超大型台風21号が日本列島を襲来するなか、第48回衆議院選挙(2017年10月22日施行)が実施されました。
朝日新聞の10月24日付朝刊1面の前書には、こう書かれています。
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第48回衆院選の全議席が23日確定し、自民党は公示前議席と並ぶ284議席を確保して大勝した。公明党と合わせ憲法改正発議に必要な定数の「3分の2」超を与党で維持。安倍晋三首相は記者会見で、改憲に向け「与野党で幅広い合意形成に努める」と強調した。ただ、55議席で野党第1党となった立憲民主党と合意できないと判断した場合は、合意できる党だけで発議をめざす考えを示唆した。
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投票の結果、こうなったのです。(定数10減)
(公示前)
▼自由民主党 284→284
▼立憲民主党 15→ 55
▼希望の党 57→ 50
▼公明党 34→ 29
▼日本共産党 21→ 12
▼日本維新の会 14→ 11
▼社会民主党 2→ 2
▼日本のこころ 0→ 0
▼諸派 0→ 0
▼無所属 38→ 22
結果は、公示前後の「週刊誌報道」の予測から大きくはずれ、投票直前の「新聞報道」の予測通りとなりました。
こんどの選挙は、投票直前になって政党間の“離合集散”が注目を浴びました。つまり、今年1月に「都民ファーストの会」を立ち上げた東京都知事の小池百合子氏が代表となって結成した「希望の党」の国政進出にともない、民進党(旧民主党)の前原誠司代表が合流を表明したのです。しかし、その過程で小池氏が「(民進党内の)リベラル派は排除する」という発言に、国民が小池氏の“狭量性”に嫌気を示したのです。
むろん、政党政治ですから一部であっても理念の違う人たちを抱えれば、党内が混乱するのは必至です。ですから、その思いは理解できるとしてもあまりにも唐突でした。小池氏と前原氏(民進党右派)の意見交換、意思疎通の欠如に問題があったとしかいえません。
この未熟な合流劇の結果、民進党リベラル派の枝野幸男氏が急遽、「立憲民主党」を立ち上げ選挙に臨んだところ、なんと「15人から55人」へ大躍進。ということは、分裂前の民進党の組織がいかに脆弱なものであったかということを天下にさらしたわけです。振り返れば、<憲法>をテーゼに、「護憲派」の立憲民主チームと「改憲やむなし派」の希望合流チームに分裂することは時間の問題でした。
さて、ここで問題はまだ続くのです――つまり参議院では、「民進党」の組織はまだそのままです。さて、このあとどうするか。議会内の駆け引きもあるので簡単にはいかないでしょうが、予想されるのはこのままのかたちをしばらく維持し、次の選挙で去就を決する、ということになるのでしょう。
それにしても、「57人→50人」になった「希望の党」の存在意義は果たしてどうなるか。自民の補完勢力となって「改憲」になだれ込むようなことになれば、それこそ国民にとって「希望」はありません。
(記 2017.10.26 平成29)
