私は、ウィメンズカウンセリング京都の会員ではないのですが、公開講座ということで、案内をいただき、関心のあることなので、オンライン講座に参加致しました。

 

9月20日(日)午後、家からの参加です。

〇性暴力被害者支援の今とこれから   周藤由美子さん

 1.トラウマ研究・治療の進展

 2.#MeToo運動と刑法性犯罪改正

 著書の紹介等を含め、説明をしていただきました。

 3.京都SARAと公費負担カウンセリング

  2015年8月に京都府が設置した「京都性暴力被害者ワンストップセンター(京都SARA)をウィメンズカウンセリング京都が運営を受託。

  相談センターを中心とした連携型で、電話相談、来所相談、同行支援、医療費・10回までのカウンセリング費用が公費負担

 4.性暴力のトラウマカウンセリング

 5.継続したセクハラ性暴力被害と迎合メール➡特に法曹関係者へ理解を広げることが課題

 6.フェミニストカウンセリングのこれから⇒性暴力被害者の心理的ケアの役割への期待

  <フェミニストカウンセリングの特徴>

  ・Personal is Political … 個人的なことは政治的である

  ・シスターフッド … 「支援してあげる」のではない対等な関係性

  ・エンパワーメント … 被害者の「回復する力」を信じる

 「性犯罪・性暴力被害者のためのワンストップ支援センターを対象とした支援状況等調査 報告書」(内閣府)の紹介

 公費負担カウンセリングのデータ等具体的に話していただきました。

 性暴力救援センター・大阪SACHICOとは、少し異なる支援方法ですね。

 

〇DV被害者支援の今とこれから      竹之下雅代さん

 1.DV被害者の「今」

  DVは「自ら選んだ親密関係における閉鎖された家庭内での支配」 ⇒人権意識(男女共同参画)が大して変わらないまま、夫婦間の支配構造が複雑化

 1)DV防止法(2001~):支配がますます不可視化されていく

 2)児童虐待防止法が改正(2004):「面前DV」の課題  ジェンダーの視点で分析する必要あり

 3)民法改正(2011):面会交流の原則実施⇒加害者からの面会交流を通しての支配

 2.DV被害者の支援のこれから~女性相談、DV相談で

 1)‟もっと” 被害者から聴く

 2)‟もっと” 長期に反復したトラウマの症状を理解する

 3)‟もっと” 被害女性と子どもをセットで支援する全国ネットワークを構築する

 ◎ジェンダーの視点を持ったDV相談の連携 …避難先との連携

 3.フェミニストカウンセリングの実践‟もっと” …サバイバーと共に見出してきた道

 1)被害者へのケア ~フェミニストトラウマカウンセリング

 2)子育て支援(虐待未然防止)と子ども・ユースへの支援

 3)アドヴォケイト活動(代弁擁護)

 4)人権意識・ジェンダー視点を伝える

 5)「男性」中心社会から外れている被害者・加害者へのケア

とても詳細に説明していただき、竹之下さんの何が大切なのか、という思いも伝わってきました。

 

〇フェミニストカウンセリングの未来は?   井上摩耶子さん

 1.日本のフェミニストカウンセリング

 2.WCKのフェミニストカウンセリングの実践

  フェミニストカウンセリングの理念

  フェミニストカウンセリングの方法

 3.性暴力被害者へのフェミニストカウンセリング実践

  ①ジェンダー教育・心理教育

  ②外傷ストーリーの再構築

  ③再結合(新しい自己、未来や世界の創造)…サバイバーとしての社会的回復

  今後の課題は?

  ・性暴力のターゲットとされがちな「障害を持つ被害女性」への支援は?

  ・「男性性暴力被害者」への支援は?

  ・アメリカでの#MeToo運動にみられるハリウッドのプロデューサーの性暴力事件をどう考えるのか?

 4.フェミニストカウンセリングのこれからは?

  第一派・第二派・第三派フェミニズム・ポストフェミニズム、第四派フェミニズムとフェミニストカウンセリングの関係性

  日本のフェミニズムの現状は? 若い女性たちのフェミニズムは?

 ・日本では、「第二派フェミニズム」も次世代に届かなかったのではないか?

 ◎若者たちは、フェミニズムとは正反対の「同調圧力」にさらされているのでは?

 5.今こそ、フェミニストカウンセリングを!

 「同調圧力」≠「CR」

 CRを基盤とするフェミニストナラティヴカウンセリングによる「同調圧力」との闘い

井上さんの説明では、改めてフェミニズムとは、フェミニストカウンセリングとは、何かを学ぶことができ、改めて私自身にできることは何か、を考え実行していきたいと思いました。

 

*CR:意識覚醒と訳し、定期的・定時間的に、ルールに沿って個人が自分の体験や感情を語る中で自分の生き方をみつめ、自分らしさを意識できるようになると同時に、他の人の体験、感情を共有することで、女性問題と社会問題との関わりについて考え、自立をめざす女性たちのグループ

*ナラティヴ・アプローチ:自由に語ること、一人ひとりが主体となって語るイメージ

 

このオンライン講座、本当に有意義なものとなりました。紹介していただいたSさんにも本当に感謝です。