【考察:宗教問題のまとめ】
仏教が伝来する以前の日本では、
宗教の概念がまだ明確ではなく、呪術や占いに頼っていた。
〇イザナギの水による浄め
〇アマテラスとスサノオの誓約
〇山彦・海彦にでてくる潮満珠・潮干珠
〇牡鹿の肩甲骨占い(天の岩屋戸)
〇神功皇后の釣り
〇ETC
上記したことは、何か事を起こそうとするときに縁起を担ぐ程度のことで、
人間であれば本能的な行動であろう。
チェンバレンが指摘しているように、
それは神の支配を意識したり
神への祈りによって幸福な未来を願ったりすることとは
一線を画しているのである。
チェンバレンは天災や天文観測などの記事がないことにも注目している。
日本列島は古代においても長雨や台風には繰り返し見舞われて
洪水やがけ崩れなどの災害に悩まされていたことはまちがいない。
古事記は天皇以外のことにはあまり焦点を当てることがないので
天皇が被災することがなければ
記事として取り上げることがなかったのかもしれない。
あるいは、不吉な天災などはあえて避けたのかもしれない。
天文観測については災害とは事情が違う。
古事記にはほとんど出てこないし、
日本書紀では出てくる巻と出てこない巻が明確に分かれている。
縄文人も弥生人も元はといえば海を渡ってきた人々の子孫である。
古墳時代以降の渡来人にしてもしかりである。
海を渡るためには星空に対する知識が必須だっただろう。
日食、月食、彗星など占いの対象になる事象も多くある。
古事記に天文観測記事がないことに対する適当な理由が思いつかない。