V6「20周年」と「39 Symphony」。その1 | ノーナ・リーヴス オフィシャルブログ「LIFE」Powered by Ameba

ノーナ・リーヴス オフィシャルブログ「LIFE」Powered by Ameba

ノーナ・リーヴス オフィシャルブログ「LIFE」Powered by Ameba

西寺郷太・奥田健介・小松シゲル NONA REEVES

 7月31日、夜。自宅にいた僕のiPhoneが鳴り、目をやるとジャニーズ出版T氏の名前が浮かび上がった。久々の電話。もしかして、またV6の制作に呼ばれるのかも・・・。だったらいいな、そう瞬時に思った・・・。

 予感は当たった。

 しかし、こんなだいそれた仕事が待っているとは思いもよらなかった。T氏の話の内容は以下のようなものだ。

「V6、20周年のコンサートがもうすぐ始まる。今回はベスト盤発売でこれまでの歴代シングル曲を全曲なんらかの形でセットリストに織り込みたい。本編セットリストをメンバーと考えて、残りの39曲を後半の目玉として怒涛のメドレーにできないかと思っている。39曲で、制限時間は約40分。普通に考えると一曲1分計算だが、バラードなどにスポットを当てたり盛り上げることも考えるとかなり困難な挑戦かもしれない。
 メンバーが全員一致で西寺さんとcorin.さんの「にしこりコンビ」なら、やってくれるんじゃないか、と言っている。
 そして完成は、リハーサルの都合上申し訳ないんですが8月7日まで。出来上がった部分から振付や演出を同時進行で進めたい。明日、メンバーが全員前半部の確認で集まるので稽古場に来てもらえないでしょうか?」

 20周年で波に乗りまくっているV6。また彼らと仕事ができる。それもなんという光栄なオファーだろうか(めっちゃ大変だし、めっちゃ納期迫ってるし、俺もめっちゃ忙しいけど・・・)!絶対やります!と僕は返事をして、電話を切ったあと小さくガッツポーズをした。

 その後僕は深夜までベスト盤三枚組に含まれたすべての楽曲のテンポ(BPM)を計り、曲調をメモし、おおまかな全体像をイメージしつつ翌日のミーティングに備えた。

8月1日
 都内の稽古場で久しぶりに6人と会う。
 近づいてきた岡田君が微笑みつつ「どうすか?できますかねー・・・。」と39曲分の曲名が貼ってあるホワイトボードをちらっと見た。
 僕が軽いノリで「ん?できる!」と言うと、メンバーは笑っていた。
 確か健君が「にしこりコンビしかいないっしょ。こういうの出来るのは」と言ってくれた気がする。坂本さんも嬉しそうで、「おふたりともお忙しいのに急な仕事ですみません」と丁寧に挨拶してくれた。僕は「何を、何を!20周年の大事な仕事にまた呼んでもらえるなんて本当に嬉しいですよ」と言った。
 メンバーには持参していった発売直前の僕の著書「ウィ・アー・ザ・ワールドの呪い」をおみやげがわりに渡した。なんといっても彼らは「J-FRIENDS」でマイケル・ジャクソンのプロデュースを受けたこともあるのだ。

 さて、もう一度直接プランを聞き、彼らやスタッフとメドレーの構想を色々話し合った後、彼らは前半部の振付確認と稽古に突入。6人が稽古場で踊る姿に僕は感動していたが、邪魔するのもなんなので帰ることにし、その後、corin.さんと飲みに行った。
 この夜、渋谷を歩く俺たちは、数日前のハロウィンの若者並みに(仮装はしていないが)はしゃいでいた(笑)。プロとして、こんな楽しいオファーがあるだろうか。困難だからこそ燃えるというものだ。

 ともかく39曲分のライヴ用音源、演奏、コーラス、ボーカルなどがバラバラになったデータを揃え、PCに移すだけでも膨大な作業だ。それが送られてくるのが、二日後。
 たとえばある年しかやっていないライヴ用の別アレンジ、ヴァージョン違いもメンバーたちは混ぜてみると面白いかも、ということだった。結果的に渡されたデータは、50曲近いものになった。

 チーム郷太の優秀なエンジニア、兼重哲哉君と田本雅浩君の空いているスケジュールを全部抑え、作業は僕の自宅のGOTOWN STUDIOで行うことにした。
 たとえばBPM120台後半と130台前半のものはBPM130に揃えることで(ある意味DJ的に)上手に繋がる。その方法でサウンドと歌、ラップをバラバラにすれば、「愛なんだ」のラップが「Sexy. Honey. Bunny!」のビートに乗ったりと、20年間の曲が混ざる。いわゆる「メガミックス」と呼ばれる手法だ。僕の頭の中でいろんな曲のパーツが超合金のロボットのように合体していく。

 実は6月後半から7月にかけて二冊本を連続でまとめ、執筆業に専念していた僕は8月上旬に4日間インタビューや他の仕事を入れず、ミュージカル「JAM TOWN」のための楽曲制作でスタジオに籠ることにしていた。V6の依頼はちょうどそこにハマった(笑)。「JAM TOWN」はまたその後頑張ればいい(実際その後集中して3曲完成させた)。

 やるでしょ、そりゃ!なんといってもV6の20周年ライブの目玉メドレーなのだから!!!

 さぁ、はじまるでー!という感じで、次回に続きます。

西寺郷太


ウィ・アー・ザ・ワールドの呪い (NHK出版新書 467)/NHK出版
¥799
Amazon.co.jp