12月に入っていますが、11月の講演会の報告で申し訳ないです。

 

11月11日(金)18:30~20:30 門真ルミエールホール 小ホール

開催されました北河内地区教組の教育改革フォーラム、今一番関心が高いこれからの支援教育についてです。

9月9日に出された国連の障害者権利委員会による日本への総括所見を受けての、一木玲子(東洋大学客員研究員)さんの講演でした。

1.障害者権利条約から見た日本の特別支援教育

2.障害者権利条約から見た大阪の「ともに学び ともに育つ」教育

3.4.27通知から見えてくること

を中心に話されました。

大学の先生なので講義は90分、それに慣れてしまっているけど、なるべく時間を残して質問を受ける、とおっしゃっていましたが、やはり90分近くしっかりとはなしていただきました。

 

障害者権利委員会による日本への総括所見から、

インクルーシブ教育に関する懸念事項と勧告を整理して資料として作っていただいていたので、わかりやすかったです。

何が一番問題かというと、「インクルーシブ教育」の定義が共通理解されていないことです。4.27通知の撤回要請に対しての永岡文科大臣は「通知はインクルーシブ教育を推進するもので、撤回を求められたのは遺憾」とのべているからです。

 

 

障害者権利条約第24条 一般的意見4号 Plain Version

「インクルーシブ教育とは何か」(インクルーシブ教育情報室翻訳)

インクル―シブ教育とは、障害の有無を問わずあらゆる可能性のある児童・生徒が同じ教室で一緒に学ぶことである。つまり障害のある児童・生徒、障害のない児童・生徒の両方が同じ教室にいるということである。

このことには、誰もが一緒に学びながら、個別のニーズを満たすことができる教育制度を構築することが含まれる。

全ての人のための質の高い教育(quality education)に焦点を当て、教育機関、例えば学校や大学がすべての児童生徒を援助して、すべての児童・生徒が最善の状況で、完全に参加できるようにする。

インクルーシブ教育とは、すべての児童生徒が上記の教育を受けられるようにするために、教育のあり方を大きく変えることを指す。つまり、教育制度は個人のニーズに合わせられるべきであり、個人を教育制度に合わすことではないということである。

このように、インクルーシブ教育は排除や分離、又は統合とは異なるものである。障害のある生徒が教育を受ける権利を完全に否定されたり(排除)、別の学校や教室で学ぶことを強いられたり(分離)、必要な援助なしに通常学級に入れられること(統合)は、インクルーシブ教育ではない。

 

2014年1月、障害者権利条約に日本は批准しているんですけれどね。批准しているならば、内容をよく把握しその通りにするべきですよね。

20年以上前に批准している女性差別撤廃条約についても同じことが言えるのですが…

 

大阪における「ともに学び ともに育つ」教育については、世界のトップレベルであるということで、その背景等に言及されました。

当時の障害児が就学猶予・免除によって分離教育を受けている状況は差別であるとして反差別にとりくむ→「校区の子は校区で育つ」

・ベースには部落解放運動の人権思想、障害者解放運動(人権ベース)

・教職員組合や保護者、当事者運動など地域を巻き込んで創ってきた。

・障害を理由に子どもたちを「分けない」ための“原学級保障”と“集団つくり”の実践の積み重ね(入り込みの教員が、クラスの子どもたちとつなげていく役割も果たす)

・府・市教育委員会が「ともに学び ともに生きる」方針を出して制度化している→合理的配慮の予算措置

・高等学校の定員内不合格を出さない方針→評価の合理的配慮

・ともに学びともに育った子どもたちが保護者や教員になっている。→人が、そして地域が育っている

等を50年の成果 として挙げられました。

改めて、私自身が教員として肌で感じ考えてきたことを確認できました。

ただ、枚方市の場合、原学級で入り込みをしていると支援教室(当時は養護教室なかよしなど名前が付けられています)を使用しないならば、そこに人的配置がされていたわけですから、人を取り上げるなど指導を受けることになりましたので、ずいぶん前から現在に至って、支援教室は使われているわけです。

 

現在は、

・先駆者の引退、自主研修の弱体化などにより、「ともに学び ともに育つ」教育の意義の確認が薄まっていないか?とりくみの形骸化などに陥っていないか?と問われました。 

その通りだと思っています。

・文科省4.27通知による原学級保障の体制の危機とも…。

それによって

→ 特別支援教育(学校教育全体の分離教育制度含む)の徹底

→ 普通学級の体制は変えない

→ 「教育的ニーズ」による障害のある子どもたちの間の分断

インクルーシブ教育が行われていない現実が…

「学びの場」の選択 と選択肢があることがいいような印象を与えていますが、障害がない子の場合は入学通知には地域の学校名しかかかれていないわけで、選ばされているということですよね。そこの時点でダメですよね!


私たちにできること で締めくくられました。

〇インクルーシブ教育の方向性をしっかり持つ

〇ピンチはチャンス 「インクルージョンとは、すべての子どもの問題」

〇学校、教員の‟あたりまえ”を見直す。

 

改めて、子どもたちの現状と向き合い「インクルージョン・インクルーシブ教育とは」共通認識を持ち、こどもたちにとってともにいる、ことの重要性、そこから生まれる関係性が地域で当たり前に生きることにつながっていくのだと確認していきたいですね。

大阪教組武田副執行委員長の後に挨拶をいたしました。