古田武彦の見解:『古代は輝いていたⅢ法隆寺の中の九州王朝』より

【釈迦三尊像と光背の銘文】

古田武彦氏は上記の著書の中「第四部法隆寺の中の金石文」で、

法隆寺系史料の分析を行っている。

まず最初は釈迦三尊像光背銘について。(第一章釈迦三尊の光背銘)

釈迦三尊像の光背は196文字の銘文が刻まれているが

金石文として古さ・質・量とともに一級品であることを認めている。

釈迦三尊像が世に言われるように飛鳥仏であることを古田氏は否定する。

その上で銘文の解釈に入っている。

【「法皇」は仏法に帰依した天子のこと】

銘文の中には「上宮法皇」と「干食王后」が並んで登場している。

文脈から二人が夫婦なのは間違いない。

古田氏は中国の文献の使用状況を調べて、「王后」が「天子の后」を意味することを確認し、

その夫である「上宮法皇」は「天子」であるとする。

「法皇」とあるので仏教に帰依した「天子」、「上宮」を加味すると、

「上宮に住む仏教に帰依した天子」ということになると説明している。

つまり釈迦三尊像の光背銘に記された「上宮法皇」は

通説でいうように「聖徳太子」のことではありえないと主張している。

「聖徳太子」は日本書紀の中で天皇になっていないからである。