家族と法 | 野村孝博のブログ

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 二宮周平著「家族と法―個人化と多様化の中で」そ読みました。著者は法学博士で立命館大学教授。結構前に、おそらく夫婦別姓関連のことを勉強したくて手に取りましたが、放置しており、先日「家族・私有財産・国家の起源」を読んだので、類書として手に取りました。

 

 内容は夫婦別姓にとどまらず、戸籍、事実婚、離婚、介護、相続、DVと家族間で考えられるトラブルを凝縮したものでした。

 

 戸籍、事実婚のあたりで民法について「(一九)四十七年当時の立法者は、相続分に差を設けることになった理由を『婚外子の利益を考えて相続権は認めるが、正当な婚姻を尊重するためには、婚内子と婚外子の間に差をつけて、正当な結婚を尊重していることを示し、それによって婚姻を奨励していかねばならないと説明している。』とありました。婚外子と婚内子で相続に差があることについて、「差別」と断じて、この論調でしたが、正直、この立法者というのが誰高も分かりませんし、「本当?」って思ってしまう内容でした。そもそも婚姻というものの歴史についても良く知らないのですが、法整備で奨励していく意図があるというよりは、昔ながらの習慣が法になったという方が近いのではないかと思いました。

 

 夫婦別姓については「選択的でも夫婦別氏を認めることは、「家族の崩壊を招く」とか、「家族の一体感が損なわれる」として強硬に反対する人たちは、選択制を通じて多様な家族観が肯定されることや、「女は家庭」として、家庭機能の維持を女性に担わせることができなくなることを恐れているのかもしれない。」と、結構踏み込んだことを書いていました。しかしながら、認めない理由として「家族の一体感が損なわれる」というのはちょっと弱い気もする一方、「家庭機能の維持を女性に担わせることができなくなることを恐れている」というのもさすがに違うだろうと思います。ただ、「多様な○○」が肯定されるために、個別に法整備をしてくと言うのは、あまり肯定的になれません。

 

 長くなりましたので、明日に続きます。