春

　真冬ではあるけれど、デイケアは春が来ている。昨年秋、そして年明けすぐ、スタッフの名字が変わり、指輪がはめられていた。
　「かわいい子には






　たいてい彼氏がいる」、これに尽きる。

　まあ本人たちが幸せなら別に言うことはない。賞味期限・・・と言うと語弊があるが、やはり結婚はある程度若いうちにしておくものだろう。
　いずれ産休に入ったりするんだろうなあと思いつつ、以前通っていたデイケアを思い出す。いろいろな思いはあるし、複雑ではあるが、まあめでたい話ではある。
　自分も、と思うことは何度もある。しかし独身生活が長すぎて、他人と住むということが想像できいないし、もししたとしたら、物凄いストレスになると思う。週末同棲をしたことがあって、一度２泊三日したことがあった。ワンルームで、四六時中ずっと一緒。とんでもなく疲れた。だから私は結婚には向いていないのだと思う。子供が出来たらまた違うのかもしれないが。
　また、自分にとって本当に魅力的な人が居ないというのもあるだろう。これまで生きてきた中でそういった人は２～３人しか会ったことがない。首、肩、背中のラインが綺麗な曲線を描く人。そうそう見つからない。

　結婚に対して二の足踏む理由がまだあって、それは両親を見ていたからだ。父親は酒が入るとクダを巻き、母親、私構わず、説教、愚痴を何時間もする、妹にはしない。片方が我慢を強いられる関係は良くない。母もよく離婚しなかったものだ、私は進学を機に家を出て難を逃れた。
　盆、正月には帰省していたが、以前通っていた事業所で、父親との関係が良くないと所長に言うと、帰省しない方が良い、とアドバイスされ、しばらく帰らなかったときがある。それでも父も年だし、と思い直し正月は帰ることにした。相変わらず説教はされた。もう父はこの世に居ない。だから気楽に帰省出来るようになった。
　血を分けた親子といえども、パーソナリティは別であるし、相性もある、究極的には他人である。家を出てから実家に居ると、他人の家に居るようで落ち着かない。更に家を建て替えたが、その頃実家に居た妹の部屋は広く、私の部屋はストーブもない狭い部屋になっていた。その妹もすぐ家を出て、男と同棲したり、なんやかんやがあって、20代ギリギリで結婚し、姪を産んだ。
　現在も妹一家・・・旦那は滅多に来ないらしいが、妹の部屋は妹と姪が使い、私は狭い部屋に押し込まれている。

　私には恐らく春は来ないだろうと予想している。気分は永久凍土である。それもまた人生。来世に期待しよう。