スピリチュアル剤SPi 【15】


【迷い】


俺の変装は見破られる事無く、順調に軍馬県に着き、リニア線に乗り込み単咲県に向かっていた。


すると、リニア線電光掲示版にニュースが流れていた…


それは、「スピリチュアル剤」「S P i」服用を強化する新たな法令を施行する内容であった。


「国民の皆さまへ「スピリチュアル剤」「S P i」服用は…」


「新たに…」


「制度が改正されます…」


「詳細内容は、厚生省スピリチュアル剤服用大臣掲載…」


「政府機関のホームページをご確認ください」


と右から左へ電光表示が流れていた…


俺は「ハッ」とした…


それは、まだ施策段階である「S P i」が施行される事だ…


「無能な人間」と「有能な人間」の「S P i」服用剤を分ける法案なのだろう…


「ヤ・ミカエル」は焦っていた…


事実上、この国を動かじているのは「ヤ・ミカエル」であるが…


トップは総理である事から、著しく落ち込む経済の対応に…


「ヤ・ミカエル」への苦言が起きていた。


「ヤ・ミカエル」は迷っていた…


増え続けるモラルがない高齢者…


その高齢者の負担からこの国の未来を考えなくなった…


新しい世代若者…


そして、モラルが無い高齢者が引きを起こす考えられない交通事故…


それだけでも、悲劇が続いているのに…


人間の行為とは思え無い…


父親から幼い子への虐待…


そして死亡…


こんな世の中を「ヤ・ミカエル」は…


「スピリチュアル剤」「S P i」を全国民に服用させ…


対応したが…


しかし、意志を無くた国民は自発的行為が失われ…


気づき上げてきた、この国の開発力、技術力は衰退していった。


「私は間違っていたのだろうか?」


「ヤ・ミカエル」は自信を失いかけていた。


そんな時…


なぜ「ヤ・ミカエル」がここまで…


モラルが無い人間…


おかしな人間を…


抑制したかったのは…


それは、愛する家族を奪われたからであった。


決して忘れる事が出来ない悲劇を…


「ヤ・ミカエル」は今でも…


愛児からの手紙を見ては…


「ヤ・ミカエル」の世界を作り上げてきた…


「私の幸せを奪った奴は…」


「私が法を作り…死刑とした…」


「しかし、私の心は何も変わらない…」


「国民は私に服従し…」


「私の言う事を聞くようなったが…」


俺は「ヤ・ミカエル」がサイボーグであると思っていたが…


心を奥に潜んでいる悲しみは決して拭う事が出来ていなかった。


「ヤ・ミカエル」は悩んだあげく…


「もう、後戻りは出来ない…」


「私が信じた道を…」


「今の世界を…」


「私の世界を…」


「ヤ・ミカエル」の野心に再び火がついたのであった。


そんな事を俺は思っていると…


リニア線が単咲県に到着した。



【再び】


単咲県に到着した俺は、ホバークラフトで直和県に向かっていた…


離島にある直和県に約40分で到着する予定となっていた。


俺は「スピリチュアル剤」「S P i」に関わるようになってから…


1年が過ぎようとしていたが…


俺の人生…いや…


この国が激変した事が…


俺は直和県に向かうホバークラフトの中で思いを巡らせていた…


それは、夢にも思わないような出来事であった…


この国に訪れた、高齢者社会!


高齢者への恩恵が日に日に高まり、税金の負担は新しい世代…若者にのしかかり…


若者は未来を無くし、生きることに喜びを持てず…


それでも若者は、何かにすがりつきたくて…


若者は、「スピリチュアル」に関心を持つようになり…


「スピリチュアル」会のカリスマ「ヤンピー」を支持していた。


そんな「ヤンピー」が崇拝する…


「あの世ススメ」を国民に進める「ヤ・ミカエル」であった。


「ヤ・ミカエル」はチャネラーとしてこの国を変えるという野暮があり…


チャネラーとして国の代表である総理にも信頼があった。


その信頼は、国の代表となるためにチャネラーである「ヤ・ミカエル」の予言を忠実に実行した結果…


総理になれたからだ!


「ヤ・ミカエル」は総理から信頼を得た。


しかし…


高齢者の負担のため生きる喜びを失った新しい世代…若者…


それ以上に深刻な問題は…


高齢者による考えられない交通事故…


生きる喜びを無くした新しい世代…若者の引きこもりによる…


自虐行為…


両親の殺害…


自分の子どもを虐待し挙げ句の果てに…殺める。
人間では無い?父親…母親…


俺も憤りを感じいたが…


そんな事が繰り返されるこの国を変えるため…


「ヤ・ミカエル」は動き出したのだった…


彼、「ヤ・ミカエル」がこの国を激変させたい1番の理由は…


最愛の家族を奪われた事からであった。


この国を激変させる…


モラルが無い人間…


おかしな人間の心を浄化して…


穏やか人間にする事を考え…


「スピリチュアル剤」「S P i」を製薬会社「オリヒロ」と厚生省が研究開発して薬を作り出し…


これから向かう直和県で服用義務化に向け条例として施行後…


全国服用義務化が行われたのであった。


俺はこの薬「スピリチュアル剤」「S P i」に関わったのは「ヨリヒロ」のライバル会社である「ヤンケル」に勤めている事から…


調査として岡田、山田とこの島、直和県に訪れ「スピリチュアル剤」「S P i」服用義務化…


条例施行のイベントに立ち寄り…


そこで…


「スピリチュアル剤」「S P i」の不可解な事実を知り…


「ヤ・ミカエル」の野望が徐々に明確になりつつ中…


「スピリチュアル剤」「S P i」の成分配合のミスにより…


「S P iC型」という化け物を作り出し…


岡田、山田そして…


直和県人である冴島、大吾と共に「S P iC型」の特効薬を開発して対応したこと…


山田の「スピリチュアル剤」「S P i」の服用?


冴島夫妻の自殺…


岡田、大吾との決別…


などが…


俺の頭の中…


起きた事実が走馬灯のように描かれていた…


過去を回想していると…


ホバークラフトが直和県に到着し…


トラップを渡ろうとしたその時…


港で手を振る男女が確認出来た…


目を凝らして観ると…


港で手を振る男女は直和県知事である山田と副知事であるなんちゃんであった。



【上陸】


俺は直和県に上陸した。


多分…


政府関係者の尾行は無かったと思うが…


出迎えてくれた、山田となんちゃんは県知事、副県知事であり、有名人である事から…


事前の山田からの指示で俺は、直接ホテルに向かう事となっていた。


そして、山田の指示は正しかった…


やはり、直和県知事、副県知事が港に現れた事からマスコミが注目していた。


それは、今回行われる直和県の行事「スピリチュアル剤」「S P i」服用義務化一周年記念のイベントの一つとして…


「空からもイイけど!海からもね!」


「お越しください!直和県!」…


その交通機関として、ホバークラフトをアピールする事となり…


本土から民営企業調査団を招いた事からであった。


こんな調査時に俺をこの島、直和県に呼んで大丈夫なのかと思っていたが…


俺がこの島に着き関心が民営企業調査団に向けられる事から…


俺が政府関係者である事をわからなくする手段として…


山田が計画的にこの時期に調査を受け入れ…


実行したのであった。


山田の用意周到さが理解出来き…


山田が「スピリチュアル剤」「S P i」を服用しているのか…


俺は疑問に感じた…?


直和県で「スピリチュアル剤」「S P i」服用義務化を条例とし施行…


そして、全国展開され一周年を迎える…


飛行機以外の交通機関として…


本土から直和県の移動を考えリニア線→舟(ホバークラフト)の交通機関を山田県知事は提案し…


直和県への集客を考えていた…?


俺はホテルに向かいながらここまでの経緯を思っていた…


そして、直和ホテルに到着した。


俺は以前このホテルに2度来ているが…


これも山田の指示通り、受付に偽名として「ヤマモト コウタ」として予約してあるとの事からチェックインする事が出来た…


すると、見覚えがある顔である直和ホテルの社長である…


「丸山 誠」であった。


「丸山誠」は、俺が変装している事から…


「いらっしいませ…」


と挨拶をしただけで特に話すことは無かった。


しかし、俺は彼の変貌ぶりに再度「スピリチュアル剤」「S P i」の服用に対し恐怖を感じ…


今迄、この薬…「ヤ・ミカエル」に加担してき自分は…


それは、はじめて「丸山 誠」に会った時の印象…


活気にあふれ…


目的…目標…


将来のビジョンを語っていた姿がなくなっていたのだ!


このホテルの経営も実質…


国が行なっていると聞いている。


俺はホテルの部屋に入り、着替えをしていると…


山田から特殊なコールナンバーから部屋に備えつけられたラジオに音声が届いた…


俺はその情報を聞き…


山田と落ち合う事となった…



【一周年記念】


山田と落ち合いは夜中の2時となっているため…


それまでに時間があった。


現在、19時を回り腹が減った事からホテルのビュッフェで食事を取ることにした。


料理は、一年前と変わらずバイキング形式であり…


中華、イタリア、フランスなどいろいろな料理作られていた。


俺は歳をとったせいか、和食を主としていた…


直和県で獲れた焼き魚や刺身類などを食していた。


テーブルに着き酒を飲みながら刺身を食べていると…


「ヤバッ…」


中華のビュッフェに官僚である「スピリチュアル剤服用大臣」「腹中浄」とそれらのとりまきが皿に点心、エビチリなどを盛っていた。


俺はその時…


自分が変装している事はわかっていたが…


一抹の不安を感じていた…


それは、幾たびか「腹中浄」から前「スピリチュアル剤服用大臣」であった「ヤンピー」に関し…


苦言の申し立てがあったからだ…


「スピリチュアル剤」「S P i」は「ヤ・ミカエル」が総理と共にこの国を変えるため…


モラルの無い人間…


おかしな考えの人間…


それらの人間の心を浄化することを目的とした「薬」であったが…


あまりにそれらの人間が増え過ぎ…


それらの人間でなくても全ての人間…に


全国民に「スピリチュアル剤」「SPi」を服用させる事になった…


この時、この島直和県で「スピリチュアル剤」「SPi」服用義務化前に条例化し…


施行したのだった…


条例化イベントで「ヤンピー」が進行を務め…


その後「ヤンピー」は直和県知事となり…


「スピリチュアル剤」「SPi」服用義務化が全国民対応となり「ヤンピー」は「スピリチュアル剤服用大臣」となり閣僚入したのだった。


この時「腹中浄」は「スピリチュアル剤服用大臣」である「ヤンピー」のサポートとして「スピリチュアル剤服用副大臣」であった事から…


「スピリチュアル剤」「SPi」の開発・研究を進めていた…


「厚生省研究大臣」である俺に…


「腹中浄」は「ヤンピー」との考え方の違いを話していて…


総理、「ヤ・ミカエル」に苦言を発していた。


そんな事から俺は変装をしていたが気づかれるのでは無いかと…?


なぜ、この場に「腹中浄」が…


すると、立食している「腹中浄」とそのとりまきとの会話が…


酒も入り、声が大きくなっていた事で聞くことが出来た…


「スズキさん…」


お、今やスピリチュアル界ナンバーツーとなった「スズキゴロウ」がとりまきの一人となっていた。


「スズキさん、「ヤンピー」さんが一年前ここで行った「スピリチュアル剤」「S P i」服用義務化開始のセレモニーと同様…」


「今年、一周年記念をやるんだけど…」


「どうも私は乗る気が無くてね…」


「スズキさんにお任せして良いですかね?」


「ちょと、待って下さい!」


「貴方が「スピリチュアル剤服用大臣」なんですよ!」


俺は感じた…


官僚の仲が上手くいってない事を…


「腹中浄」は「ヤンピー」と違い人の心より金を優先する人物であり…


「ヤンピー」が「スピリチュアル服用大臣」であった時の実績などどうでもよく…


関わる事を嫌っていたのだ。


「スズキさん…私の言葉は絶対ですよ!」


すると「スズキゴロウ」は黙り込んでしまった…


「あと、スズキさん…」


「ホバークラフトの今後の展開は….」


勝手にしゃべりまくる「腹中浄」に「スズキゴロウ」は呆れ顔であった。


こんな話が聞け…


俺の素性が割れていないと確信が持て…


食事を辞め、部屋に帰ることにした。


時間は22時を過ぎようとしていた…


山田との落ち合いまであと4時間であった。



【隠された真実】


山田と落ち合う場所は、ホテルから5分程度離れた山林にある山小屋であり…


以前、岡田、山田と共に…


化け物化した「S PiC型」の襲撃を逃れるため避難した場所であった。


それは、直和県で新しい世代…若者の犯罪の減少、未来ある若者の活気促進から…


「スピリチュアル剤」「S P i」服用義務を県条例とし施行して…


1か月が過ぎた事「スピリチュアル剤」「S P i」を服用した若者に異変が起こり…


化け物化した「S P i C型」が県民を襲い…


襲われた県民は死して「S P i C型」化け物として復活し…


島はパニックに陥り…


俺達…岡田、山田が…


総理、「ヤ・ミカエル」に徴集され事態を終結したのだった…


あの頃の苦悩が思い出され…


想い出の場所である山小屋に到着した。


そこには、既に山田が椅子に腰掛け俺が来るのを待っていた。


「京介さん…」


「お久しぶりです…」


山田は今迄と違った表情であり…


オーラを感じ…


身長168センチと俺より小さかったが…


凄くデカくなったと感じた。


「山田…お前…」


「デカくなったな」


俺は自分が思っている事を口にした。


「元気だったのか…?」


俺は山田の苦難を知っていたので…


訳もなく涙が頬をつたい落ちていた。


「京介さんも大変でしたね?」


「山田…率直に聞くが…」


「何か…」


「こんな政局になり…変えていく…」


「目論見があるのか?」


「…」


山田は一瞬黙り込み…


「京介さん、はじめからお話しします…」


「はじめに…」


「京介さんが今の政府に加担するようになったのは…」


「僕、岡田さん、大吾さんそして冴島さんが「スピリチュアル剤」「S Pi」服用義務化法案において…」


「NO…の回答を出した事から…」


「そんな事から京介さんは…」


「政府…」


「総理、「ヤ・ミカエル」の言う事を聞き…」


「協力をするようになった…」


「しかし…」


「京介さんにも迷いがあった…」


「その時は…」


「京介さんもこの法案「スピリチュアル剤」「S P i」の服用義務化…」


「国民全員がこんな薬を毎日飲む必要があるのか?」


俺もそれは思っていたが…


そして、山田が間髪入れずに話しをはじめた…


「僕も理解できるんです…」


「この世はモラルが無い人間…」


「どうしょうも無い…」


「おかしな人間が増え過ぎました…」


「僕自身もなんちゃんと出逢い…」


「はじめは、狭い視野でしか考えられず…」


「この法案…「スピリチュアル剤」「S P i」服用義務化が最適と…」


「思いましたが…」


「しかし…」


「誰がこの薬「S P i」を飲むべきなのか…」


「本当は誰にもわからないんですよ…」


「そして、「ヤ・ミカエル」さんは…」


「最終的に、自分の生きがい、幸せを奪われた事からから…」


「全ての国民を支配する事を考え…」


「全ての国民「スピリチュアル剤」「S P i」の服用義務化法を確立させた…」


俺は、「おゃっ」と思いった。


「山田…お前…」


「…「S Pi」をなんちゃんは服用して白痴に近い「S P iB型」になり…」


「お前がモルモットとなり、試作段階の「スピリチュアル剤」「S P i」を服用して…」


「大吾がデータを採り解析したんだよなぁ?」


俺は半信半疑に山田に疑問を投げかけた…


「京介さん実は僕は「S P i」を服用しなかったのです….」


俺は何となく、そうかと思っていたが確信が持てないでいた。


そして俺は、山田に理解を、求めた…


「山田…どう言う事なんだ?」


「お前はあれだけ、なんちゃんの事を思い「S P iB型」を治したいと俺は感じていたが…」


「京介さん…全て今の政府…」


「…「ヤ・ミカエル」の世界から奪回する為に…」


「京介さんを欺いたのです…」


俺は愕然としたが…


やはりと言う一面もあり理解していた。


「あの京介さんの心理状態では…」



「総理、「ヤ・ミカエル」さんには僕達の疑い…」


「反逆の恐れが無い事を知らしめるため…」


「僕達は初めてに京介さんを欺き…」


「僕がなんちゃんの為に「S P i」を服用する…」


「しかし、大吾さんは僕が「S P i」を服用しなくても…」


「なんちゃんの「S P is B型」を元の性格に治す事を知っていたのです」


「そして、残念だったのは…冴島夫婦の自殺…」


「そして、京介さんの息子の翔太さんの死…」


「僕も「S P i」を服用していた島民との生活は精神的にやられましたが…」


「なんちゃんが「S P iB型」の成分を身体から放出させる事が…」


「僕の生きがいでしたから…」


「なんとか…」


「あとは、大吾さん、岡田さんとこの国を正常に取り戻す…」


「決意があり…」


「僕達は、絶対失敗しない計画を立てていたのです」


「はじめに、僕が直和県知事になる事…」


「それは、総理、「ヤ・ミカエル」さんを安心させる事なんですよ…」


「山田…どう言う事なんだ…?」


「え、京介さん…」


「京介さんが国民栄誉賞を受けるとき…」


「僕が日本武道館の2階から手を振り…」


「京介さんに「S P i」を服用していても県知事になれるとアピールした事…」


「京介さん感極まっていましたね…」


「これなんですよ…」


「僕は危険では無いアピールをして、仲間を集めていったのです…」


「その人がブティックを隠れみのとしている…」


「矢田 陽一さんなんです…」


「そして…ブティックに居たのは冴島さんの息子さんです」


「冴島家族は、「スピリチュアル剤」「S P i」を服用しなかった事から…」


「島民に疎外され冴島夫婦は精神がおかしくなり…」


「息子さんを連れに防波堤から荒波の中へ身を投げたのです…」


「奇跡的に息子さんだけが水面に浮いているところ…」


「漁船に救われたのでした」


「そして、冴島さんの息子と気付かれないように、矢田さんに預けたのです」


「それと、京介さんの息子翔太さんも我々の仲間だったんです…」


「あれは、「スピリチュアル剤」「S P i」賛成派の行動を把握するため確認する事が目的だったのですが…」


「翔太さんは少しエキサイトし過ぎて…」


「あのように射殺されてしまい…」


「今の政権はきっと逆らう者は…」


「殺せ…てき発想なんですよ!」


俺は、俺が知らないところで政権を変える準備をしていたのだと…


そして、あの暴動…


クーデターを起こす予言?


も計画として準備していたのだ…


「山田…ともあれ…」


「俺は、「スピリチュアル剤」「S P i」服用義務化を認め「厚生省研究大臣」として…」


「今の政権…総理、「ヤ・ミカエル」に手を貸した」


「裏切り者だぞ…」


すると山田がニコニコしながら…


「わかってますよ…!」


「でもね…」


「僕達皆んな…」


「京介さんの一途が好きなんですよ!」


「もういいんじゃなぁい…」


と言いながら扉を開けた…


その人物は…




【第一段階計画】


「京介さん、お久しぶりです」


「京介さん、元気でしたか?」


「…」


扉を開けて入って来たのは…


岡田と大吾であった。


俺は茫然とした。


「お前たち…」


「海外に…」


俺は一瞬…


考えがまとまらず…

文章として話す事が出来ないでいた。


「京介さん落ち着いてください」


岡田が大吾の顔を見て微笑みながら俺に話しかけた。


俺はやっと落ち着きを取り戻し…


「なぜ、お前たちがここに居るんだ…」



「お前たちは、「スピリチュアル剤」「S P i」服用を拒否したので…」


「国外に亡命し…」


「俺に手紙が来て…」


「京介さん…」


「俺達はずーっとこの島…直和県に居た…」


「いや、潜んで居たのです」


岡田が俺に話しかけ、大吾、山田が頷いていた。


「どう言う事なんだ!」


俺は強い口調で経緯を訪ねた。


そして、岡田が語りはじめた。


「私達、大吾さん、山田くん…」


「京介さんの立場、心情、精神状態などから…」


「京介さんを欺いたのです…」


「私と大吾さんはこの法令…」「…「スピリチュアル剤」「S P i」服用義務化が全国民適用となったその日から…」


「この国の再建…」


「元に戻す事…」


「そして私達は山田くんがこの島の県知事になるまで、人目を気にしながら…」


「山林でひっそりと暮らしていました」


「京介さんには申し訳なかったのですが…」


「私達3人の考えは…」


「はっきりしていた…」


「今の狂った政府…「ヤ・ミカエル」の政権崩壊を約束し合っていたのです!」


俺は、物凄く恥ずかしくなり…


自分の精神の弱さを痛感させられた。


岡田の話は続き…


「この計画は絶対失敗出来ないんです…」


「まず「ヤンピー」さんの閣僚入り…」


「そして、山田くんの直和県知事就任…」


「これが第一段階の計画クリアなんです…」


「ここ直和県から「スピリチュアル剤」「S P i」服用義務がスタートしたんです…」


「ですから、この島直和県から政権の奪回を考え…」


「山田くんを直和県知事に就任させられ無いかと…」


「そしてあの大芝居を打ったのです…」


山田がニヤニヤしながらこの話を聞いていた。


「なんちゃんが「S P iB型」により人格が変わった事は確かでしたが…」


「山田くんが「スピリチュアル剤」「S P i」を服用してデータを取ってその症状の確認なんて…」


するとこの事に対して、大吾が話して来た。


「…「S P iB型」は心に妬みや怨み…憎悪が無い人間になりやすい事から…」


「心に妬みや怨み…憎悪がある人間になりやすい「S P iC型」と違い…」


「心の浄化の必要が無いため、俺が以前開発した錠薬で対応できたんですよ…」


俺は岡田、大吾、山田の意気込みを感じ…


ワクワク感が芽生えて来たが…?


心の奥底では僅かに残る「後悔の念」が恥を知れと…語っていた。


話しが、大吾から岡田に代わり…


「山田くんは「スピリチュアル剤」「S P i」を服用せずに…」


「上手く出来き…」


「…「ヤンピー」さんが閣僚入りし…」


「総理、「ヤ・ミカエル」が「スピリチュアル剤」「S P i」が直和県での成功から…」


「全国対応と考えはじめ…」


「そちらに気持ちがいってた事が大きく…」


「山田くんが「スピリチュアル剤」「S P i」を服用しなかった事がわかっていなかったのです」


「山田くんは、なんちゃんと共に島の人間に慕われ、「ヤンピー」さん、「ヤ・ミカエル」の信頼を勝ち取り…」


「…「ヤンピー」さんが閣僚入りし、山田くんが直和県知事に就任したのです」


「これを期に監視の目が緩み…」


「大吾さんと私はやっと落ち着ける生活が出来るようになりました」


「しかし…」


「山田くんから聞いてると思いますが…」


「もう少し我慢が出来たら…」


それは冴島夫妻の自殺であった。


「あと、京介さんの息子翔太くんの射殺」


「これは、計画の失敗でした」


岡田は俺に詫びを入れ…


大吾、山田は頭を深く下げた。


それて、話しは第二段階計画の話しに入った。




【第二段階計画】

その次に第二段階計画は大吾が説明し始めた。


「京介さん、第二・三段階計画まであり…」


「現在、第二段階計画の途中となっています…」


「第二段階計画は「ヤ・ミカエル」政権に揺さぶりをかける!」


「この案は、岡田さんが考えたことで…」


「それは、「S P i」を全国民が服用して高齢者の事故や虐待など…事件が減少した」


「しかし、あり得ない事が起こった…」


「デパートなどの強奪事件…」


「やはり、お前たちだったんだ…」


俺は「ヤ・ミカエル」が強奪事件の事を俺に話した時…


身体の何処かで、「ヤ・ミカエル」に逆らう…


奴隷化したこの国を…
おかしくなったこの国の人々を…

救う…

救世主が現れたと…


俺は五感を超えた身体の何処かで感じていたからだ…


「お前たち、かなり大胆な事したなぁ?」


「いや…」


「これは、こんな薬の服用を拒否した事から…」


「この世を去った…」


「冴島夫妻、京介さんの息子の翔太君のため…」


「この国の未来の為…」


「そうだったのか…」


俺は意識無く…


涙が頬をつたっていた。


大吾の話しは続き…


「そして、強奪事件として「ヤ・ミカエル」の心を揺さぶり…」



「少し間を空けて…」


「間を置く事で総理、「ヤ・ミカエル」も「何かの間違いだった」のだと…」


「思い始める…」


「今の政権…」


「閣僚のもろさはここにあるんです…」


「それは、閣僚の中で、総理、「ヤ・ミカエル」に意見を言える人間がい無いんです…」



「唯一意見を言えたのは「ヤンピー」だけたったのですが…」


「しかし、その結果「ヤンピー」は自分の意志を貫き…」


「国会議事堂の屋上から飛び降り自殺し…」


「下半身付随…」


「車椅子生活となり…」


「政界から去って行きました」


「そして間を置いてから…」


「政府のホームページに声明文を送ったのです…」


「あと俺達は「ヤ・ミカエル」を揺さぶる事だけで無く…」


「総理と「ヤ・ミカエル」の分裂も考えていました…」


「わかりますよね?」


「総理からすれば絶対あり得ない事ですから…」


「総理にはもう一つ頭が痛い事があります…」


「京介さんもご存知の通り…」


「…「S P i」を服用することから、総理、「ヤ・ミカエル」に服従するようになりましたが…」


「この国の国民は考える力…」


「発想力が無くなり…」


「経済において世界から取り残されたのです」


「そして、そのツケのお鉢は「ヤ・ミカエル」についたのです」


「そこで京介さんに新薬の開発を要求してきましたね?…」


「ここまで情報が…」


俺は絶句した…


「既に総理は「ヤ・ミカエル」に不信感があり…」


「分裂を起こしています…」


「そして第二段階計画の最後は…」


「今なんですよ…」


その言葉が大吾の説明の最後であり…


周りにいる、岡田、山田は微笑んで俺を見ていた。


そして山田から


「京介さん…」


「お願いがあります」


俺はなんとなくお願いを察知したが…





【第三段階計画】


「俺にどうしろと言うのか?」


「ここまでの事…」


「裏切り者の俺に何を協力しろと言うんだ….」


俺は素直になれないでいた。


「お前たち…」


「俺を信用していいのか?」


「仮にも俺は今の政権で…」


「厚生省研究大臣…」


「なんだぞ…」


「そんな俺を…」


すると、山田が…


「過去の事はわかっていますよ!」


「しかし、政権が総理、「ヤ・ミカエル」に委ねられ…」


「…「スピリチュアル剤」「S P i」服用義務化が全国民展開された事から…」


「偶然であったのですが…」


「京介さんは自分の判断がつかないまま…」


「悪い言い方をすれば…」


「今の総理、「ヤ・ミカエル」のしもべだったんですから…」


「しかし、京介さんが閣僚に入った事を知り…」


「僕達は…」


「今の政権を陥落される確信が生まれたのです…」


俺は部下であった、岡田、山田を裏切った事の恥が…


心の中で俺はなじり続けている…


『お前は、どうしょうも無い奴だ…』


『お前は、どのツラ下げてここに来たんだ…』


俺の心の中でもうひとりの悪魔のような人格が現れ…


俺をなじり続けていた。


すると岡田が…


「京介さん、私 は全て、信じているわけでは有りませんが…」


「私の上司であった人…」


「尊敬していた人は…」


「信じるべきだと…」


「それは、山田くんも大吾さんも同じなのです」


俺は岡田の言葉が心に沁みわたりった。


「でも、岡田…」


「どうして俺が閣僚に入った事で…」


「今の政権を陥落される確信が生まれたんだ?…」


今度は山田が話し始め…


「京介さんは絶対、僕達の味方で…」


「僕達を裏切るわけないと信じていましたから…」


山田の言葉から…


俺の心の中に居た悪魔が消え去ったのを感じ…


俺は号泣と共に嗚咽していた。


「お前たち…」


そして大吾が…


「京介さん….」


「俺達に協力してくれますね!」


俺は嗚咽を、堪えて…


「協力させてもらうな…」


そして、大吾、岡田、山田が…


「ありがとうございます」


の言葉が告げられ…


新しい政権…


総理、「ヤ・ミカエル」の狂った政権を陥落させるため…


俺が新しい政権に協力する事が第二段階計画の終了であった…


そして、第三段階計画は…


俺が閣僚に戻りスパイとなり…


各官僚の情報を収集して…


総理と「ヤ・ミカエル」の関係を分裂させ…


そして…


政府ホームページでの声明を実行し…


政権を奪還する事であった。


「京介さんお願いします!」


岡田が言葉を発し…


俺は頷き…


東京に戻る事となった。