街とその不確かな壁(ネタバレします) | 野村孝博のブログ

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 村上春樹著「街とその不確かな壁」を読みました。前作「騎士団長殺し」から6年越しの著者の新作です。

 

 ストーリーは、高校3年生のぼくと一つ年下のきみの微笑ましくも不思議なやり取りから始まりました。お互い惹かれあう二人ですが、きみが「本当の私は、高い壁に囲まれた街にいる」と言い出します。ぼくがその街にたどり着いてからのストーリーと、ぼくと君が出会ってからのストーリーが交互に登場し、どこかでぼくがその街にたどり着いたところに追いつくのだろうと思っていましたが、これが結構意外な展開で、ぼくがたどり着くのは40歳を超えてから、しかしながら、街にいるぼくにそんな印象を抱けませんでした。

 

 その街に入るには影を捨てなければならず、ぼくはそれを受け入れ街に入り、影は街の唯一の入り口である門の門衛のところに置き去りにされ徐々に衰弱していきます。ぼくは街で本のない図書館できみと「古い夢を読む」という仕事をします。訳が分かりません。最終的にぼくは影を見捨てることが出来ず、影と共に元の世界に戻れるであろう方法を使っても道路としますが、影だけ元の世界に戻し、自らは街に残り、ここで第一部が終了です。

 

 第二部が始まりますが、ぼくはシレっと元の生活に戻っています。しかし、街に未練があるのか、元の世界での仕事を辞め、地方の図書館の館長として勤務するようになります。その図書館で、前館長の幽霊と話をしたり、サヴァン症候群の不思議な少年と出会います。その少年はぼくと幽霊が壁に囲まれた街について話しているのを聞き、興味を持ち、最終的にはその街に行ってしまいます。2部のボリュームは凄いし、登場人物もいろいろ出てくるのですが、まとめるとあっさりしています。

 

 3部でまた壁に囲まれた街に戻り、そこに残ったぼくと少年が出会い、少年と一体化してから、ぼくだけ元の世界に帰るところでストーリーは終了です。サクッとまとまってしまうのですが、本当に不思議な世界観で、辻褄が合っているような雰囲気を感じるのですが、字面だけではとても訳が分かりません。でも、続きが気になるのでどんどん読み進められます。面白かったかと言われると、また何とも得ないのですが、とても不思議な本でした。

 

 明日に続きます。