もう10数年前になると思うけど、笑ってコラエての1コーナーに吹奏楽の旅というものが特集された。全国大会やそれを狙えるくらいのレベルの高校を取材したものだ。
 練習風景、コンクール本番、結果発表と、煽って感動させるような作りになっている。
 それが好評だったのか、結構取り上げられていて、今日もやっていた。

 全国大会に出るだけあって、大人数であり(トランペット5~6本、トロンボーン5本、ファゴット2本、オーボエ2本、イングリッシュホルン)立派な楽器(ハープ2台、コントラファゴット、コントラバスクラリネット、マリンバetc.)が揃い、実力のある指導者が居り。私のような田舎バンドには到底かなわない世界の話だ。

 この放送がきっかけとなったのか、全国大会ではチケットがプラチナチケットになり、朝から夜まで通しでは聴けなくなった。恐らく道大会でもそうなのだろう。
 こういう話を聞くと、メジャーになるのも善し悪しで、個人的にはもう少しアングラに近くても良かったのかも、と思う。

 取材する学校も一部の例外を除き、立派なバンド、しかも高校だけ。中学や、大学、一般は取り上げない。
 当然私の母校のような廃れていった田舎バンドなんぞ目もくれない。
 あの頃は、夏の暑さに汗の水溜まりを作り、冬の寒さには管の中に氷を作り、という過酷な環境、唇がもげそうになるまで吹いた基礎練習、合奏。それでも結果が出なかったという挫折感。
 今は指導者も替ったし、場所も変わったし、コンクールでも良い成績を取るわけでもないから、ぬるい練習をしているのかもしれない。

 まあ、結局金と人に恵まれているところには逆立ちしたって敵わないわけだけど、小編成でも良い演奏があることを知って欲しいところでもある。全国には進めないにせよ、心奪われるような演奏はある。そこらへんも取材して欲しいと思うが、まず無理だろうなあ。