最初の会社をクビになって、次に就職したのは蕎麦の訪問販売会社だった。面接時鬱だということも話し、それを認めて貰った上での採用だった。社長以下、主任2人、社員5人くらいの小さい会社で、朝にはいない女性社員(?)が夕方にいた。ちなみに営業車なし、ガス代自腹であった。PCは要らないという方針であり、電話の回線も1つ。
朝礼後、蕎麦を積み込んで出て、そのまま直帰というスタイル。
入社後、朝、蕎麦(3人前)を3個机に置かれ、これを売ってきなさい、と言われた。飛び込みで売れと言うことだ。いろんなところを回った。商店街などを中心に。しかしまともに取り合ってくれる人はほぼ皆無。
それでも行きつけのコンビニ(個人商店ぽい)ところへ行って、値引きして買ってもらった。値引き分は自腹だ。翌朝報告した。今度は4個。次の日は5個。商品について何も知らないのに酷な話しだ。
なんとか売り切って本採用となった。地区割があって、白石、厚別方面の担当になった。毎日15個くらい積んで出発する。しかし全然売れない。せいぜい2~3個。余ったものはある程度自腹を切った。1100円。市販のものから比べればかなり高い。ただ本物の二八蕎麦らしいので味は良い。
先輩に同行したり、片道2時間かけて出張に行ったり。1度は出張先で1個も売れず途方に暮れた。先輩には発破かけられるも、上手くいくわけもない。
社長の考案した売り口上も覚えられない。そんなもので売れるはずもないと思うが、性格に間違いなく言えれば売れると社長は強気。
ある日、あまりに売れないので工場に転属になった。工場は私含め2人だけ。蕎麦を菊練りしたり、箱詰めしたり、つゆを計って入れたり。手際が悪く上手くいかない。
あるとき、作業がひと段落して10秒くらいぼーっとしたら、社長に怒鳴られ、鬱なんて甘えだと言われた。今はなき某短大の心理学の非常勤講師してるのに、理解がないとは。
そして契約があるので詳しくは書けないが、これはないだろう、と言うことや、昼間忙しくしてるとき、社長が愛人(謎の女性社員?)らしき人の膝枕でテレビ観てるのを見て、ああダメだなと思い、翌日退職を申し出た。結局4~5ヶ月くらいで辞めた。後日実家にも退職を思いとどまるよう説得してくれ、と電話があったらしい。
ただこの会社に就職してから蕎麦好きになったのは皮肉だった。