10月7日(金)枚方人権まちづくり協会の会員現地研修会に参加しました。
3年振りの現地研修会です。
奈良県御所市の「水平社博物館」の見学です。
全国水平社創立100年の今年、3月にリニューアルオープンしたところです。
ただ、雨が降り途中2箇所も交通事故があり、予定のスケジュールよりも1時間の遅れが生じ、残念ながら見学時間が短くなりました。
学芸員の方も早口でしたが、水平社宣言の素晴らしさを具体的に訴えられていました。SDGsはベースに人権尊重があるのですが、そのかかわりにも触れられていました。
展示物を観ていると、大阪人権博物館(リバティおおさか)からのものが多くあった様に感じました。
全国水平社は、部落差別の撤廃をめざして奈良県御所市の若者が中心となって結成した社会運動の団体です。
1922年(大正11)年3月3日、京都の岡崎公会堂で第一回創立大会が開催されました。
その時に読み上げられた水平社宣言には、「人間を尊重することによって解放せん」「人の世に熱あれ、人間に光あれ」と人権尊重の精神が謳いあげられています。また、水平社宣言は被差別当事者によって発信された世界初の人権宣言と言われています。
水平社博物館前
水平社宣言記念碑 ・荊冠旗 前で
全国水平社設立の中心人物で、水平社旗(荊冠旗)の考案者及び水平社宣言の起草者である西光万吉の実家である西光寺は、博物館前の川を挟んで向かいにあります。西光万吉のお墓は西光寺の中にあります。
まだ、中学生か高校生の時に、父親に連れられて西光万吉のお墓参りに来た記憶があります。その時は、まだ水平社歴史館もなかったようですが…
また、ゆっくりと訪れたいです。車でなら1時間半もかからない様なので。
絶対の解放を期す
一、吾々特殊部落民は絶対に経済の自由と職
業の自由を社会に要求し以て獲得を期す
一、吾等は人間性の原理に覚醒し人類最高の
完成に向つて突進す
全国に散在する吾が特殊部落民よ団結せよ。
長い間虐められて来た兄弟よ、過去半世紀間に種々なる方法と、多くの人々とによつてなされた吾等の為めの運動が、何等の有難い効果を齎らさなかつた事実は、夫等のすべてが吾々によつて、又他の人々によつて毎に人間を冒涜されてゐた罰であつたのだ。そしてこれ等の人間を勦るかの如き運動は、かへつて多くの兄弟を堕落させた事を想へば、此際吾等の中より人間を尊敬する事によつて自ら解放せんとする者の集団運動を起せるは、寧ろ必然である。
兄弟よ、吾々の祖先は自由、平等の渇仰者であり、実行者であつた。陋劣なる階級政策の犠牲者であり男らしき産業的殉教者であつたのだ。ケモノの皮剥ぐ報酬として、生々しき人間の皮を剥取られ、ケモノの心臓を裂く代価として、暖い人間の心臓を引裂かれ、そこへ下らない嘲笑の唾まで吐きかけられた呪はれの夜の悪夢のうちにも、なほ誇り得る人間の血は、涸れずにあつた。そうだ、そして吾々は、この血を享けて人間が神にかわらうとする時代にあうたのだ。犠牲者がその烙印を投げ返す時が来たのだ。殉教者が、その荊冠を祝福される時が来たのだ。
吾々がエタである事を誇り得る時が来たのだ。
吾々は、かならず卑屈なる言葉と怯懦なる行為によつて、祖先を
辱しめ、人間を冒涜してはならぬ。そうして人の世の冷たさが、何
んなに冷たいか、人間を勦はる事が何んであるかをよく知つてゐる吾々は、心から人生の熱と光を願求禮讃するものである。
水平社は、かくして生れた。
人の世に熱あれ、人間に光あれ。
大正十一年三月
水 平 社