※これは「雑感」ですので、ツナの個人的な思いや考えです。どうぞご留意ください。
の続きです。順番に読んでね!
大人の発達障害の診断は、子供に比べてとても手間がかかります。
年齢が上がれば上がるほど難しくなります。
扱える病院やお医者さんはとても少ない
成人発達障害の診断が難しい理由はいくつかあります。
第一に、子供の頃の正確な様子がはっきりしないこと。
発達障害は生まれつきのもので、小さい頃から特性が表れています。
そのために親からの聞き取りが必要ですが、
親が高齢になっていて記憶があいまいだったり、既に亡くなっていたりすると、情報が得られません。
母子手帳や幼稚園・保育園の連絡帳や小学校の通知表なども資料として有用なのですが
探し出せなかったり、残っていない場合もあります。
第二に、他の疾患の可能性を考慮する必要があります。
(高次脳機能障害、パーソナリティ障害、双極性障害、統合失調症など)
子供の頃にネグレクトや虐待を受けるなど劣悪な環境にいると
脳の発達に影響が出てASDやADHDのような状態になることもあります。
第三に、二次障害を併発していることがあり、
そうすると表層の症状に隠れて発達障害が見つけづらくなります。
(うつ病、パニック障害、PTSD、不安障害など)
ここまでは実務的な手間の問題と言っていいかもです。(患者にとっても、医師にとっても)
以下は医療現場の事情
第四に、
病院(医師)は患者自身のためにならない診断や治療はしない、という基本理念があります。
(ただし重篤な他害や自傷や犯罪を起こした場合などは別ですが)
子供の場合は、まだ成長途中で社会に出る前なので、療育によって身に付くことがたくさんあります。
(年齢が低ければ低いほどノビシロがあります)
あるいは、「生きづらさ」を感じて自分から受診した成人の場合
自覚しているので、カウンセリングやSSTが期待できます。
また、就労が困難で障害者雇用を望んだり
障害者手帳の取得を望んでいる場合は、診断が必要です。
しかし
既に就労など社会生活を送っていて、本人が「生きづらさ」や「困り感」を持っていない場合は
診断のメリットがないと判断されることが多いですし、
逆に、診断が下りた場合のデメリットが考慮されます。
(ショックを受けてQOLが下がる・自尊心を傷つけて二次障害を起こし社会生活を送れなくなるなど)
【旦那さんはアスペルガー/アスペルガーとカサンドラ】 コスミック出版
また、そうした「困り感」のない人は往々にして学習能力が高く
問診やテストで「望ましいであろう回答」を考えて答えることがあります。
あるいは、自己認識に誤りがあって、事実でない回答をすることがあります。
『パーティーなどでいろんな人と雑談することが出来る』とか
『物より人に興味がある』といった設問に
「たいへんあてはまる」と答える夫に、
えっ 違うでしょ とビックリする妻、、、というのはよく聞きます
ASD(アスペルガー)の基準の一つであるAQテストの閾値は33点で
そのラインを越えることが診断の材料になっています。
これは定型の人の場合はせいぜい10数点までにおさまり
20点台後半とかになると傾向が大いにあるそうですが、
数値としては閾値を越えない限りは「基準に至らず」となります。
そして、ここに重要な問題点があります。
第五の理由と言ってもいいかもしれません。
WAIS-ⅢやAQテストの結果は数値で出ますが、その結果だけではなく
「医師による検分」
つまり、検査に立ち会って様子を観察し、患者と質疑応答し、そのやりとりや患者の雰囲気を総合的に見ることがとても重要なのです。
そのためには、専門的な知識と共に、多くの臨床経験が必要です。
(つまり、大人の発達障害を正しく診断するためには、子供の患者だけではなく大人の患者をたくさん診た経験が必要ということ)
臨床に優れた医師は、問診の段階である程度判断できるといいます。
これができるお医者さんの数が、絶対的に少ないと思われます
第六の理由として
大人のASD(アスペルガー)には、今のところ有効な医療行為がない
ということが挙げられます。
ADHDの場合は症状をやわらげる薬がありますが(副作用あり)
ASD(アスペルガー)には薬がまだありません。
(オキシトシン薬はまだ治験段階だし、期待できる効果はコミュニケーションの障害の改善のみ)
余談ですが、
もしASDの薬ができたら、病院はもうかるでしょう。
っていうか、もうけようとする病院が出てくるでしょう。
ASDの確定診断をバンバン出して、薬を出して、診療報酬を稼ぐようになるかも??
それはそれで怖いですね
「なんでも病名をつけるのは医者がもうけたいからだ」
というのは、そういうわけで成人アスペルガーには当てはまりません。
むしろ、診断を出しても全然もうからないっていう…
…と、成人発達障害、成人アスペルガーの診断が難しい理由はたくさんあります。
そうした結果、「アスペルガーではない」という診断になった場合…
診断が下りなかった旦那さんが
「なんだ、やっぱり自分は問題ないじゃないか」
「このままの自分でいいんだ」
という自信を持つと、もう特性をかえりみる機会がなくなります。
「おかしいと言う妻のほうがおかしい」
と考えるかもしれません。
ASD特性の中には人間関係を二極化する傾向がしばしばあり、
ヘタすると、妻を「自分の敵」として認定してしまいます。
そうなると関係はこじれて、以前よりも大変になってしまうかもしれません
診断のタイミングで一番良いのは
特性によって、大きな失敗をして、本人が自信を失った時だと思います。
(少なくともアキラさんの場合はそうでした)
(そういう実体験をお持ちの方からのコメントもいただきました)
その時、責めずに(難しいでしょうけれど)
いきなり核心を突かずに
たとえば…『あなた自身のせいじゃないのかも』と特性の話をしてみるとか、
本人のプライドを傷つけない言い方で
「お医者さんに相談に行ってみる」という方向に誘導してみるといいと思います。
“自分のために受診する” というチャンスを待って、その時を逃さないように。。。
それまでの気力と体力を養うために、
まずは自分のカサンドラを少しでも回復させましょう
回復が進んだら、もしかしたら診断のことはどうでもよくなっているかもしれません
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講演会 「家族なのにわかりあえない~カサンドラ症候群~」
12月9日(金)10時~13時 秦野市秦野文化会館
真行結子(フルリールかながわ代表)
野波ツナ
今回は「カサンドラ回復」と「子供への影響」を中心にお話します。
参加できない方に向けて、当日使用する資料の通販もあります。
読むだけでも講演の内容がわかるように作りました
詳しくはこちら わたぼうしの会HPにてご確認ください。
http://www2.hp-ez.com/hp/wataboushi/page13
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