けても)ひらりとかわすことができる」と話し、「エンジン排気口に付けた推力偏向パドルをかじに使うことで、通常なら失速する低速でも飛行を続けられる。さらに素早く機首方向を変えることも可能」という。総額392億円が投入されて試作される単座・双発の「心神」の最大の特徴は、
(1)電波を反射させないステルス形状、表面の電波吸収材などによる高ステルス性
(2)アフターバーナーと推力偏向パドルによる高機動性
このうち高機動性を実現するのは新開発の統合飛行制御システム「IFPC(Integrated Flight Propulsion Control)」だ。このシステムはパイロットがスティック1本で各翼と推力の向きを同時制御、従来では不可能だった高機動飛行を実現させる。一方、高ステルス性能は、空自レーダーサイトや海自イージス艦が侵入してきたステルス戦闘機をどのように探知するか、その能力を見極めるとともに、今後の新レーダー開発の供試体としても活用が期待できる。
「心神」のスペックは重量約13トンという以外は公表されていないが、三菱重工業によれば、事前に製作された実物大モックアップ模型(全長約14メートル、全幅約9メートル)とほぼ同サイズになるという。これに対してF-22は全長19・5メートル、F-35 Aは全長15・7メートルで、「心神」は戦闘機としてはかなり小型である事から"平成の零戦"と呼ばれているのかもしれない。試作機は今後、2年間かけて製造が進められ、同時にパイロット養成もシミュレーターを使って実施され、平成26年9月に初の日の丸ステルス戦闘機が初飛行を実施する計画だ。そろそろアメリカ依存から脱却する冪だし、国内産業の技術発展と供給部品は国内生産した方がコンピューターソフトのアップデートするにしても効率良く進む。


