★自動車と人権(29) 「空飛ぶクルマ」① 悪魔の所業としか思えない | のむらりんどうのブログ       ~君知るや ふたつの意識~

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2002年9月22日の早朝。目覚めて布団の上に起きあがった瞬間、私は「光の玉(球)」に包まれたのです。以来、「自我」(肉体と時間に限定されたこの世に存在する私)と、「真我」(肉体を超えて永遠に宇宙に実在する私)の、ふたつの意識を持って生きています。

 

 

         笑いごとではない、テロへの恐怖

 

 

 「令和」の代に変わって、初めての正月を迎えました。私自身に変化はないのですが、国際情勢はキナ臭い状況となっています。イランでは革命防衛隊のソレイマニ司令官が米軍に殺害され、報復が心配です。いくら平和を願っても、現実はどう転ぶか分からないのがこの世界ですから。

 

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 そんな中、元日に届いた朝日新聞朝刊1面の『天声人語』に、私は驚きの声を上げました。どうして? 

 

  まあ、その記事を読んでください。

                 (202011日付から引用します)

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(天声人語)              空飛ぶクルマ

 

 鳥のようにふわりと舞い、ビルの谷間を飛び交う……。1982年公開の米映画「ブレードランナー」では、車がいとも簡単に空を飛んだ。驚くことに、2019年という時代設定だった▼「残念ながらあの世界はまだ実現していません。ですが、もはや夢物語ではありません」と話すのは電子部品製造、TEジャパン(川崎市)の櫛引健雄(くしびきたけお)さん(47)。米国で開発中の空飛ぶクルマに出資し、2月の国際飛行レースに挑む▼3年後の販売開始を宣言した企業もある。トヨタ出身の若手技術者らが立ち上げたスカイドライブ社だ。「鎌倉の自宅から六本木の職場まで30分で飛べるクルマ」をめざす▼愛知県豊田市にある開発拠点を訪ねた。もとは消防署の車庫だった工房に、実験装置や工具が所狭しと並ぶ。試作機の部品もごろごろ。代表取締役の福澤知浩さん(32)は「40年後には空飛ぶクルマがまちがいなく移動手段の主役になる。地上を走る車は珍しがられる時代が来ます」ときっぱり▼福澤さんの予測によれば、10年後には救命や災害に欠かせない存在になるという。技術や安全、法整備などハードルはまだまだ高いが、試作機にまたがって思い浮かべたのは、すばやく快適な中空の通勤。休暇の遠出も渋滞知らず。想像するだけで心が躍る▼新しい年が始まった。昨年は災害や火事が重なり、大みそかにはゴーン被告の逃亡という驚きのニュースもあった。今年はどうか、空を自在に舞うような見晴らしのよい年となりますように。

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「鎌倉の自宅から六本木の職場まで30分で飛べるクルマ」をめざす

「40年後には空飛ぶクルマがまちがいなく移動手段の主役になる。地上を走る車は珍しがられる時代が来ます」

 

 この「空飛ぶクルマ」を研究し、実現しようとする人たちはこれを「夢」と捉え、やがてそれは「移動手段の主役になる」と云います。なんということを。冗談は休み休みに言ってほしい。研究者や技術者の志に水を差すわけではないけれど、私にはそれは「悪魔の乗り物」としか映らない。

 

 生活道路を走るクルマでさえ、巨大な暴力で人間を殺傷している現在。それに輪をかけたような「空飛ぶクルマ」が頭上で走り回ればどのような世界が現出するか、考えるだに恐ろしい。

 

 

 

                  

 

天声人語子が語る記事を日々、私は尊敬の念を持って読んでいます。しかし、この記事に対してはとても同意できない。なぜなら、この「空飛ぶクルマ」に対し、<試作機にまたがって思い浮かべたのは、すばやく快適な中空の通勤。休暇の遠出も渋滞知らず。想像するだけで心が躍る>と褒めちぎっているのです。  

 

これには批判精神がまったく見られない。負の面を考えない想像力のなさに、ただただ呆れるばかり

 

 それが実現すると、どうなるでしょう―― 

① 人間すべてが共有する「空」という空間や、自然物への「眺望権」が失われる。遠くに見える山脈、海浜、湖沼を背景とする見晴らしが悪くなり、動植物のいのちを支える太陽をさえぎってしまう。

② 最たる被害者は、中空を飛び回り、そこを生活の場とする鳥たちである。また、ハンググライダーなどスカイスポーツは規制の対象となるに違いない。

③ 中空を往来するクルマ(体積)による重圧や騒音に煩わされる。それによって多数の人が情緒不安定となり、なかには精神に異常をきたす者も続出するだろう。

④ 故障や、クルマ同士・ドローン・ヘリコプター等との衝突事故が多発。それによって上空からクルマが落下し、地上にいる人間や建造物などに甚大な被害が発生する。

⑤ さらに「クルマは凶器」といわれるが、最も深刻な問題は「空飛ぶクルマ」が<殺傷道具>や<兵器>と化すことだ。テロ集団は上空からいとも簡単に毒ガスを撒き、爆弾を投下することが可能となる

 

  

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   過去のブログ<★誤った臓器移植★(3)>で紹介した

     哲学者・池田晶子は、こう言っています。

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 科学という知の一形態は、それ自体としては、知ることへの純粋な

欲求である。しかし、それが、哲学的反省を経ることなく、そのまま

技術として現実へ適用されるとき、人は過(あやま)つ。

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   大いなる想像力に裏打ちされた絶対的な言葉だと私は思う。

 

 生存に必要な「空間」は絶対に死守しなければならない。なぜなら、われわれ人間は自然とともにある生きものだから。悪魔の所業としか思えない「空飛ぶクルマ」を実現させてはいけない。

 

                                (記 2020.1.6 令和2