「似非科学」は漫画の中だけにしてほしい
いやぁ、けさの朝日新聞「折々のことば」には仰天しました。
(2022年4月28日付、朝日新聞朝刊1面から引用します)
まあ、読んでみてください。
………………………………………………………………………………
折々のことば 鷲田清一(2363)
大勢の思い出になる場所にはな
呪いが吹き溜(だ)まるんだよ
芥見下々〈あくたみげげ〉
漫画『呪術廻戦0 東京都立呪術高等専門学校』から。
呪いを祓(はら)うために呪いを学ぶ学校に入った少年
は、呪いが滞留するのはとりわけ学校と病院だと仲間に
教わる。悔いや妬(ねた)みや羞恥(しゅうち)といっ
た負の感情の受け皿となる場所なのだと。そこは誰もが、
自分はここにいてもいいのかと、自らの存在を値踏みせ
ざるをえない場所だからか。そうした場所はほかにもい
ろいろありそう。
………………………………………………………………………………
ここに取り上げられた「ことば」の当否を言っているのではありません。「都市伝説」か「オカルト」のような内容を朝日新聞に載せることに問題あり、と言っているのです。読者はあたかもそれが当然と錯覚するかもしれない――。それも「一面」の目立つ場所にとりあげられていることに仰天したのです。
この「ことば」を採用した鷲田清一氏はもとより、紙面に掲載する編集者の感覚を疑います。芥見下々氏の創作とはいえ、ここに取り上げられた「学校」や「病院」にとっては、迷惑以外の何ものでもないでしょう。単なる遊び、ととらえる人もいるでしょうが、それならなおさら不問というわけにはいかない。
さきに亡くなった立花隆さんや私のように、「意識」を追究しているものにとっては大迷惑というものです。
具体的にいえば、筆者(鷲田氏)の責任は大です。氏は科学的、宗教的、心理学的等々から、「呪いと学校や病院との因果関係」を明確に説明できるのでしょうか。出典は「漫画『呪術廻戦0 東京都立呪術高等専門学校』」で、著者(芥見下々氏)はこの現象を画のなかで「仲間に教わった」と創作しているようです。
新聞は、「似非科学」を拡散する場ではないはず。こんなことをしていては読者が離れてしまう。
それを鷲田氏は、あたかも“事実のように理解して”、「そうした場所はほかにもいろいろありそう。」と屋上屋を架しておられる。何という体たらく。
(記 2022.4.28 令和4)