Δ短歌 実作  歌誌「ハハキギ」作品 ―02― | のむらりんどうのブログ       ~君知るや ふたつの意識~

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2002年9月22日の早朝。目覚めて布団の上に起きあがった瞬間、私は「光の玉(球)」に包まれたのです。以来、「自我」(肉体と時間に限定されたこの世に存在する私)と、「真我」(肉体を超えて永遠に宇宙に実在する私)の、ふたつの意識を持って生きています。

 

 

     歌誌「ハハキギ」作品 ―02― (昭和58年前期 1983

 

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[1月号]

 楓橋夜泊の詩を吟ずれば彼の地を知らねど霜さへ満ちてくる如

 

 夜勤終へ家路をいそぐ名神のランプの上に三日月浮かぶ 
 

[2月号]

 霧の海つづく今朝ゆく沿線は常にあらざる幻のごと

 

 あれこれと煩ひ記すこといらず源泉徴収のわれサラリーマン
 

[3月号]

 一人づつ順に撞きゆく除夜の鐘月に向かひて吾は百八つ目

 

 月かげに鐘楼浮かべ静かなる山の上の寺除夜の更けゆく

 

 劇場の幕は下りしか声交はし老ら出でくる新橋演舞場

 

 供養にと訪ふ人のいくたりか墓を数ふる子らの声する 


[4月号]
 

 わが肌に知るより先に衛星はあすの気象を知らしむ何故

 

 歌に酔ひ書をひもとく刻過ぎてサラリーマンの服着て家出づ
 

[5月号]
 

 その鈍き色を落として街川の岸に繋がる破れ舟二つ

 

 コードにてわが姓名は管理さる命なき数字634378

 

 誇るも誇らぬもなしこの永き職場に勤しみ二十年経つ

[6月号]

 邪馬台はいづこに在りや書を読めばまこと知りたき思ひ募り来

 

 紅の卑弥呼に恋する学者らの一途の心知りてあはれむ

 

 邪馬台か邪馬壱国か知らねどもそこに咲きゐし花こそ恋し