スピリチュアル剤SPi【9】




【襲撃】


研究施設に到着したが…

嫌な感覚が脳裏をよぎった…

瞬間…

異臭が立ち込め…

3体の「SPiC型」感染者…化け物が現れた…

俺達は、誰が指示したわけでもなく、5人背中を合わせて…

化け物の襲撃に備えていた。

化け物の顔はドス黒く、目は一点を見つめ淀んでいた…

化け物を見るのは、今回で3回目となるが…

こんなにはっきりと観察出来るのは初めてだった!

しかし、おかしい…

化け物が以前のように襲撃してこない…

俺達をいたぶるような呻き声を上げいるだけで…

すると、1体の化け物が肉の塊を左手に持ち…

口を動かしながら、淀んだ目で俺達を威嚇していた。

今迄、気が付かなかったが…

化け物の足元に1体の人が無惨にもうつ伏せに倒れていた…

俺は小声で…
この状況を打破する為…
大吾に話しかけた…
「大吾…」

「手っ取り早く、この化け物さばく方法あるか?」

「俺は、ピストンを持っているけど…」

すると大吾が…

「京介さん、化け物と闘いは避けられるかも…」

「え、大吾、どう言うことだ!」

「今は、ご存知の通り、お腹を満たしていて…」

「空腹じゃないから、威嚇とただ眺めているだけだと思いますが…」

大吾の言葉から予想と判断できるが…

今の状況から大吾の判断を俺は信じる事にした。

そして大吾が…

「化け物…「SPiC型」感染者の知能は欠如していて…」

「感染した事から、今迄の人間としての知性が無くなり…」

「空腹を満たす事しか考えられ無いのです」

「化け物して、今考えられるのは…」

「食事中に、来訪者があったんで…」

「本能的に俺達のところに来たと思いますが…」

俺は、ここまで大吾が「SPiC型」感染者の事をわかっている事に関心していた。

そして、足元の1体は、「ヤ・ミカエル」率いる自衛官…

イシワタ主幹の部下である事が、上着でわかり…

化け物の足に纏わりついた事から…

化け物が足でゆっくり蹴り上げると…

おぞましい事に、喉仏がえぐり取られていた…

俺達は大吾の指示により…

彼が持っていた竹の棒を、地面にたたき…

3体の化け物の気を引いたところで、逃げ出し…

研究施設の扉を開け…

中に入ったが…

思わず…



【研究施設】


研究施設の中は…

施設における、研究・開発などの機能を満たす状態では…
無かった…

すでに「SPiC型」感染者…」

「化け物に占領されていた…」

「京介さん…」

「かなり…まずいですね?」

岡田が俺に声をかけてきた…

「遠心分離機と攪拌器があるかが問題だなぁ?」

大吾が俺の代弁をしてくれた…

すると、冴島が…

「それより、大吾…」

「大丈夫なのか?」

「ここに居て、化け物に襲われる事は無いのか?」

すると大吾が…

「俺の感だが…」

「…「ヤ・ミカエル」の手下が京介さん達を探しに来て…」

「…「ヤ・ミカエル」の指示でこの研究施設に訪れたが…」

「…化け物の餌食になり…」

「何人かが犠牲となった」

「化け物の足元にあった遺体は、自衛官…イシワタの部下であり…」

「化け物は、満腹であることから…」

「その遺体は、喉仏を食われているだけだった…」

「そんな事から、俺達は襲われ無かったと…?」

しかし、俺は「SPiC型」感染者…

化け物がそんな…

都合よく…

奇跡的な偶然はわかるが…

この研究施設内に入り込み、外の化け物をシャットアウトする為、しっかり扉は閉めたが…

施設内に化け物が居たら俺達も…

「ヤ・ミカエル」の手下同様…

餌食になってしまうのか?

大吾は満腹だから…

問題無いと言っているが…

すると大吾が…

「まあ、遠心分離機と攪拌器が存在するかだなぁ?」

「大吾、早く探そう…」

「この状況を嗅ぎ付け…」

「…「ヤ・ミカエル」が来る事になる」

「そうですね…京介さん」

俺達は、遠心分離機と攪拌器を調達する為、奥の施設の扉を開けた…

瞬間…

物凄い悪臭が鼻腔に入り込み…

俺達は、吐き気を覚え…

俺は、ハンカチで口を抑えたが…

それも虚しく…

鳴咽がはじまり胃からの固形物を口に為…

吐き出していた!

それは、俺だけでは無く、岡田、山田も同じだった…

しかし、噎せてはいたが冴島と大吾その様な事は無かった。

その部屋には、夥しい血痕とボロ切れのような布が散乱していた…

俺は察知した…

これは、化け物の餌食となった人の産物では無いかと…

するとそんな中、2体の化け物が施設のステンレスで出来ているシンクに尻を入れ熟睡していた…

俺達は、起こさないよう、隣の施設に移動した…

そこの部屋は、荒らされる事なく…

実験機器が並べられていた。

「京介さん…」

「この部屋にありそうですね…」

「遠心分離機と攪拌器が…」

山田が俺に声をかけてきた。

そして俺は…

「皆んなどうする?」

「この施設で特効薬を作るか?」

「遠心分離機と攪拌器を持ち出すか?」

「ここでの作業はリスクが多過ぎて…」

「かなり…」

「危険だぜ…!」

すると大吾が…

「そんなに重量が無いから持ち出す事にしょうか…?」

流石、大吾…

時間無い事から、決断が早く…

俺も同意した。

「良し、探して持ち出すぞ!」

遠心分離機と攪拌器は、部屋側面にある棚に収納されてた。

思ったより早く探し出せた。

「良し、俺が遠心分離機を背負うから持参したロープを…」

「俺の身体に括り付けてくれ!」

冴島は、漁師である事から…

この様な事がある事を想定しロープを用意していた。

そして遠心分離機を背負わせた。

攪拌器は、軽く小さいため山田が持参したバックに入れ持ち出した。

「さあ、退散するぞ!」

俺が声をかけ…

研究施設を出る事にしたが…

研究施設入り口で化け物の餌食となり…

喉仏を食われた…

「ヤ・ミカエル」の手下である…

イシワタの部下の遺体が眼を覚ました…



【感染者】


俺達は、特効薬を作るため研究施設から、遠心分離機と攪拌器を持ち出す事にした。

遠心分離機は、冴島が背負い、攪拌器は、山田が持っていた…

しかし、誰もが予想しない出来事が待ち構えていた。

「大吾さん、冴島君は、あの臭い大丈夫だったんですね?」

「私も京介さんも嘔吐していまいましたよ…」

岡田があの臭いに耐えられた…

大吾と冴島に感心していた。

すると冴島が…

「人間の肉が腐敗する臭いはキッいですよ…」

「しかし、漁師は魚相手ですから…」

「生臭い事に慣れているんですよ!」

「なあ、大吾!」

冴島が大吾に同意を求めた。

すると大吾が…

「そだなぁ…」

「俺の場合は、冴島と違うんだよ…」

「冴島は、根っからの漁師…」

「俺は、途中からだから…」

「自分が好きで漁師となったが…」

「生臭いのはキッかったよ…」

「慣れるまでは…」

「俺の場合は、早く慣れる為に…」

「イメージしていた事があるんだ…」

「この生臭さは、魚…」

「焼けばどうなるか…」

「想像するんだ…」

「俺の場合、不思議にその臭いが…」

「香ばしい、美味しい魚の臭いに変わるんだ…」

「すると唾液が口に広がり、食欲が湧いてくるだよ…」

俺は大吾の変わったイメージトレーニングに関心したのだが…

あくまでも今回の場合は、腐敗した人間の肉の臭いである事から…

そもそも対比する事が変だと感じていた。

そんな話しをしながら出口に向かっていた…

「おい、皆んな慎重にな…」

「化け物を起こさないようにな…」

俺は、満腹であることから、ステンレスのシンクで寝ている…
化け物を起こさない様に小さな声で注意していた。

そして、出口に辿り着きドアを開けか瞬間…

化け物に喉仏を食われた…
自衛官イシワタの部下であった感染者が佇んでいた…

襲いかかって来た化け物を…

俺は、咄嗟に…

右手で払い除け…

危機を免れたが…

化け物に左手を掴まれ…

噛み付かれ…

俺は、大きな悲鳴を上げていた!

「ゴグッぐ…わ…わ…わ…わ…」

その時、俺の脳裏に浮かんだのは…

ピストンで脳天を撃ち抜かれる事だった…



【ある夢】


俺は、夢を観ていた…

それは、忘れる事が出来ない妻…

女房の死であった。

俺はある意味仕事の虫…

そして、出世願望だけで生きて来たような気がする…

しかし、この歳になってもリーダークラスに留まっていた。

俺は常に誰かに認めてもらいたかった…

新規商品を作り上げ…

非の打ち所がない…

プレゼンを行い事業部長、常務からも賞賛を受けていたが…

俺が手がけた新規商品に少し手を加えられ…

他の人の成果となっていた…

俺は、痛烈に抗議したが虚し結果となった。

他の人とは、同期である俺の親友友部であった…

友部は、俺にひたすら詫びを入れ逆に上司に手柄は俺の功績と直訴していた…

俺は哀れだった…

そんな自分が好きになれず…

家庭では女房に辛くあたり、彼女が病を患っている事も察知出来ないでいた。

俺が女房の病に気づいた時には…

重度の膀胱癌であった…

要因は遺伝もあったが、俺から受けるストレスが…
癌の進行を加速させたのだと医師から聴かされた。

女房を亡くして…

俺は考えて、考えて…

何が足りない?

何がいけない…と?

しかし、答えは出ない。

俺は、友部と自分を比較して観た…

違う点は、俺は自分を愛せない…

自分を好きになれない事だった。

友部には、人を思いやる心があり、自分を信じる…

それは、自分が好きであることが友部と話しをしていて、感じる事が出来た。

俺も少しづつ自分を理解し、好きになれるよになっていた。

それから…

部下に慕われ…
この様になれたのであった。


しかし、女房を亡くした…

心の痛みは今も俺の何処かで…

後悔の念がうずくまっていた…

俺はこんな回想的な夢かそれとも…

違う世界…か

あの世…か

わらかないまま…

頭が働き続けていたのだが…

気がつくとそこは、病院のベットの上であった…

俺は、その状況からやっと、自分が化け物に左手を噛まれた事が…

認識出来たのであった…

俺は左手を化け物に噛まれた事からか、感染の恐れを防ぐため…

頭部をピストンで撃ち抜かれると思っていた…

それは…

「ヤ・ミカエル」の部下である自衛官のイシワタ主観が感染した…

山本次官の頭部をピストンで撃ち抜いたからだ!

俺は生きている事から安堵していた…

次に俺は、噛まれた左手を確認した…

すると…



【俺の左手は】


俺の左手は、健在であった…

しかし、指の付け根から先に包帯が巻かれていた。

そして、右手の指の感覚とは違い握る事が出来ないようだ。

特に、左手の中指が死んでしまった様に動かす事が出来ず…

麻酔を打たれ、これから手術するような感じであった。

それは過去…

学生時代…高校での事だった…

当時は、木製の机であり…

古い机であった事から、上面部がえぐれ…

木片がサメ肌の様になっていた。

そのサメ肌は均等であれば問題無かったのだが…

一箇所が鋭く鋭利であった事に気が付かず…

席替えのため、机を持ち運ぼうと上面を握ったその時…

右手の人差し指に激痛が走った…

それは…
右手の人差し指先端、爪との間に木屑が入り込んだからだ!

木片を友人に取ってもらう為…

ピンセットを渡し依頼し…

なんとか木片を抜き取ろうとしたが…

木片は抜き取るが出来ず…

激痛と共に俺の指先体内へと入っていった…

そして
どうする事も出来ず…

学校から病院に行き…

麻酔が打たれて、右手人差し指先端をメスで切開し…

木片を取り出した事が…
思い出された。

それが今の状況である…

化け物に噛まれた左手…

中指の感覚であった。

俺は、自分の安否…

化け物に噛まれた左手の記憶から…

回想していたが…

大吾や冴島…

そして、岡田、山田は…

どうしたのであろうか?

俺は化け物に噛まれ…

気を失ったのであろうか?

すると俺は、ある事に気づいた。

俺はベットから離れないように、両脚、胴体、腕と固定されている事がわかった。

俺は、ヤバイと感じたのは…

覚醒してから、5分以上過ぎてからだった…

そして俺は…

今の状態をやっと悟ったのであった…

すると、扉を開け…

「ヤ・ミカエル」が…

現れた…



【回想】


「京介…あまり梃摺らせんなよ」

久しぶりに「ヤ・ミカエル」の肉声を聞いた…

俺は「ヤ・ミカエル」に話しかけようとするが、声が出ない…

すると…

「ヤ・ミカエル」が…

「京介、今の状態でお前は話すことが出来ない…」

「それは、「SPiC型」感染者に噛まれた事から…」

「感染者の細菌が回らないように、ワクチンを投与したんだよ…」

「しかし、京介お前は強運の持ち主だ…」

俺は、「SPiC型」感染者に左手を噛まれた直後…

記憶が消えていて…

気が付いたら、このように寝かされていたのだ…

そして、「ヤ・ミカエル」は俺が「SPiC型」感染者に噛まれた直後の話しをし始めた。

「普通は、感染者に噛まれれば、同じように化け物となり…」

「人を襲うようになる…」

「京介、お前もわかっているよな?」

「直和ホテルの出来事…」

「化け物に首筋を噛まれた山本次官は…」

「化け物への感染を防ぐため、脳を撃ち抜き…」

「殺した…」

「感染者は、脳天を撃ち抜かない限り復活し…」

「化け物となり…」

「エンドレスに…」

「繰り返す事から、山本次官の脳天を撃ち抜いたのだよ!」

俺は、何故、大丈夫だったのか?

「京介、お前は仲間の大吾が偶然にも…」

「化け物が京介の左手先に噛み付いた直後…」

「岡田くんが化け物の脳天をピストルで撃ち抜き…」

「退治し…」

「お前達が作ろうとしていた、「SPiC型」感染者の特効薬となる成分である…」

「粉末にしておいたミドリムシを…」

「応急処置的に噛まれた左手先にすり込み…」

「京介の体内に感染成分が入らないように…」

「左手の第1関節部を鬱血するぐらい輪ゴムで止めてた結果…」

「感染を免れたんだよ…」

俺は喋れない事から…
大吾に心の中で感謝していた。

俺はなんで噛まれた直後の記憶を無くしたのか…

すると「ヤ・ミカエル」が…

「京介は案外デリケートなんだな?」

「ヤ・ミカエル」は何が言いたいのか?

「京介は化け物に噛まれた瞬間…」

「絶叫と共に…」

「気絶したんだよ…」

え、俺が…?

「ヤ・ミカエル」から話しを聞き…

信じられない気持ちと…

恥ずかしい気持ちが心を満たしていた。

俺はふと仲間の事が気になった…

岡田、山田…

冴島…

そして大吾…

「ヤ・ミカエル」に反旗をひるがえした事から…

無事であるのだろうか…?

俺は不安になっていた…

そんな事を考えていると「ヤ・ミカエル」が…

ある事を話し出した…



【迷い】


「ヤ・ミカエル」が語り始めた…

「京介に私の思想が理解されず…」

「凄く悲しい…」

「京介…」

「わかって欲しい…」

「人間の暮らしは豊かになった…」

「科学は進歩したが、心はどうなっているのか?」

「私は、家族を犠牲にした…」

「それだけじゃ無い…」

「人の心は荒む一方だ…」

「我が子を虐待する父親…」

「挙げ句の果て…殺め」

「殺められたその子は、なんのために…」

「生きて来たのか?」

「誰を信じればいいのか?」

「連鎖は、続くんだよ…」

「仮にその子がなんとか頑張って生きていたとしたら…」

「その子も同じように虐待をする…」

「そんな生活を繰り返すんだよ?…」

「遺伝子は受け継がれる…」

「京介、それはお前も分かるだろ!」

俺は今迄に無い迷いが生じていた…

人間らしさってなんなんだ?

そういえば、この世にはおかしな人間が多過ぎる!

モラルがない高齢者にも国から年金は配布され…

裕福に車を乗り回し…

ボケているのか?

逆走や…

アクセスとブレーキの踏み間違え…

取り返しのつかない事故が多発している!

高齢者だけで無く

働き盛りの中高年者でも…

自分の感情をコントロールする事が出来ないず…

直ぐにキレて…

車を凶器として、アオリ運転をし…

挙げ句の果て弱者を追い詰め…

殺める…

それは、虐待する人、モラルがない高齢者、感情のコントロールが出来ない直ぐにキレる中高年者…

そして、高齢者の負担を背負い…

生きる希望を無くした…

新しい世代若者…

この様な人間は、自分が好きになれず…

他人に依存しているから…

心が歪み…

それを気付く事が出来無い…

だから…

「ヤ・ミカエル」の言う通り…

人間の心は浄化する必要があるのでは無いかと…

夢から醒め、女房を亡くした後悔から…

改めてこの世はこれで良いのかと思っていたのだ。

しかし…

俺は言葉を発する事が出来ない…

すると…

「ヤ・ミカエル」が俺の表情を観て察したのか?

「京介、少しはわかってくれたのか?」

「お前は、浄化する必要が無い重要な人間なんだ…」

「だから…」

「お前から…」

「仲間を説得してくれ…」

俺は「ヤ・ミカエル」の言葉にホッとした。

それは、俺に仲間を説得してくれと…

その事から…

岡田…

山田…

冴島…

そして大吾達は…

健在なのだと…

「京介、あと1時間ぐらいでワクチンが身体に行き渡り…」

「…「SPiC型」の感染を真逃れる…」

「そうすると…」

「話しをする事が出来る…」

「そうしたら、私に協力してくれるか….」

「答えて欲しいんだ…」

「仲間の事も…」

俺は

岡田…

山田…

冴島…

大吾に…

俺の心を伝える事を…

今は…

決めかねていた。



【この国の行方】


俺は化け物に左手を噛まれたが、大吾達のおかげで「SPiC型」の感染を免れた…

そして、僅かな「SPiC型」の細菌が身体に入らないよう…

予防として「ヤ・ミカエル」がワクチンを投与してくれたのだった…

「ヤ・ミカエル」達…
国、政府は既に「SPiC型」感染者予防のワクチン迄…
作り上げていた。

俺の身体に、ワクチンが行き渡るまで…

約40分以上あり…

「ヤ・ミカエル」が…

「京介、ワクチンが行き渡るまでの時間…」

「よく考えてく…」

そう俺に伝え、部屋から出て行った…

「ヤ・ミカエル」はこの島…

直和県において、「スピリチュアル剤 SPi」服用義務を実施し…

化け物である「SPiC型」を作り出してしまったが…

彼…「ヤ・ミカエル」は化け物である「SPiC型」感染者が出ても…

意思は固く…

「ヤ・ミカエル」はこの島、直和県での「スピリチュアル剤 SP i」服用義務を条例化した。

そして…彼は…

本土でも「スピリチュアル剤 SPi」服用義務の法令を確立するのであろう。

そんな事を思いながら…
俺はこの国の行方を考えていた…

何故…
人間の心は荒んでしまったのか?

何故…
国、政府は"その様な"事から…「ヤ・ミカエル」の思想を受け入れ…
彼に従ったのか?

何故…
そのため"この様な"事から…
「スピリチュアル剤 SPi」を国民に服用させ鎮静化を図ろうとしたのか?

何故…
「ヤ・ミカエル」は俺を必要とするのか…

俺は、二択である選択に迷いがあり、いろいろな事が頭の中を駆け巡っていた。

それは、仲間の事であった…

俺だけが「スピリチュアル剤 SPi」服用義務化に協力しなければ…

殺されるなり…

「スピリチュアル剤 SPi」を投与させるなり…

諦めが付くが…

仲間である…

岡田…

山田…

冴島…

大吾達の事を考えると…

おかしくなって来ている…
「この世界」において自分の意志を貫き…

家族の犠牲を受け入れられるのであろうか?

特に「スピリチュアル剤 SPi」の服用義務がある…

新しい世代若者の山田、冴島であった。

その時…

俺はある事に閃いた…

それは…

特効薬の使用許可




【仲間の安否】


ワクチンが身体に行きと渡る時間が来た…

俺は、「ヤ・ミカエル」に協力するか…?

はっきりとした決断ができないまま…
時間が来てしまった。

俺は言葉が出せるか…

独り言を話してみた…

「あ…あ…」

「言葉が出るようになったなぁ…」

今かなり、深刻な状況なのだが…

俺はあえて、うそぶくかの様に…

「どうしたもんかなぁ?」

「まずは、「ヤ・ミカエル」に岡田、山田、冴島、大吾が無事であるか…?」

「その次に、「ヤ・ミカエル」は早急に俺達に何を求めているのか?」

「そして、岡田、山田、冴島、大吾を呼び…」

「奴らの意見を聞くため、「ヤ・ミカエル」には中座してもらう…」

俺は言葉が喋れる様になり、嬉しかったのか?
独り言を呟きながら…

これからの事を確認していた。

「…「ヤ・ミカエル」が中座を拒否したどうするかだ…?」

「…「ヤ・ミカエル」が中座を拒否する確率は高いなぁ?」

そこで俺は、独り言を辞め…

頭の中で考えていた…

「ヤ・ミカエル」に中座を拒否されたら、俺達の意志疎通が取れなくなり…

今迄、俺達が考えていた「SPiC型」特効薬の発想が無駄になる…

「あ…!」

「待てよ…!」

「そうか!」

俺は、「ヤ・ミカエル」を中座させる一つの事を思い付き…

「まだ、実験段階であるが…」

「…「SPiC型」感染者を元に戻す手段があり…」

「その条件を「ヤ・ミカエル」に投げかけ、俺達だけにしてもらい…と」

「中座をお願いする事だな!」

俺は、一人で勝手な解釈をしていて…

イメージを作っていた。

「…「ヤ・ミカエル」を納得させるには…」

「…「SPiC型」感染者への特効薬が…」

「取引の手段しか無いかなぁ?」

俺の独り言は、止まらなくなっていた。

「…良し!」

「はじめ…」

「…「ヤ・ミカエル」に条件無しで中座の要求して…」

「拒否されたら…」

「…「SPiC型」感染者への特効薬の提案を投げかけて見るかな!」

「それでも拒否されたら…」

「まあ、何とかなるか?」

そんな独り言を言っていると…

扉を開け「ヤ・ミカエル」が部屋に入ってきて…

「京介…」

「言葉が出るようになったか?」

そして俺は言葉を返した…



【条件付き承認】


俺は、「ヤ・ミカエル」に話しかけた…

「ワクチンの投与ありがとう…」

「…「SPiC型」の対応ワクチンとは…」

「よくこの短期間で…」

俺は素直に「ヤ・ミカエル」に聞いてみた…

「京介、これは「ヨリヒロ」に対応させたんだよ…」

「いや、彼らも罪の意識があるらしい…」

俺は「ヤ・ミカエル」のその言葉に怒りを感じた。

そもそも、「ヤ・ミカエル」と国、政府の策略で「スピリチュアル剤 SPi」を「ヨリヒロ」に作らせて…

問題を起こしたので罪の意識などと言ってのけた「ヤ・ミカエル」の腹の中が俺はどうにも…

気に食わなかった。

「京介で…」

「このワクチンの効果を実証出来た…」

「おい、俺は実験材料かよ…」

俺は少しあきれて「ヤ・ミカエル」に言葉を返した。

「すまない京介…」

「まあ、結果として良かったんだから…」

「それより、京介、俺に協力してくれるよな?」

ここで「ヤ・ミカエル」が本題を話してきた…

俺はまず、探りを入れる事にした…

「…「ヤ・ミカエル」俺は、囚われている仲間の意志が確認出来ない…」

「まず、説得の前に奴ら意見を聞いてみたい…」

「素直に言えば…」

「俺は悩んでいる、お前が考える世界は…」

「人間が人間で無くなる…」

「おい待てよ、京介…」

「お前もわかるだろ…」

「この世の中、普通じゃない奴らが多すぎて…」

「今、人間として生きている奴がどのぐらい存在するんだ…」

「京介…教えて欲しい…」

俺は、心に迷いがあるが…

「ヤ・ミカエル」の世界は、人を配下として…

従わさせる…

俺が最も嫌う…

共産国家的イメージあったからで…

隣国である「北朝千」と同じになる事を…
怪訝していたからだ!

俺は、まず仲間である、岡田、山田、冴島、そして大吾の意見を…

聞きたかったのだ…

「…「ヤ・ミカエル」俺達だけで、話しがしたい…」

「前のように逃亡はしないから…」

俺は、声を抑えて「ヤ・ミカエル」伝えてた。

すると…

「京介…信用したいのだが…」

「ヤ・ミカエル」はベッドに固定されている俺の顔を見下ろし…

「京介…わかった…」

「京介達だけで話をする…」

「一つ条件として、「SPiC型」感染者を治す手段があるような事を聞いたが…」

俺は、顔色を変えないよう…

俺の目を見ている「ヤ・ミカエル」の目を覗き込むように直視した…

そして…

俺が結論を話した。

「俺はベッドに固定されて居れば、逃げられない」

「この状態で、仲間と話しをしたい…」

「そして、話しが終わってから、「SPiC型」感染者を治す手段を教える…」

「約束する…」

「それと、俺達がお前に協力するかどうかの話しもする…」

「これでいいのか?」

すると「ヤ・ミカエル」は、大きく頷いた。

そして数分後…

岡田、山田、冴島、大吾が部屋に入って来た…

俺は思わず涙を流し…

頷いて…

良かったを連呼した。