西寺郷太/99年4月のインタビュー(「バッド・ガール」完成時)。 | ノーナ・リーヴス オフィシャルブログ「LIFE」Powered by Ameba

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西寺郷太・奥田健介・小松シゲル NONA REEVES

ノーナ・リーヴスの西寺郷太です。

●高い所はお好きですか?(以下略)
 新宿のNSビルの展望台には、よく行きますね。人工的な建造物群の中にこそ、逆に隠れた人間のやさしさが映るような気がして好きなんです。

●高い所にのぼるとどんな気分ですか?(以下略)
 そのビルを設計した人や、それを現実化した大工さんの気持ちを考える。「父ちゃんはなぁ、このビルを建てたんだぞ」と何人の人が息子や娘達に自慢したか想像したくなる。夢のある話じゃないですか?

●曲を作る時のインスピレーションはどんなところでわいたりするのですか?(以下略)
 曲は毎秒ごとにうまれています。結局はその飛んでくるメロディーや言葉を捕まえられるかだけなんですよ。でも、高いところでつくった曲が、逆に4帖半フォークとかだったら、嫌やなー(笑)

●そこで、他の人の音楽を聴くとしたら、どんな曲がおすすめでしょうか?(以下略)
 クリストファー・クロスの「ニューヨーク・シティ・セレナーデ」

●この時音楽はどういうソフトで聴きたいですか?(以下略)
 最近買ったオレンジ色のウォークマンかな。

●その音楽のどんなところが、そのシチュエーションにピッタリくるのでしょうか?(以下略)
 ぽくは、この曲のタイトル(邦題)の「ニューヨーク・シティ・セレナーデ」という響きが大好きなんですよ。勝手なこじつけだけど、世界中から夢や希望にあふれた若者達が集う場所のイメージとして「ニューヨーク」ほどピッタリの街はありません。
 高層ビルの谷間で光っては消える青春の残像を、バカラックのメロディーラインが包み込んでゆく。その瞬間に、夢に破れた人々の絶望も美しい想い出に変わっていくのです。
 まさに時代が産んだ「クリスタルな」名曲、そしてシカゴの「素直になれなくて」に匹敵する名邦題だと思います。英語のタイトルとは全く関係ないんだけど。

●もし、その曲にまつわる想い出などがあったら教えて下さい。(以下略)
 ぼくがラジオ番組でこの曲をかけて、「このタイトル最高!」とか言いまくってたら、ワーナー(ぼくらのレコード会社)の名古屋エリアの所長さんが「実はそのタイトルはぼくが若い頃つけたんだよ」と教えてくれたこと。昔は洋楽の邦題はレコード会社の若い人がつけることになってたらしくて。その夜はビールがおいしかったです。