CATV生放送・おいてけぼり事件
「では、ここでいったんお知らせです(^O^)」
『…はーい、CM入りました~。90秒でーす』
耳のインカムからはサブ(副調整室)のS君の声。
「このキンチョー感がたまりまへんですわ( ̄Oノ ̄)」
20年前、僕は坂出のケーブルテレビに勤めてて、
自主放送の報道制作の仕事してましてん。
で、毎日の締めくくりが、
夕方から生放送の30分のニュース番組やった。
つまり…
僕、テレビに出てしゃべってましてん(^_^;)
わーお:*:・( ̄∀ ̄)・:*:
毎日、坂出市内だけでネタ集めてくるわけやから、
そらも~、毎日毎日、アポも取材も編集も原稿も、
なにより、オンエアもいっぱいいっぱいの状態。
信じられへんでしょーが、当時の生放送の体制は…
アナウンサー:1(僕)
ディレクター兼スイッチャ:1(Sくん)
…以上( ̄o ̄)
わはは、たった2人だけで生放送やってましてん!
いやこわ~(^o^)
笑い話やない(T_T)
実際に、こんなコワ~い事件がおきちゃった(T_T)
その日は、ま~なかなか平和なオンエアでして、
日常茶飯事的に発生する細かいトラブルもなく後半へ。
タイムシート上は、CM明けに僕が少ししゃべって、
幼稚園のおゆうぎ会の話題に…いくはずやった( ̄_ ̄)
『あれぇ~?』
突然、インカムからSくんの呻くような声が…
スタジオとの間の防音窓の向こうの動きが慌ただしい。
「えー、どないしました?」
『…えーとですね』
「はいはい」
『あのですね』
「( ̄_ ̄;)はよ言え (←ヤーな予感がしてる)」
『テープがないんです…』
「…は( ̄_ ̄)?」
『次の話題のテープがないんです』
「( ̄^ ̄)? (←いまいち状況が読めない)」
『どこいっちゃったかなー』
「あの~…もしもし」
『ちょっと探します。時間つないでてください』
「あん( ̄_ ̄)? どーやって?」
『…はい、CM明けます。3・2・1・はい!』
「え…、わ!」
目の前のランプが赤く光って放送再開。
「あ、失礼しました。続いてはですね…」
そらまー僕みたいなもんでも、1分程度やったら
しゃべるネタは持ってますんでヘーキなんやけど、
横目でサブを覗くと、そらもー大騒ぎしとります。
( ̄_ ̄)しゃーない、やるか。
「そういえば、こーゆーお便りをいただきました…」
…開き直ってしゃべり始めると、再びSくんの声。
『テープがないんで、製作室まで取りに行きます』
そー言ってSくんは脱兎のごとくかけだしましてん。
( ̄_ ̄)何ゆーてますねん…
なんて怒ってみても、事態は解決するはずもなく、
僕にできるのは目の前のカメラに向かって
笑顔でしゃべり続けるだけ~。
「しかしまあ、商店街の現状をみたらですね…」
「この時に出た議案の中で気になったのが…」
「…とゆ~結論です。いや~いい勉強になりました」
街づくり会議の裏情報の話しでひとネタ終了。
Sくん帰ってくる気配なし。
(T_T)えーんえーん
笑顔で次のネタ話へ突入。
「さて、来週の取材の予定なんですが…」
…と、やっとのことでSくんが帰ってきた。
(^o^)いやぁっほぉ~う! ←僕の心の叫び
『お待たせです。10秒でVにふってください!』
「(^_^)さてさて、続いては、カワイーイ話題で~す」
も~安堵に顔は緩むは声は弾むわ体は踊るわ。
「…幼稚園で催されたお遊戯会です。ではご覧…」
…といいかけたところで、またSくんの悲鳴がした。
『テープがちがーう!』
( ̄_ ̄)うえっ…
『もいっかい探してきます。1分つないでください!』
またいなくなるSくん。
(T_T)
「可愛い話題と言うと、、取材で会ったチワワが…」
視聴者宅のチワワに赤ん坊が生まれた話題で30秒。
「そしてですね、弊社の営業のKにもですね…」
営業の社員の奥さんが子どもを産んだ話題で30秒。
一瞬、窓の向こうにSくん登場。
しかし、一度首を傾げてから、数秒後に消えた。
「皆さま、も~少し、僕の話を聞いてください…」
結局、次にSくんがサブに戻ってくるまでの約5分、
僕はスタジオでたったひとり照明に照らされ、
いつ終わるとも知れない孤独な時間の中、
自分がこの仕事を始めた頃の
身の上話を語り始めたのでした。
「あの頃は、僕も仕事の熱意に満ちていたんですよ…」