デリバリーが急行する歩道の恐怖
新型コロナウイルスに対する「緊急事態宣言」が5月末まで
延長されそうな気配です。そんな中、きのう昼のテレビニュ
ースは“意外なこと”を流していました。
「外出自粛要請」が出て1カ月。家の外へ出るのを控えよう、という呼びかけに応じた結果か、都内ではクルマの交通量が減り、「事故は半減、死者は増加」という現象が起きています。
「事故が減ったのに、死者は増えた?」ってどういうこと。警視庁の答えはこうです。「スピードの出し過ぎや歩行者の飛び出しが増えたから」
そこで、きのう5月1日の昼。ネットで「TBS NEWS」を
覗いていると、たしかにそのように書かれていました。
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外出自粛で都内の交通事故半減、死者は増加
外出自粛の影響で交通量が減少する中、都内の先月の交通事故が
去年と比べて半減したことが分かりました。ただ事故による死者は
増加していて、警視庁は注意を呼びかけています。
警視庁によりますと、先月1カ月の都内の交通事故は1492件
で、去年の同じ時期に比べて半減しました。外出自粛による交通量
の減少の影響とみられ、事故によるけが人も半減したということで
す。ただ亡くなった人は14人で、去年よりも増加していて、警視
庁はスピードの出し過ぎや歩行者の飛び出しが増えたとみています。
また、首都高速道路では、環状線を猛スピードで暴走し周回を繰
り返す「ルーレット族」が増えていて、首都高は箱崎、芝浦、辰巳
第1、辰巳第2の4つのパーキングエリアを、1日午後5時から
10日午前9時まで閉鎖します。
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こんな状況下、私自身もショックな出来事に襲われたのです ――
私が住んでいるところは、住宅・オフィス・商店が混在しています。そして、家を出た50メートル先の道路には、クルマが行きかう車道とその両側に比較的広い歩道があります。(広いところで幅5~6メートル、狭いところは3~4メートル)
その歩道を住民とサラリーマンが利用しています。住民側からすれば、サラリーマンが出退社する朝夕と昼食時は混雑するのでちょっと難儀しますが、それ以外の時間は歩行者も少なく、静かで空間にも余裕があります。
ところが、「コロナ」が発生してからは、歩道の“風景”が一変しました。外出を控えるようになったため、デリバリーと呼ばれる「宅配サービス」を利用する人が増えたのです。弁当、うどん、寿司、お好み焼き、ピザ、ラーメン……。
それはそれで時代を映している事業なので納得しているのですが、困ったことに、それを配達する“営業車”の自転車部隊が、車道のみならず歩道をものすごいスピードで走り回るのです。運び屋の彼や彼女らは店で食品を受け取ると箱状のリュックサックの中にしまい込み、それを背中にしょって自転車で注文先の自宅やマンションに届けます。文頭の写真=イラスト=のような感じ。
詳しいことはよく知らないのですが、宅配を注文する人はスマホで営業所(本部?)にメール(電話?)を送り、それを受けた本部が街頭にいる彼らに連絡、彼らは出来上がった品物を店で受け取り、箱の中に入れて注文先へ急行するのです。聞くところによると、1回あたり300円~600円くらいの収入になるとか。
そこで、私がショックを受けたというのは、その自転車が
あやうく私に“追突”しそうになったからです。
きのうの昼すぎ。空は快晴で、近くの歩道を妻と孫の3人でゆっくり歩いていました。その時です。車道側にあるガードレールと私との隙間(60センチくらい)を、後ろから猛スピードで走ってきた「宅配自転車」が駆け抜け、走り去ったのです。ふいをつかれた私は「ああっ!」と声を上げ、間一髪で自転車をよけました。一瞬のこと、冷や汗が噴き出し、肝をつぶしました。人が歩く10倍くらいのスピードで、時速にすれば30~40キロくらいだったのではないでしょうか。
「コロナ」前までは歩行者が結構いるので、自転車もそのようなスピードは出せません。「外出控え」で人がまばらなので、こんなことが起きるのでしょう。もしその時、私がガードレール側に一歩でも踏み出していれば確実に「激突」されていたでしょう。孫のそばだったら…と思うと、ぞっとします。息ができないほどのショックでした。
過去に、こんな経験をしています。歩道を歩いていた私の横を猛スピードで走ってきた自転車に当て逃げされたのです。ハンドルの先端が左腕に当たり、傷は軽くてすんだのですが、内出血と強い痛みがしばらく続きました。
「自転車の運転方法」については、以前、このブログにも
書きましたが、私たちが子どもの頃は、こう教えられていました。
誰もいないところではそれなりのスピードを出してもよい。ただし、前を行く歩行者を追い抜く時は必ず、「チリン」と1~2回ベルを鳴らして「追い抜くこと」を相手に知らせ、歩行者の歩く速さにまでスピードを落としてから追い抜くこと。そうすれば、歩行者が横に動いてもブレーキをかければ衝突することはない。
いまは、「歩行者の後ろからベルを鳴らしてはいけない。トラブルの原因になる」と言う人がいますが、はたしてそうなのでしょうか。「チリン」と1回鳴らすだけで、事故は防げるのに、と今は自転車に乗らなくなった私はそう思うのですが。
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「宅配自転車」は、「コロナ」で仕事先を解雇された学生アルバイトや非正規の人たちも従事しているようです。ほんとに世の中、大変なことになっていると思わざるを得ません。
しかし、危険が伴います。本部から「お客さんから『まだ届かない』と言って来ている」と急かされているのか、それとも「一刻も早く配ってバイト料を少しでも多く稼ごう」とするのかよく分かりませんが、「歩道を歩く人には恐怖心を抱かせず、とくに子どもには気をつけるよう」くれぐれも余裕を持っての仕事をお願いしたい。
(記 2020.5.2 令和2)