私は酒は体質に合わないのか弱い。昔はコップ1杯のビールでも真っ赤になった。

 

 学生と言えば酒。コンパや宅飲みだが、コンパではしょっちゅう一気飲みをさせられ、その度に吐いていた。宅飲みはあまりしなかった。

 社会人となってからは、会社の飲み会、バンドの打ち上げなど。初めの頃はやはり吐いてばかりだったが、皆私が弱いということを知ったことから、無理強いをしてくることもなく、ぬるい気の抜けたビールをちびちび飲むことでやり過ごしていた。

 

 札幌には市民バンドフェスティバルというのがあって、加盟しているバンドが一堂に会して演奏するのだが、打ち上げは広いビール園を貸し切って飲みまくる。ワイワイやってるなか適当に仲間と話したり。

 二次会で落ち着いて飲む。と言っても私は1次会で出来上がっているので、ソフトドリンクばかり飲んだ。

 

 酒は飲む相手によって、楽しいかつまらないかが変わる。会社の飲み会ほどまずいものはない。適当に上司にビール注いで回って、後は端っこの方で時間が過ぎるのを待ったものだ。

 バンドの飲み会は、女の子も多く良い気分になる。よくバカをして、頭にネクタイ巻いた写真も撮った。

 あるとき・・・もう30年程前の二次会の暗い照明の店で、懐いてくれていた女の子(彼氏アリ)に唇を奪われた。それがFKだった。本気になりそうだったが、我慢した。

 

 酒と言えば父を語らねばならないだろう。とにかく酒が好きで好きで、ある程度地位のある人だったからまだ朝から飲むことはなかったが、そうでなかったら飲んだくれてただろうと思う。

 酒癖はあまり良いとは言えない。少なくとも家族の前では。外では知らないが。絡むというか説教癖というか、鬱で実家療養してた頃、私の態度に腹を立てた父が掴みかかってきたが、母が泣いて止めて、と言い、父は苦笑い、しかし目は笑っていない。そんなことがあった。

 最晩年は多少は飲んだだろうが、肺気腫のため酸素吸入しなくてはならないところ、邪魔くさいのかいつも外しており、酸素不足でソファに座っていつも寝ている状態だった。体もガリガリになって。

 酒と煙草のせいで心筋梗塞になり、ついでに検査したところ肺に癌も見つかり、もって1年と言われたが、その前に喀血して死んだ。

 そういう父の酒癖を見てきたから、私は酒に弱くて良かったと思う。テレビでもしょっちゅう酒のCMをしているが、私にとっては何の魅力もない。確かに喉がカラカラに乾いている状態でのキンキンに冷えたビールは美味い。それでも1杯飲めば良い。

 今では一年に1度も酒を飲むか飲まないか、くらい。一応目の前に、飲み残した黒霧島があるけど、飲む気にもならない。やけ酒なんて性に合わない。それならクールに煙草の煙を吐き出す方が良い。

 

 ただ、大学のサークルの友人達とは飲みたい、とは思う。友人の1人が鬼籍に入り、また内地に行った人もいるので、もう全員集まることはないだろう。だから、あの頃は良かったな、と懐かしく思う。同時に寂しさも感じるのである。