「匿名卵子」で体外受精
国内初 2組、検査後子宮へ
病気のため自分の卵子で妊娠できない女性らに
対し、匿名の第三者からの卵子提供を仲介するN
PO法人「OD-NET」(神戸市)は27日、
提供者の卵子と提供を受ける夫婦の精子による体
外受精を2組で実施したと発表した。提供を受け
る女性の子宮へはまだ移していないという。国内
で匿名の第三者からの卵子提供は初めて。……
…………………………………………………………………………
⇒ 2015年7月27日の朝日新聞夕刊1面(平成27、大阪本社版)
に上記の記事が掲載されました。(引用します)
+
「あぁ、とうとう強行される事態になってしまったか」というのが、私の正直な感想です。驚きとともに無念でなりません。
第三者による非配偶者間人工授精(卵子提供やAID)は犯罪です。何度も言いますが、これは「子ども」を望む親のエゴです。生まれてくる子どもが成長し、真実を知ったとき、その心を狂わせるのです。人を信用できなくなるのです。ウソをついてまでして「実子」を得ることは人の道にはずれた行為ということが、どうして分からないのでしょうか。
これについて、問題点は次のようなことが考えられます。
① 卵子提供を受ける「親」のエゴ
② 卵子を提供する人の思慮のなさ
③ 慈善事業と勘違いしているNPO法人「OD-NET」と
岸本佐智子代表の自己満足とお節介
④ このことが「不幸な子どもをつくり出している」という
ことに気づいても放置している厚生省や法務省
⑤ これに携わる生殖補助医療関係者の自覚のなさ
⑥ 生まれてくる「子どもの人権」を考えれば、第三者から
の卵子提供やAIDは犯罪であると主張しないメディア。
+
そして、7月29日の同じく朝日新聞朝刊1面『天声人語』に、これに関連した生殖補助医療についての記事が掲載されました。問題点が国民の前に明らかにされることを歓迎します。
そこで、この記事についての私の思い(⇒)はこうなります。
[第1項]
……………………………………………………………………………………………
「親になる権利」という言葉を聞いて耳新しさを感じた。10年前、
不妊治療を続けていた自民党の野田聖子氏をインタビューした時のこと
だ。生殖補助医療をどこまで規制するか。親になる権利に対する「国家
の介入」はなるべく少なく、と野田氏は語った
……………………………………………………………………………………………
⇒「ウソ」(真実は夫婦どちらかの子でない)を「マコト」(夫婦の実子)として戸籍に記載するこの国。真実を守るためには、国家は「誠実」でなければなりません。それに背くことは大問題です。
[第2項]
……………………………………………………………………………………………
▼例えば代理出産を日本でも認めるべきだと力説した。批判が強いこと
は承知の上。代理母の女性の身体的リスクが大きい、女性が産むための
道具になる、等々。だが、それは代理母になる人の自己決定権に委ねら
れるべきだ、と
……………………………………………………………………………………………
⇒実際問題として、子どもの引き渡し時にトラブルが発生する。代理母と子どもの間に愛情が芽ばえ、引き渡しを拒否するケース。また、タイであったように、生まれた子どもがダウン症で、依頼者が実子の引き取りを拒否したケースなど。
[第3項]
……………………………………………………………………………………………
▼生殖補助医療をめぐる法的な枠組みは今も整っていない。生命倫理の
問題は、利害の衝突を足して2で割って折り合いをつけるようなやり方
では解決できない。永田町や霞が関が立ちすくんでいる間に、現実はど
んどん先に進んでいく
……………………………………………………………………………………………
⇒卵子提供やAIDと呼ばれる非配偶者間人工授精を犯罪ととらえ、直ちにストップさせなければなりません。それによって真実が守られ、「不幸」を背負って生まれてくる子どもの誕生を防ぐことが出来るのです。
[第4項]
……………………………………………………………………………………………
▼匿名の第三者が無償で提供した卵子を使い、2組の夫婦で体外受精が
実施された。仲介したNPO法人が発表した。病気のため自分の卵子で
妊娠できない女性には「朗報」だという。姉妹らからの例はあるが、匿
名の他人からの提供は国内初だそうだ
……………………………………………………………………………………………
⇒提供者の思慮のなさに、あきれてしまう。本人はいいことをしたと思っているのだろうが、生まれてくる子がこの先、どれほどつらい思いをして生きていかねばならないか、を考えないのだろうか。生まれてくる子にとっては「悲報」でしかない。
[第5項]
……………………………………………………………………………………………
▼生まれてくる子のことを考えたい。匿名の第三者の精子を使う人工授
精で生まれた子はこれまで多いが、自分のルーツがわからず、苦しみを
抱える人がいる。自己の足元が掘り崩されるような感覚だろうか。胸が
詰まる
……………………………………………………………………………………………
⇒まさにこの通り。記者も気づいたのでしょう。私の主張はこれに尽きるわけです。
[第6項]
……………………………………………………………………………………………
▼親になる権利も切実だが、子の「出自を知る権利」は最大限保障して
欲しい。心の片方で、血のつながりはなくとも親子にはなれると信じつ
つ。
……………………………………………………………………………………………
⇒<血のつながりはなくとも親子にはなれると信じつつ。>「親」にとってはそうかもしれないが、「子」にとっては迷惑な話です。「頼みもしないのに、無理につくられた親子」なのですから。
第三者による非配偶者間人工授精(卵子提供やAID)は犯罪です。「出自を知る権利」というような言葉が、この世から消え去ることを願うばかり。
● 匿名でなく、堂々と名乗りなさい
国内で初といわれる今回の卵子提供は「匿名の第三者」です。
匿名で、コソコソと事を進める隠微さ。これがAIDや卵子提供の本質です。人のためになると思うのなら、堂々と自分の名前を出して提供すべきです。それが嫌ならやめなさい。匿名は自分のためにも、被提供者のためにもなりません。それに、仲介するNPO法人「OD-NET」と岸本佐智子代表にも大いなる責任があります。
なぜ、本名を出せないのか
つまり、本名を出すと、独身者なら自身の将来の結婚に困難が生じる、つまり結婚前に、この世にすでに自分の子どもが存在するわけです。そのような状態がばれたら…。また、既婚者なら配偶者の許可を得るのが難しいでしょう。配偶者に黙ってやれば、婚姻状態は破綻してしまうかもしれません。今回の場合、どうなんでしょうか。たぶん言ってないでしょう。ここにも「隠れて」やらないと提供できないという「闇の部分」が見え隠れしているのです。
そして、本名を出すということは、「出自を知る権利」に同意したことにもなります。しかし、「それはいや」というんですね。
事の重大さを考えない提供者と、誤った慈善事業として行動しているのがそのNPO法人なのです。
「この世に生まれてきて良かった」と思えない子どもをつくってどうするのですか。子どもは「心」を持って生まれてきます。これ以上、子どもたちを悲しませないでください。
「親になる権利」なんて言うのなら、
「我々は真実の親のもとに
生まれる権利がある」と、
子どもたちは叫ぶでしょう。
(記 2015.7.30 平成27)
