上田交通の蛙と湯たんぽ | きゅうの休憩室

きゅうの休憩室

ドールを始めたのは2015年。
コロナの自粛生活がきっかけでアニメに転向。
工作はチマチマと続けていますが。。。



上田交通の続編です。

鉄ちゃんならタイトルを見てピンとくるはず。

丸窓電車と仲間達の引退後、

7年ほど活躍した電車のお話です。


電車が古くなり、整備も大変になってきたので、

新しい中古車(?)に買い換えようと考えましたが

上田交通の電化は直流750V、他社は1500Vです。


買った電車を750Vに改造するか、

施設のほうを1500Vに昇圧するか。


設備も老朽化していたので、ここは思い切って、

架線電圧を750Vから1500Vに昇圧し、

電車も一気に1500V用に取り替えました。

1986.10.1のことです。


このとき選ばれたのが東急5000・5200系です。

ところでこの電車、見覚えありませんか?

TVで渋谷駅前での街頭インタビューで、

緑一色の電車がよく背景に映ります。

ちなみに、若い人のときは渋谷、

サラリーマンは新橋のSL前、

お年寄りは巣鴨と決まってるような気がしますね。


では、いつものとおり

ご一緒に、タイムスリップ!







訪れたのは1993.5.20です。

直江津から「きたぐに」で敦賀に行く途中に寄りました。


すでに新幹線を迎える工事が始まっています。

丸窓電車の頃、古い電車達がたむろしていた

上田駅の留置線も撤去されました。

が、ホームや上屋は当時のままです。

このあと、高架化が予定されていたからでしょうね。

現在は上の3枚目の後ろに写っている新しい跨線橋に

直結する高架ホームに電車が発着しています。


意外だったのはご覧の混雑。

満員で到着して満員で出発しました。

上田市街の渋滞がひどく、電車利用者が急増したそうです。





対向列車が快速・鎌倉の看板をつけています。

5001ファーストナンバーですね。


満員で発車しましたが、上田原で座れるくらい、

下之郷でガラ空きになりました。

上田原にあった車輌基地はどうなったかな、と

気にしていましたが、跡形もなくなっていました。








下之郷に車輌基地が移転したことは

雑誌で見て知っていたので下車します。

対向列車は5200系でした。


ここでちょっと解説。

乗ってきた黄緑の丸っこい電車が5000系。

東急車輛製で、登場時は画期的な省エネ車輌でした。

それまでの柱や梁でささえるフレーム構造を廃し、

モノコック構造を採用して大幅な軽量化を達成します。

しかしメリットばかりではなく、柱や梁の代わりに側板で

強度を出すため、車体を丸くして力を分散させたのです。

結果車内は狭くなり居住性が犠牲になりました。

ラッシュ時にドア付近に立つと車体裾が丸いため

足の置き場がなく壁やドアに寄りかかって乗ったそうです。


そこで改良版として登場したのがステンレス車です。

鉄板より強度があるので、さらに薄く軽くできます。

引張力は高いですが折れやねじれに弱いので

外板にビードという細い桟をつけています。

ステンレス車は、今ではめずらしくありませんが

東急がはじめて実用化に成功した記念すべき車輌です。


タイトルのカエルは丸い愛嬌のある顔と色から、

湯たんぽはそのものズバリの愛称です。


現在は5001号とともに東急に里帰りして

製造時に近い形に復元し、保管されています。


さて、下之郷で降りてみると、

車輌基地は7200系でいっぱいです。

彼らは5月28日から営業運転に使われます。

5000・5200系の命もあと1週間という時期の訪問でした。


では、沿線風景の中での撮影を楽しみましょう。














中塩田駅です。

既に運用からはずされた5000系が解体を待っていました。
下之郷以遠になると、まだ丸窓電車のころの雰囲気が

沿線のあちこちに残っています。








こちらの駅は当時の面影を残すどころではなく

さらに風化が進み何もかも、レールまでゆがんでいます!










この駅は寅さんのオープニングに登場したことがあります。

まどろむ寅さんが柴又の実家を夢にみる

お馴染みのシーンです。

ホームが延長されて風情が変わってしまいました。


田植えの時期で、水鏡を狙ってみましたが

なかなかうまく撮れませんでした。









八木沢駅を出発した電車はいよいよ急勾配に挑みます。

山も迫まってきて中腹にガードレールが見えました。

煙となんとかは高いところへ昇るの例えに従い登ってみます。








前方からも山がせまり、

これ以上前に進めなくなった所に別所温泉駅があります。

廃車になった丸窓電車が停めてあるのが見えます。







停車中の電車が転げ落ちてしまってはいけないので

駅は平らなところに作るのですが、ここは中腹で

斜面しかありません。

仕方がないのでホームの奥を山に食い込ませて

なんとか水平を取りました。

真ん中の写真から、いかに急坂を登ってくるかが

お判りいただけるかと思います。


駅舎も削った谷底です。

別所温泉街は徒歩で10分ほど上ったところですが

電車はここまでが精一杯でした。






電車見物の親子連れ。 

子は鉄ちゃんに育っただろうか・・・

単にお父さんが見たかっただけかなぁ?


丸窓電車はここに停められていましたが、

架線電圧が上がったので走れません。

現在はどうなっているのかな?

雨ざらしでは痛んでしまいそうですしね。










車内の様子を2枚。

床のカドをご覧ください。

座席の下なら問題ありませんが、

ラッシュ時にドア付近に立つのはつらそうですね。

運転席はメーターやスイッチ類も少なくシンプルです。


たっぷり1日楽しんだので、そろそろ引き上げましょう。

これから長野へ出て、

直江津から夜行の急行きたぐにで敦賀に移動します。 





おまけです。

キップを頂戴しました。

いつも下車するときには「記念にください」と所望します。

たいてい使用済みの判を押してくれますが、

上田交通はそのままくれました。

日付の記録にもなるし、よいおみやげになります。



今日はここまでです。

敦賀の特急街道についてはまたそのうちに。




長らくのご乗車お疲れさまでした。

ありがとうございました。













.