1月30日(金)

文教常任委員会の先進都市研修二日目です。

福岡県春日市を訪問しました。

教育委員会及び学校現場の働き方改革について

教育委員会が先にあるの働き方改革 というのが良いな、と思いました。

教育長自らが「働き方改革」の全体像を説明され、詳細を担当部署が…

 

まずは、コミュニティ・スクールの展開について説明を受けました。

春日市は、自衛隊員(家族)の異動や福岡市等からの転居などの関係で人口の流出入が毎年激しく、地域づくりは重要課題。

2009年度それまでの地区世話人制度を廃止し、新しい自治会を誕生させ、主体的な担い手とし、自治会と行政は対等なパートナーとなり、コミュニティ・スクール(CS)が2010(H22)小中18校で完全導入されました。

CS推進に関する基本的考え方は、「教育基盤・環境」をつくるしくみ、子どもたちの生きる力と市民性の育成、協働のまちづくり。

学校運営協議会委員構成が20人以内で、幼稚園長、保育園長、民生委員・児童委員、行政職員、学識経験者が地域、PTA以外にも入っています。

現在では、様々な立場の人たちが、学校経営・運営のあり方や子どもたちが抱える教育上の課題などを解決するため、「熟議」を行っていて、その結果がコミュニティ・スクールでのとりくみに反映されているそうです。また、子どもたちを加えた「四者」(学校・家庭・地域+子どもたち)によるコミュニティ・スクールで、子どもたちが地域の一員として地域行事などに参画することにより、子どもたちの市民性、自己有用感やコミュニケーション力の向上などにつながっているそうです。

子どもの社会性・市民性のほか、コミュニティ・スクールは学校と地域との関係性の向上や学校の活性化、学力の向上等にも効果を上げていることにもつながっているそうです。

枚方市のコミュニティ・スクールのとりくみとはずいぶん異なっているように感じました。本当に学校が地域の核となり、子どもたちを中心に進められているコミュニティ・スクールとなっているのだな、と理解しました。

なぜ、これが働き方改革になるのか正直わからなかったのですが、学校に対する信頼感や地域の支援などが、教職員の負担感を払しょくし、多忙感の解消にもつながっているのではないか、と今、書くことによって整理ができ、理解しています。

 

そして、教育委員会の改革としては、「学校事務の共同実施から共同学校事務室へ」のとりくみの説明を受けました。

2002(H14)年度から、学校への財務権限の委譲

2007(H19)年度から、学校事務の共同実施

2020(R2)年度には、共同学校事務室に向けて準備されているところです。

共同学校事務室では、教育支援による総務・財務業務の軽減と学校の運営体制の強化、事務職員間の協働や課題解決による春日市立学校の事務の推進 が図られるとのことです。

 

次は、教育委員会の活性化について

10年ほど前から活性化への挑戦として改革の歩みを進めてこられました。説明をされたのは、当時の部長さんですでに退職されていますが、詳細に説明をできる方ということで、わざわざ来て説明をされました。

教育委員会事務局が変わるとは…

改革に向けた3本の軸 ①学校、家庭、地域の連携を基本理念 ②政策形成機能の強化に向けた提携業務のスリム化 ③学校経営の自律化を目指す権限委譲

具体的取組みとして、①予算執行権、予算原案編成権の学校への委譲 ②学校管理規則の全面改正(校長権限の大幅強化) ③教職員の多忙化対策の推進(提出物の削減、市学校訪問廃止、研究指定休止、各種会議、研修会の見直し) 等々

事務局が変わる⇒学校が変わる

①コスト意識の向上、予算に裏付けられた実践的なプランの策定 等

②学校管理規則改正:主体的判断と自立的運営の促進、地域の特性に応じた学校経営 等

③多忙化対策等を目的とした各種事業の見直し:形式偏重の見直し、教育長出前トーク等による教委との関係の緊密化 等

④コミュニティ・スクール:学校文化の変容(地域とともにある学校)、3者連携を軸にした教育観の浸透

➡市教育委員会と学校の関係が、指揮命令関係から支持、支援関係へと転換された。

小手先の多忙化解消ではなく、根本的な改革がされたのだと改めて驚いています。

学校現場と教育委員会の関係が変わることって、絶対に必要だと思います。トップダウンでは、どうしてもやらされ感で疲弊が伴いますよね。

最後に今、改革に求められるものとして…

教育長には、①生涯学習・まちづくりとの関連で学校教育、社会教育をとらえる鳥瞰的視座 ②行政の経営層としての首長との信頼関係 ③事務局の長としての指導性

事務局には、①子どもを巡る課題を常に社会との関連の中でとらえる組織文化 ②教職員の後方部隊的意識を打破し、福祉的アプローチ等、課題解決に向けた当事者の一員として行政の持つ総合力を発揮する自覚と自信

 

結論は…

学校への権限委譲は、教育委員会を変え、学校を変え、「地域とともにある学校」として「まちづくり」へとつながる

 

春日市教職員働き方改革の項目を一覧にしたペーパーも頂きました。勤務時間適正化の取り組み、部活動負担改善の取り組みは、枚方でも同じように行っていることです。

校務負担軽減の取り組みでは、春日市独自の取り組みが列挙されていました。その中の「多忙感の解消」にコミュニティ・スクール(共育)の推進以外に、組織的・機動的学校づくり自己診断「よき学校風土」が2年前からとりくまれていました。教職員に対してのアンケート結果て校長が改善していくようです。質と量2面からの働き方改革が必要ということです。

トップダウンではなく、学校の主体性に任せる ですね。

 

実は、春日市で話を聴いているときは、10年前からのとりくみの何がどう働き方改革として成果があるのか、あまりよくわからなかったのですが、根本的に教育とはどうあるべきなのか、を求めながら、教育委員会がまず変わることによって学校も変わっていく、その本気度が、ブログで文章を書いているうちに整理ができ、よくわかった次第です。

枚方市教育委員会でも説明を受けた元部長さんに来ていただいて研修を受ける予定だそうですから、その後に期待したいですね。