「よくもそんなことを!」
先に日本列島を襲った「台風15号」につづき、またまた東京を
はじめ関東や東北を直撃した「台風19号」による被害で、列島
各地がとんでもないことになっています。
河川の決壊・氾濫、北陸新幹線の列車水没、停電によるタワーマンションのエレベーター停止などなど、今回の被害は、近来の台風被害とかなり違った様相を見せています。
さいわい、都内の高層マンションに住む私の場合は、ベランダに面したガラス戸が時折り「ガタガタ」と鳴ったくらいですんだのですが、被害を受けられた方々のことを思うと……。
全貌を見ると、もうこれは過去の台風被害の状況と違って、アメリカや中米を襲うハリケーンのような状態になっています。その原因は、世界各地でクルマや暖房など化石燃料を際限なく費消することから起きる海水温度の上昇によるものと云われています。今まさに「気候変動による問題」を真剣に考える必要があります。
これらについて、巷には多くの本が出ています。ひとつには「温暖化の影響」で、地球の環境が大きく狂ってきたことによります。
「為政者が本気で取り組まないと世界中がだめになる」と、気候変動問題について語るスウェーデン人の環境保護活動家グレタ・トゥーンベリさん(16)は9月23日、米ニューヨークで開かれた国連気候行動サミットで演説し、各国首脳を非難しています。また、スウェーデンの新聞社が2018年に開催した気候変動エッセイ大会で、彼女は「私は安心したい。私たちが人類史上最大の危機にあることを知っているのに、どうして安心できますか?」と書いているのです。
一方で、世界を見渡せば、いまや「新自由主義」を主張する国々は、自国さえよければよいという「新たな帝国主義」に毒され始めています。「勝ち組」と呼ばれる一部の者が儲けを独占するという状況。また、覇権争いに突き進むアメリカのトランプ大統領や、一帯一路政策を進める中国の習近平主席の言動を注視しなければなりません。
世界をまとめる為政者はいるのでしょうか。
「物」を中心とする富の奪いあいと違って、「気候」という人間が生存するための根本にかかわる環境悪化に対する脅威は、一部の国の思いだけでカタのつく話ではありません。世界中がそれに目覚め、対処の仕方を考える必要があります。
「グレタ・トゥーンベリさんの発言」に批判を浴びせる人が一部にいます。が、若き彼女の思いを世界は真摯に受けとめる寛容さが必要です。それがすなわち生物として個々の人間がこの世を生きていくための最低の思想でしょう。
ここでもまた、ウルグアイの元大統領ムヒカさんの言葉を思い起こさねばなりません。「幸福が私たちのもっとも大切なものです。環境のために闘うのであれば、人類の幸福こそが環境の一番大切な要素であることを覚えておかなくてはなりません。」
(記 2019.10.20 令和元)