上記の映画を観ました。

 

原作は、弁護士で、基本的人権の保障にとりくむ非営利団体「EJI(イコール・ジャスティス・イニシアチブ)」の事務局長を務めるブライアン・スティーブンソン著のベストセラー回顧録「黒い司法 黒人死刑大国アメリカの冤罪と闘う」。

アメリカでは「黒人男性の3分の1が刑務所に入ったことがあるという問題を抱えるなか、スティーブンソンは多くの死刑囚救済措置を勝ち取りました。

「真の正義」とは何か。観るものすべてに問いかける。

世界を変えようと立ち上がった人々の奇跡の実話。

(パンフレットから)

1980年代いまだにアラバマ州は、黒人差別が根強くあった。

州都モンゴメリーは、1956年ローザ・パークスの逮捕が発端となりバスの人種隔離撤廃を勝ち取ったボイコット運動があり、マーティン・ルーサー・キング牧師が務めていた教会があるところです。

 

1986年11月、女子大生が射殺され、その犯人として1987年6月に、ある黒人が逮捕され、裁判が行われる前に死刑囚監房に入れられる。黒人であるだけで、犯罪者として扱われる、それも死刑囚として…

たった30数年前の話…びっくりしました。

そこに北部からブライアン・スティーブンソンが、死刑囚支援を始めるためにアラバマ州モンゴメリーにやってきたわけです。

資料を見るだけで、明らかに冤罪であることを確信したブライアンは、彼の無実を証明し、再審請求を行うが、棄却され、州最高裁に新証拠を提示して再審請求を行う。世論を味方にするために、報道番組でとりあげてもらい、再審が認められる。

最終、検事みずから起訴の取り下げをおこない、6年間収容されていた死刑囚監房から釈放される。その後の再捜査で無実が確定。

他にも多くの死刑囚監房に収容されていた人たちを救済。

実話なので、ブライアン・スティーブンソンは、今も健在です。

 

クレットン監督は、「世の中にいろいろある問題が大きすぎて、自分にはとりくむことさえ無理だと考えてしまうのは簡単だ。しかし、ブライアン・スティーブンソンとEJIチームが成し遂げてきたことは、僕たちにできることが何かあるという証拠なんだよ。僕自身の希望は、この映画を観た人々のごく少数でもいい、個人的な恐れや不安を乗り越え、間違っていると気づいていることや、今までは自分には何もできないと思っていた、大きさに関係なく不正なことに対して、何かやろうとと思ってくれることだ。この映画をきっかけに、自分たちにもできることがあると気づいてくれることを願っている。」

とパンフレットの最後に書かれていました。

 

映画を観ていて、頭に浮かんできたのが、石川一雄さん。

1963年5月1日に起こった女子高生殺人事件で、軽微な別件で逮捕され、殺人犯として扱われ有罪となり死刑判決を受けたが、二審にて「無期懲役」の判決、最高裁の上告棄却による異議申し立て却下により二審判決が確定。

彼が犯人とされた原因の一つは、被差別部落の出身者だからだった。石川さんは、無実を訴え、長年その実証への努力をつづけている。